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NHKスペシャル、中国新世紀 (3)「実験都市 深圳〜メイド イン チャイナの行方〜」を見て、裏番組TBS日曜劇場「日本沈没」を見た以上に、日本の沈没ぶりを感じた件について。

昨夜のNHKスペシャル、NHK HPから。

〈中国新世紀 (3)「実験都市 深圳〜メイド イン チャイナの行方〜」
シリーズ中国新世紀、第3回は世界を席巻し始めたメイドインチャイナの奔流を追う。中国共産党が作り上げた社会主義市場経済。その中心地となったのが深圳だ。資本主義経済の要素を段階的に導入する“実験”が繰り返され、数々の世界企業を生み出すイノベーション都市に変貌した。深圳の起業家たちを追い、特異な経済体制の下で育まれる、“中華イノベーション”の実態と、それが世界に何をもたらしていくのかを見つめる。
再放送12月1日(水)午前0:20 〉

ここから僕の感想意見。

 日曜の夜9時は、TBS日曜劇場とNHKスペシャル、裏表がときどきシンクロした内容になって面白い。

 日曜劇場「日本沈没」では、沈没する日本から国民を他国に移民として受け入れてもらおうと、数少ない競争力のある企業の移転とセットで数百万規模の移民を受けれるよう、首相、副首相が、米国、中国と交渉する。日本最大の企業、敷島自動車を交渉のネタに、米国と中国を両天秤にかけて交渉した結果、大変なことに、というのが今夜のストーリー。

 しかし、NHKスペシャル、「中国新世紀」で、深圳の驚くべき発達、自動運転タクシーが走り回り、世界最大の新エネ(電気)自動車メーカーとなった深圳発の企業、BYDの成長を見ると、日本の自動車メーカーを交渉材料に、中国に移民を受け入れさせようというドラマの設定自体が、もはや現実世界では無理筋になりつつあるのではと思えてくる。

 いや、たしかに深圳のロボットベンチャー「ドラボット」の開発スペースの後ろに見えるロボットアームがYASKAWA(安川電機)であるのを見れば、日本にもカテゴリーによっては、相変わらず世界最先端の技術や製品はあるのだが。(ドラボットの社長は「ドラエモンを実現する」という夢をもって、ロボット企業を起業しているので、やはり日本の最後に残された伝統芸はアニメだけなのかもね。)

 それはさておき、このシリーズのNHKスペシャル、ここのところずっと、共産党100年の歴史と現在のあり方を多面的に描いていて面白いのだが、今回のものは取材対象協力者のためにも(共産党に睨まれたりしないように)、中国共産党批判まるだしの内容にはできない。今日の放送内容も、十分に最近の共産党のありかたは批判的に描きつつ(アリババへの弾圧などもきちんと盛り込んでいる。)共産党との関係に気をつかうベンチャー起業家のすがたを描いていた。あるものは海外のビジネスパートナーに配慮して、父親の勧めを断って共産党員にはならずにいるし、あるものは共産党の方針ニュースの中にビジネスチャンスを求める。

 いずれにせよ、旺盛な起業意欲と、巨大な国内市場、投資家も政府系投資ファンドも豊富にある環境、経済特区として深圳でだけでは様々な社会経済実験が可能であること。(デジタル人民元とか、自動運転タクシーとかが実用化されている。)最近、やや勢いが落ちているとはいえ、日本とは大違いだ。
「ああ、これじゃあ、日本はかなわんな。差が開くばかりだよな」という現実を、わりと公平に、きちんと描いているように思われたのだが。(恒大グループの巨大債務とか、突然の政策変更で学習塾産業が大打撃になっている、といった、中国経済や共産党の「負のニュース」も、きちんと盛り込んでいる。)
 
にもかかわらず、なのだな。

 僕は、面白いなと思ったテレビ番組があった後は、すぐにツイッターでどんな意見があるかを見てみるのだが。

 ネトウヨくんたちなのか、それとも日本人の中の多数派なのか、中国のこういう進化発展の現実を受け入れられない、信じたくない人たちが「中国共産党の宣伝か」とNHKに文句を言ったり、「ロボットは安川じゃん」とか、いろいろと難癖をつけて、現実を受け入れられないツイートをしている。ものすごくたくさんあるのだよな。そういうトホホなツイートが。

 新型コロナ対策でも、「中国は強権的な政治体制だから、ロックダウンや大量の検査ができた。」というのは事実だが、一方で、巨大な臨時病院をあっというまに建設したり、1000万人規模の都市で、全員へのPCR検査を一週間ほどで実施する、巨大な移動派遣できる検査システムを作っていたり、という、日本が採用実現できなかったような先進的かつ大規模な対策をしたことも事実なのだが。そういうことを「共産党の情報操作だ、嘘だ」と信じようとしないネトウヨくんが、いまだにたくさんいるのだよな。ということを、今日のNHKスペシャルへのツイッター上の意見を読んで、「衰退する国の国民っていうのは、こうなんだろうな」と悲しくなったのでありました。いや、ほんとに日本沈没しているのだ。経済的な意味で。社会活力という意味で。

 話はとんでもない方にズレるんだけれど、この前の総選挙で、大阪府は小選挙区では自民党は全員落選、維新と、維新と取引協力した公明党で独占。大阪だけ別の国みたいな状況でしょ。で、維新は「規制改革で経済成長」っていうのが主張でしょ。もう、大阪は半独立国にして、府全体をゆるゆるの経済特区にして、深圳みたいに「デジタル大阪円」とか独自通貨体制しにして、「自動運転実験やり放題で自動運転タクシー」も走らせて。「宅配ドローンも飛ばし放題」事故も起きるが、社会実験として大阪府が補償する、みたいなことにしたらいいんではないのかな。起業して社会実験やるなら大阪でって、全国から若い起業家が集まる。維新はそうしたいわけでしょう。その維新が大人気なわけでしょう。維新が大阪を深圳にします。独立します。通貨も独自通貨です。って。

 独自通貨発行権がない地方自治体だと、どうしても緊縮志向になる。(ユーロ圏内でのギリシャみたいなもんだ。)維新が緊縮志向、なんでも合理化、なんでも公的サービスをパソナにってなる理由のひとつは、地方自治を牛耳る地方政党だからだと思うんだよな。(かつて一瞬、維新に同調した田中康夫も、横浜市長選挙で自らそれを黒歴史と言っていたけれど、財政については収支バランスを言う。長野県知事時代の実績としても財政再建を言うのは、通貨発行権がない自治体首長は、そうせざるを得ないからなんだな。)自分達で通貨発行する小国として大阪が独立すれば、考え方が変わるんじゃないかと思う。

 僕は維新の、竹中平蔵の新自由主義には大反対の立場だけれど、もし、新自由主義で規制緩和で経済成長をっていうのを本気でやるならば、「独立国になって自国通貨を発行して、深圳くらいなんでもありの国にする」っていうところまで突き抜けてくれたら、それは、隣国「日本国民」として「大阪国」の健闘を見てみたい、という気持ちはあるなあ。

 

 と、話がずれたが、このNHKスペシャル、見たほうがいいと思う。再放送もオンデマンドもあるよ。

※タイトル写真は、noteのフリー画像に深圳画像が見つからなかったので、深圳じゃないです。「深圳」×「日本沈没」、どっちのイメージとしてもいいかなと思って、選んでみました。

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