水面の光

【連作短歌】見えない戦争の時間です

言の葉の渦巻く海よ水中で目には見えない戦争がある

奪うより与えることを選んだら今しも骨になりそうな月

バーチャル鬼ごっこの鬼たちは月の裏で朽ち葉をかぞえていたが

欲望がせめぎあう夜この惑星(ほし)の芯をふるわすほどの痛みを

水晶を愛したことは罪じゃない(忘れないのは水晶の罪)

降臨を待ちのぞむ日を 液晶の窓の向こうの気が荒れる日を

冬天の感極まって潤んでる星があなたの歌を奏でる

暗黒の宇宙ひろがりひと筋の白い吐息の抵抗のあと

じゃんけんをしようかぼくの聖域ときみの呪文がぶつかる場所で

手放したはずの切符がポケットに触れてぱらりと夜をほどいて

星が好きだったあの子に贈られたすべての音と詩の宇宙葬


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