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水処理と購買

購買の実務的スタンスについては、「水処理と協力会社」の中で紹介しました。ここでは、購買業務について、それ以外の部分を私の経験を元に記述しています。

1.安いって何ですか?

「これは高い」「これは安い」と言っているとき、間違いなくある基準で判断しています。その基準って何でしょうか?結構な割合で「経験による」なんていう答えが返ってきそうです。ではその経験によると、いくらが標準なのでしょう?

モノの価値を判断する時は基準を明確にする必要があります。その基準が「合っているか間違えているか」よりも、「明確にすること」の方が順位が上です。なぜなら、明確にしていさえすれば、他者へ容易に説明できるからです。例え間違えていたとしても、論点が明らかになり次に繋げることができます。購買業務にあたっては、価値の判断基準を明確に把握するようにしましょう。知らないから明確にできない、ではないのです。その時は、知らないからこそ自ら考え、基準を言語化・数値化しましょう。そうすれば、誰かに聞きやすくなります。

2.なんで値引きしなきゃいけないの?

「10%値引きしてくれたら決めるよ」「予算が〇〇だからこれにして」「高くない?値引きして」。そんな言葉で終わってしまう交渉は購買ではありません。ショッピングです。もしこれで交渉が成立しているのでしたら、それは購買員の力ではありません。所属する会社の信用と将来性について、取引先が勝手に評価しているだけです。

価格の交渉をするときは、相手が交渉に応じなくてはならない理由を作ってあげましょう。これが決まれば次もある。これを決めてくれると、こちらも同時に頼みたい。何でもいいです。この理由を作るストーリーをどう描くのかが購買員の大事な能力の一つです。

3.購買が会計に及ぼす威力

モノを購入するとき、予算を組みます。予算は実際に購買が始まる前に組みます。この予算は、市場価格や今までの経験に基づいて決めていきます。企業は、この予算に基づいて業績予測を立てていきます。

もし購買した金額が予算を下回ると、ダイレクトに企業の営業利益が増えます。営業利益が5%とすると、10万円の値引き成功は200万円の売上に匹敵するのです。

購買は予算に従って買うのが仕事かもしれません。でもそれだけでは当たり前。それ以上を目指すことによって、エキサイティングな仕事に変貌します。ベンダーとの交渉や新しいベンダー発掘によって、如何に設定予算より低い金額で仕様を満たしたものを購入できるのかが重要です。

4.プロジェクトマネジメントと購買

プロジェクトマネジメントの中で、購買マネジメントがあります。しかしながら、実際あまり重視されていないのが現状です。コストやスケジュール、リスクマネジメントなんかが目立つのでクローズアップされやすいです。しかしながら、プロジェクトマネージャーは、営業利益に直結する購買マネジメントが非常に重要である、ということを認識すべきです。

購買はベンダーとの交渉や新しいベンダー発掘によって、利益をもたらそうとします。従ってプロジェクトマネージャーは、購買がベンダーと交渉することも加味したスケジュール調整をする必要があります。また、顧客がベンダーを指定したからといって安易に受けるべきではありません。ベンダーを指定してしまうと比較検討がしづらくなり、交渉に影響がでます。また、仕様を満たした新しいベンダーを採用できなくなってしまいます。ベンダー指定は追加請求対象となること、購買部門に意見を聞かなくてはならない事項であることを、十分に考慮すべきです。

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