地下の絵

【連作短歌】地下劇場の王国より

パペットの糸切れたあとその瞳(め)にはひかりが宿る やがて開幕

観客がわたし独りの劇場に轟きわたるオラクルの蒼

道化師がバビブベぼくの鼻先で告げる世界をはみだす呪文

真実は劇薬だからすこしだけ朝のスープにそそいであげる

錆びついたメロディーよりも熱い嘘 過激なほうを取り分けるから

托卵の歌とき放て明日にはきっとわたしがあなたを超える

硝子戸の前に立っても開かない自動ドアではない板硝子

何処へでも行けるIC乗車券かざして月の改札口へ

何周も同じ楕円をめぐりつつ なのに降りられないわたしたち

狂乱の一歩うしろを追いかける消炭色の沈鬱いまは

名づけられなかった星の血汐もて歌は夜空の黒板に画け

Gloria あなたの涯(はて)に降る雪を穢すわれらに幸いあれ、と


感想などコメントいただけると嬉しいです(その時の体調次第で、お返事が遅れる/書けない場合もあるかもしれませんが、ご容赦を) Mail: fanatic_sweets666☆yahoo.co.jp(☆→@に変えてください)