【断章】言葉よりも切実な言葉を
詩よりもずっと痛切な詩を
言葉よりももっと切実な言葉を
私は求めつづけていた
ペン先が掠れ
見えない文字を刻みつける
紙の音
その紙の窪みに
かろうじて掬われる痛み
痛みだけが確かにあって
その痛みによって生かされる命があるということを
あなたはやがて知るだろう
そのときあなたは
一つの幸と一つの不幸を手に入れる
その掌(て)に握りしめた一片の音を
死ぬまで離すな
黒鍵と白鍵のあいだにある
誰も鳴らさない音を
いつかあなたは奏でる
あなたの奏でる音は
波紋のように地上をふるわせ
めぐりめぐって
いつしか遠いかなたから
あざやかな応えがかえってくるだろう
その日まで
まっすぐに痛みつづけよ
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