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陸上競技についても「打率」を明確化することで、観戦者は、正しく期待し、正しく結果を評価できるようになる。=脱力した予選、余力を残した準決勝、全力を出す決勝、それぞれで、どれくらいの記録をどれくらいの確率で出せるかが選手の真の実力。それをデータ化してテレビは放送すべきである。と言う提案。

まず、前置きです。

 陸上男子100m、準決勝に全てをかけて9.83を出した蘇炳添、準決勝でかなり出し尽くしたと思うのだが、それでも、決勝でも9.98。9秒台を出したのは立派だった。

 水泳の瀬戸ダイヤでもそうだが、予選、準決勝、決勝と短期間にある水泳や陸上の短距離系種目では、決勝確実な選手は、いろいろと余力を残すために、はじめの方はセーブする。


 一方、日本の100m陣などは予選から全力で走っても突破できたのは山縣ただ一人。余力を考えるレベルには無かったのである。


 蘇炳添は予選は明らかに力をセーブしていた。準決勝に全てをかけた。日本選手たちとは、実力が違う、ワンランク上だった。しかし、世界のトップよりはひとつ下だと、自分の実力を冷静に把握して、準決勝勝負に出たのである。


 何をセーブするかと言うと、これは「筋肉に貯めた、無酸素でも働くエネルギー源」を使い果たし、短時間では補給できない、というのもあるが。それだけではない。爆発的に力を出すことで、筋肉が痛む。損傷する。故障、ということではなく、細かな損傷が入る。その回復には最低3日はかかる。決勝をにらむなら、筋損傷を伴うフルパワー発揮は準決勝までは出来ない。
 

蘇炳添は、「準決勝で全力を出さなければ悔いが残る」戦略を立てて100mに臨めるレベルの選手なわけだ。ただし、決勝までとってはおけない。準決勝フルパワー、決勝はもう運を天に任せる作戦である。


 瀬戸ダイヤは、400個メでは実力的には決勝までフルパワー温存できる実力だと自己評価したので、予選で温存しすぎて負けてしまったわけである。で、反省して200個メは準決勝から全力でいって、決勝でもさらにそれよりタイムが上がったので、そこは気合いの賜物だったのであろう。

ここから本題。陸上競技の「打率」について。


 陸上競技の選手の実力を(テレビ観戦視聴者用に)わかりやすく評価するのに、ベスト記録だけではなく、「打率」のようなデータができないかなあ、というのが、この文章で書こうとしていること。ずっと思っているのだがな。また、長くなるが。


 短距離に限らず、日本がいつも大きな期待を寄せるマラソンでも、期待のエースが大きなレースで期待通りの素晴らしいレースをする確率は3割くらいだと思う。たいてい、事前にはあまり話題に上らなかった選手の方が上位に来る。マラソンと言うのは、どんな選手でもそこそこの「ヒット」といえる調子が発揮できるのが3割くらい、「ホームラン」級の記録が出せるのは1割以下なのではないかと思う。ホームランを打った時の飛距離がどんなに凄くても、打つ確率は1割以下だったら、大きな大会では凡打に終わる確率の方がはるかに高いのは当然である。そういうことを明確に把握認識していないから、期待された選手の凡打でがっかりしてしまうわけだが、しかし野球の打率は名選手でも3割、ホームラン率は大谷翔平でも1割を切るわけだから、そう思ってマラソンを見れば、期待のエースがホームランを打たなかったからといって、がっかりすることはない。


 日本の100m陣、それぞれベストタイムは9秒台を持っているが、人生で一回か二回の大当たり場外ホームランのときの記録である。日本選手権や、代表選考会の記録が優勝者で10秒ゼロ台、五輪代表当選落選が10秒1~2台で決まった。当然、そこにピークを持って行った決勝レースの結果でこのレベルである。日本選手が本気を出しても、10秒1台ならヒット、10秒0台が出たらもうホームランが出たと思ってよい。9秒台と言うのは場外ホームランが出る感じである。


 日本選手の「9秒台打率」は全員0割0分1厘くらいだと思うのである。10秒0台打率でさえ1割前後だと思う。今回、誰一人、10秒0台を出せていない。


これに対して、世界のトップ選手の場合、力を抜いた予選でも9秒台が出ちゃうことはあり、10秒0台を出せる率は9割以上である。
中くらいの力の入り具合で9.9秒台を出せる率も9割以上である。


 つまり、五輪で決勝で勝負できるには、予選で10秒0台前半を、力を使わずに出し、準決勝で9秒9台中盤を余力を残して出し、という実力がないと、無理なのである。


 「脱力」「余力」「全力」それぞれでの平均タイム、とか、データの整理の仕方はいろいろあると思うが、こういう形で選手実力を分かりやすく整理すれば、正しい期待、その選手がどれだけやったら快挙なのか、そういうことがわかりやすくなると思うのである。これはマラソンでも、中長距離でも、跳躍投擲でも同様である。


 走り幅跳びの橋岡優希選手が、本当にすごい、マジで期待してしまうのは、8m10超え打率が、6割以上、8m20超え打率が3割くらいあると思うから。(正確にはわからないけれど、僕は橋岡の、テレビ中継ある大会はだいたい見ていると思う。)単にベスト記録が高いだけでなく、打率が、世界と戦えるレベルにあるからである。

これは幅跳び決勝の前にFacebookに書いたのであるが、幅跳び決勝翌日、会社時代の先輩がコメントをくれた。

Nさんのコメント 

なるほど〜。陸上選手の打率は大発見ですね。オリンピック3大会連続2種目優勝のボルトの打率は10割!

私の返信

N さん、ちゃんとわかってくれて、すごくうれしいです。大発見なんです。これ、真剣に陸上を見ている陸上ファンは、ベスト記録だけでなく、打率で選手の実力を把握しながら見ている筈なんですけれど。橋岡も、昨日ちゃんと8m10だしていますから、やっぱり打率の僕の感覚、正しいと思うんですよね。

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