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水処理と協力会社

今回は、この記事で示したいろいろな水処理の種類の中でも、プラント建設などのプロジェクトもので多く使われる「協力会社」についてのお話しです。水処理、というよりは、プロジェクトと協力会社、という内容です。協力会社と上手に付き合う私の経験を紹介します。

水処理プラントを建設するためには、一社だけで完結することはほぼ不可能です。そこで、いわゆる下請け=協力会社が登場してきます。Googleで「下請け 協力会社」で検索すると情報がでています。この二つの言葉の意味は同じで、単純に「下請け」という言葉から発する上下関係(奴隷感?)を出さないようにするために使われています。「プロジェクトに協力していただく会社がいないとプロジェクトが成り立たない!」という思いが込められています。

この協力会社さんですが、「接し方の違い」という私の観点から3種類に分けます。

1.機器メーカーさん

2.オーダーメードで依頼する業者さん

3.自分たちでもできるけど、マンパワーとコストを抑えるための業者さん

さて、上記の表記だけでも、それそれに対する接し方が違いそうですよね。でも、協力会社の定義である「プロジェクトに協力していただく会社がいないとプロジェクトが成り立たない!」について、それぞれが該当することは想像できると思います。どの場合も、「協力してくれてありがとう!」というリスペクトを示しつつ、コスト・スケジュール内に品質を保ちながらプロジェクトを完遂できるようにバランスを取りながら接していく必要があります。

私がいつも協力会社さんに接する時に気にしていたのは、この「バランスを取りながら接していく」という「バランス」の対象を、依頼している対象プロジェクトのみをだけではなく、長年付き合っていくという長期経営的視点も含めてバランスを取ろうとしてる点です。

1.機器メーカーさん

水処理でいうと、ポンプ・バルブ・流量計・UV殺菌器、、、といった、いわゆる製品化されているものを販売している会社さんです。代理店さんも含まれますね。このカテゴリのに対しては、私は「徹底的な文書による明確化と、それに基づいた比較検討書による業者選定」を要求しています。スーパードライ。機器メーカーさんは数を売ってナンボの世界です。それに、同様のスペックの機器を販売する会社は数多く、「ここがダメならこっちの業者」へすぐ乗り換えることができます。協力会社さんへのリスペクトはどこへいった?という感じです。ただ、機器メーカーさんも、汎用品だからこそ、そういった市場競争はよくご理解されていて、選定の結果が不採用になっても、理由が明確なら「それなら仕方ないね」と言ってくれます。彼らにとっても、敗因理由が明確ならそれを情報として他に生かせる機会を得ることができます。つまり、我々の要求を明確化することが機器メーカーさんへの助けになるのです。なので、不採用だったらその理由をちゃんと説明するように接していました。

このカテゴリに対しては、コストはスーパードライ、だけど要求を明確化して接することでWin-Winの関係が築けて次につながる、というバランス感覚で接しています。こうして業者さんと関係を保っておくと、機器の仕様決定についてのアドバイスや、関係ないメーカのトラブル時の質問なんかもできるようになります。

2.オーダーメードで依頼する業者さん

水処理でいうと、工事業者さん、ろ過器とかパイプラックとかステージとかの金物を図面に基づいて作ってくれる業者さん、自分たちで設計がノウハウがなくできない場合に依頼する外注設計さん、なんかが該当します。まさに「協力会社」というイメージにぴったりです。

こういった業者さんは規模が小さいことが多く、私の依頼先が社長さんであることもしばしば。ですので、場合によっては業者さんの従業員に影響を及ぼすかもしれない、という自覚と覚悟をもって接しています。コスト、品質、スケジュールを過度に要求しすぎると、将来大きなダメージをお互いが受けかねません。コストはお互い納得いく金額でしっかりと向き合って交渉を。品質、スケジュールは任せきりにせず、かといって強制的に管理しようとせず、検査の社員をアドバイザー的に必要に応じて派遣するなどの協力体制を築くようにしています。また、相手は社長さんということも多く、交渉時には「決める権限を持った人」と接したいと態度で示されることが多いです。「おたくとしゃべってるの時間の無駄ですよね?」というニュアンスがよくあります。なので、自分が最終権限を持っていなかった時は、「最終権限者に意見が通る人」と見られるよう接していました。

そういった状況なので、人と人との信頼関係で仕事が決まったり拒否したりすることも生じやすいカテゴリです。ですが、特に大きいプロジェクトばかりをこなしてきた方は、意図せずして不誠実な態度、傲慢な態度になりがちです。「協力会社の定義」を忘れずに。自分はそういった態度でないと思っても、あなたがどういう人であるかを決めるのは相手である、ということを忘れずに。そういった感覚がWin-Winを築けるのに重要かと思います。

余談ですが、こういった業者さんはキャッシュフローが厳しいことがしばしば。一方、業者さんと接する社員が、あまりキャッシュフローについて詳しくないことが多々あります。品質やスケジュールで厳しい要求を現場がせざるを得ないこともあるかと思いますが、それが「検収」を圧迫すると、業者さんのマンパワーだけでなく、彼らの従業員への給料の支払いも問題が生じる可能性があることを、現場担当者はわかった上で要求すべきです。一方、よい関係を築いてなれ合いになったばっかりに、突然業者さんが不渡りを、、、ということにならないよう、財務体制のチェックは忘れないようにしましょう。

3.マンパワーとコストを抑えるための業者さん

私はこういう風に業者さんをつかうことは、嫌いです。大きいプロジェクトでは、私が協力会社として引き合いを受けることがありますが、このカテゴリの要求と感じたときには断固拒否です。

ただ事実として、外注化によるマンパワーの削減によるコスト削減は、よく言われることです。嫌い、という感情だけでは済まされない、避けて通れない道。

もしこのカテゴリで協力会社さんに依頼しなくてはならないとしたら、相手も私のような気持ちを抱いているとして、将来は「2.オーダーメードで依頼する業者さん」になっていく長期視点を共有しながら接しますね。そこから生じるリスペクトと厳しさを交えながら、2.で示したバランス感覚と共にお付き合いできればと思います。

ありえそうなのが、設計外注の協力会社さん。将来は該当業務をすべて委託するイメージを持ちながら接したいですね。もちろん、一社に委託となると大事な業務がその会社次第になってしまうので、同様の会社さんも候補に挙げて検索したり、将来統合してしまうなり、という視点も考えていきます。まずは考えるだけです。考えて接するのと考えずに接するのでは、実際に表にでる態度が違ってきてしまうと思うのです。

逆に、このカテゴリで仕事をうける協力会社さんも、やがては「2.オーダーメードで依頼する業者さん」を目指していかないと、ブラックな社内環境になって経営も難しくなるのではないでしょうか。そういった気づきでWin-Winになれればと思います。


以上、協力会社と上手に付き合う私の経験の紹介でした。それでも、上手く折り合わず合わない業者さんもいました。そんな時は、他の人にお願いしていました。人には合う合わないがあります。組織ですから、全部ひとりでやる必要はないです。

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