玉置浩二ショーの地上波での初再放送を記念して、玉置さんとゲストのコラボをいくつか選んで、あっちいったりこっちいったりしながら、論じてみました。

 ここ数日、今までBSプレミアムと4K8Kだけでオンエアされていた過去の玉置浩二ショーが、NHK総合でまとめて再放送され、配信もこの一週間くらい限定らしいのですが、NHKプラスで配信されています。(最新の玉置浩二ショー、一昨日の鈴木雅之とかの奴は、配信なし、まだ先なんだと思う)

下のリンククリックすると、NHK+に飛びます。

https://www.nhk.jp/p/ts/J74Q5KNRQL/plus/


 さて、玉置浩二ショーの目玉と言うか「玉置浩二まじすごい」とツイッターでバズりはじめたきっかけは、この番組での、スキマスイッチ大橋くんとの「奏」、絢香との「三日月」など、それぞれの歌手の代表曲を競演したYouTube動画がきっかけなわけです。昨夜放送された二番組で、大半が見られます。


 過去のダウンタウン番組での「プロが選ぶ一番歌が上手い歌手ランキング」で一位になっても、「大げさな」とか「癖が強いし」とか「普通に歌ってほしい」とか言ったり、物まね番組でのへたくそで大げさな物まねを見て笑っていた人たちが、「いやマジでこれはただ事ではない」と気づくきっかけになったのですね。(一昨年紅白の、オーケストラでの田園より前だったと思います。)


 昨夜はこの玉置浩二ショー二回分深夜に地上波で再放送されたことと、BTSのメンバーの一人が好きな日本人アーティストとして玉置さんを挙げたことが重なり、ツイッターのトレンドに「玉置浩二」が上がることになっていました。


 玉置浩二マニア的に、過去の玉置浩二ショー・コラボから、私が好きなのをいくつか選んで、いろいろ語ってみたいと思います。

(あくまで私の好みですから、それぞれのファンの方、入らなかったアーティストのファンの方も怒らないでくださいね。全部、本当にスキなのですが。)(なお、今回は浩二バーでの共演は対象から除外。あれはあれで、別の素晴らしさがありますから、また改めて。)

  好きで、繰り返し見たという意味でのベストスリーは、平原綾香との「マスカット」、絢香との「三日月」、大橋君との「奏」でしょうか。

最新作の岡野昭仁さんとの「サウダージ」が、今後、それに割って入るかもしれません。出来としては上記3つに匹敵する名演でした。

 ランキングとは別に、小野リサさんとの「いのちの歌」も、玉置さんが泣きそうになっていて、玉置さんのすごさを味わうというより、小野リサさんのすごさを味わうという意味で、すごい競演でした。ときどき無性に見たくなる。うちの妻はこれがすごく好き。

 あと、玉置浩二ショーのコラボは「ゲストの持ち歌一曲、玉置さんの持ち歌からゲストが選んで一曲」なわけですが、中島美嘉さんだけは玉置さん持ち歌枠の方で、玉置さんが中島美嘉さんに提供した「花束」をやっていて、これも、ものすごく大好きで、数えきれないほどの回数聞いたなあ。初めに歌った「雪の華」と「花束」の間の、玉置さんと中島さんのトークが本当に最高で、何回聞いても泣く。「花束」の歌詞の「見ず知らずのモノに水を与えてくれて」と「通りすがりのモノに道を教えてくれて」のところから、「中島さんのことを思い浮かべると、あの辺から歌詞ができた。」と玉置さんが語ると中島さんが「え、嘘じゃなく、あそこがいちばん好きなところです」と驚く。玉置さんが「中島さんじゃなきゃあの歌詞は出てこないよ」というと、中島さんが「わたしって、暗いというか悲しいとか、そういうイメージがあるとおもうのですけれど、どうして、あんなに温かい歌を作ってくれたんですか」という。と、玉置さんが「いや、暗いとか俺も代表的な男だし。」と一瞬軽く返すが、「いや、そりゃもう、」と、真顔になり、一呼吸あってから「痛みをわかっているから」と答えるというくだり。「かっこいい」と中島さんに言われ、照れつつも、「僕にも、中島さんにも、人生を共に歩んでいく相手が、いるじゃないですか。だからきっと、そういうことなんだと思います。」と、あの歌詞にこめた思い、中島さんならこの歌詞を歌ってくれると思った、という思いを伝えてから、歌になる。

 あの場面を見るだけで、僕は、実は何度見ても泣いてしまう。なぜだろう。そして、当時は中島さん、耳の病気が不調な時期で、この玉置浩二ショーの直前に民放歌番組で一人でこの歌を歌った時は、正直、かなりひどい出来だった。ところが、玉置さんと一緒に、支えられながら歌っているうちに、本当に素晴らしい歌になっていった。トークからの流れでの、この「花束」。ランキング、序列はつけられない。本当に大好き。トークから見始めて、曲を聞いて、泣いてしまう、というのを何度も繰り返しています。

 さて、脱線したけれど、「マスカット」「三日月」「サウダージ」の話に戻ろう。どれも、相手の主旋律に対して、玉置さんがファルセットでハモリを上からかぶせるところが超のつく見せ場です。相手の歌を活かしつつ、もう、そのハモリが入っていないと、絢香一人の「三日月」を聞いても、平原さん一人の「マスカット」を聞いても、物足りなくなっています。玉置さんのハモリはあくまで引き立て役、ステーキにかけるソースみたいなものなんだけれど、一度、極上のソースがかかったステーキ(もちろん最高のお肉なんだが)を食べちゃったら、そのソースなしでは、いかに最高のお肉とはいえ、物足りなくなる。そういう感じです。

 「奏」については、大サビ前の玉置さんの、あまりのフェイク、そこにそう行くのか、というフレーズの作り方と、声量と迫力とで、大橋君が度肝を抜かれて笑ってひいちゃうところが、あまりに面白いのとすごいので、ランキング入りです。あと、どのコラボでもそうですが、歌っている最中から歌い終わった後の、楽しそうな表情、心から音楽を楽しんでいること、一緒に歌えている幸せを感じている表情、これが、玉置浩二ショーのコラボの最大の魅力で、「どっちが上手い」とか「勝ち負け」とかいうことを言う人は、音楽のことも玉置さんのことも全然分かっていないんだよなあと思います。その「楽しそう幸せそう」な表情、玉置さんとの笑顔交換部門では、大橋君、優勝かも。最高です。その意味でも。このコラボ、大好き。

 玉置さんは上手い人でも下手な人でも、坂東玉三郎さんみたいに歌は素人さんとでも、デュエットするときは、本当に、相手を立てて、楽しそうに、幸せそうに、歌を歌う人ですよね。そして、二人で作る音楽が、美しいものになるように、瞬間ごとに、工夫して、気を使って、声量も相手の歌を活かすようにコントロールし、ハモリ方、フレーズも、繊細にコントロールする。そういうことを、自然に、楽しそうにする人なんだよなあ。そこが何より素晴らしい。

 エグザイルとだって、ATSUSHIさんとの何度かのデュエットでも、すごく楽しそうに歌うところがいいところ。玉置さんとゲストさんの、コラボについて、どっちが上手いの下手のと言う人の心の貧しさが、僕は正直、嫌いです。誰かと一緒に歌って、美しい音楽を作る。そのことが、玉置さんは何より好きなんだと思います。


 ファルセットハモリの話に戻って。それぞれの表現の違い。三日月の、消え入りそうなはかなさを表現するところ、「サウダージ」の、超高速、滑舌、難易度のところを裏声ハモリを入れるところ。それぞれ予想外で度肝を抜かれます。

サウダージを歌っている玉置さんも、超楽しそうでした、表情が。「岡野。この速い歌詞、よく歌うな」「しかも、キー。高いし」みたいな感じで自分のパートは一回キー下げたのに、結局、さいごのサビで、再びキー上げ転調して、「ええい、全開で出しちゃうぞ、出た~。タノシー」みたいになる玉置さん最高。そうなるように盛り上げた岡野さん、グッジョブでした。


 いずれもコラボ相手が、ただでさえ歌唱力が際立って高いうえに、玉置さん相手に歌うということでの、気合の入り方たるや。たるや。その素晴らしいコラボ相手の魅力を、さらに玉置さんが引き立てるわけですから。そのすごさたるや。魅力マシマシの、そのまたマシマシになるわけです。


 平原綾香さんとのマスカットについては、歌唱分析をするプロの人たちの分析YouTubeでも、異次元の完成度、二人の出し合う技術と感情表現と、さらに、勝負しているというよりは、二人で溶け合ってひとつのものすごく親密で大人な世界を創造しているという意味で、まあ、日本のテレビでオンエアされた、男女のデュエットとして、これ以上のものは、もうないのでは、と思います。もう、ここまで大人の、大人の恋愛とそれをさらに超えた情感を、歌で表現したものはないと、思います。平原綾香さんの「マスカット」の「ト」の後の吐息まで、芸術です。セクシーで魅力的で、もちろん意図して「吐息」をマイクに載せています。あるいは部分的に口腔に「くぐもったように共鳴させる」とか、もうこの歌の歌唱で平原さんが駆使している技術は極限をいっていると思う。最後のホイッスルボイスを出すときに。片足をくって上げるところ。あの一瞬のホイッスルボイスとセクシーな足上げしぐさだけ、もう200回くらい見ている聞いている。あの平原さんが、足を上げるシーンは、玉置浩二ショーの中での「最もセクシーな瞬間」賞です。

21世紀になってから、男女のデュエットを日本の歌手がやった中では、昨年紅白大トリのMISIAと藤井風くんのHigher Loveと、このマスカットが双璧。もちろん私の個人的なものですから。


 ちなみに、玉置さんとコラボするのに、わりと普段通りで、変わらなかったのが秦基博くんでした。脱力自然体平常運転ぶりが、玉置浩二ショーの中では異色、ほんわかしてしまいました。あの回、玉置さんはちょっといろいろ元気がなかったので、「秦くん、任せるよ、いいねえ。いいよ、好きに歌って」みたいな感じで、あの回は、それはそれで、好き。


 また、玉置浩二ショーという枠にこだわらず、YouTube動画で視聴可能な、玉置さんと女性歌手とのコラボ、名演ということでいうと、


森山良子さんと共演し、バックで石川鷹彦さんがギターを弾いている「手の中に」


高橋真梨子さんのコンサートにサプライズで登場してデュエットする「貴方が生きたラブソング」二種類あります


石川さゆりさんとのミュージックフェアでの競演、二人ともほんとに若い「悲しみにさよなら 津軽海峡冬景色 ソーラン節」三部作


斉藤由貴さんとの「悲しみよこんにちは」、ミュージックフェア版


どれも素晴らしいですよ。タイトル入れて検索すれは、すぐに出てきます。

玉置さん関連note。こちらもよろしければ。

https://note.com/waterplanet/n/n959fdb8664a7

その他、玉置さん、藤井風くん、奇跡の天才高校生アコギソロギタリスト西村ケントくんについてなど、音楽関連noteはこちらmagazineに、まとめてあります。


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