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引用楽曲レビュー The Avalanches "Since I Left You"



ある日の事でございます。(蜘蛛の糸 芥川龍之介)
幕間の時間を川上の楽屋で世間話に過してゐると、(茶話 大正五年 薄田泣菫)音楽が水の上から聞こえて来る。(旅日記から  寺田寅彦)
今から考へてみて、僕の生涯の中で(僕の孤独癖について 萩原朔太郎)一カ月に一度ずつ、重いレコードを(胡堂百話 野村 胡堂)手に入る限り集めたが、(胡堂百話 野村胡堂)その深刻不可思議な体験を(ドグラ・マグラ 夢野久作)見たことも、聴いたこともなかった。(私の読書遍歴 中谷宇吉郎)

それはまるで夢のような気がした。(冬枯れ 徳永直)
はじめのうちは、ただ、とほうもない化け物としか考えられませんでしたが、(妖怪博士 江戸川乱歩)それはひどい風に吹きちぎられて途切れ途切れに、しかも熱烈に響く歌声のようなものとなりました。(獄中への手紙 宮本百合子)
暗い隅から レコードが歌ひだした(泥酔歌 小熊秀夫)とでもいうようなようすであった。(罪と罰 米川正夫訳 ドフトエフスキー)

その美しい声が、楽曲のメロディに乗って、水が静かに流れるように、その歌はビロードのように、ふっくらと暖かく、そして愛情たっぷりな滋味が溢れています。(お蝶夫人 三浦環)
それにもましてその音のよさといったら、何ともいえない惚れ惚れするものでございました。(お蝶夫人 三浦環)
何んと素晴らしい音色じゃねえか。(名人地獄 国枝史郎)

創造とは独立なものが作られるということである。(哲学入門 三木清)
こう書くと極めて単純なようだが、(季節のない町 山本周五郎)つぎはぎだらけの茶色をした帆が(船路 田山花袋)常に第二流の芸術的価値ほか持ち得ないもの(概念と心其もの 宮本百合子)と誤解する(小池の句の弁 正岡子規)のが、ひとりやふたりは、いるかもしれない。(嘘 新美南吉)
しかしながら立入つて精細に觀察すればこの解釋は誤つてゐる。(時と永遠 波多野精一)
つぎはぎはあるにしても、(貧乏を売る 山之口 貘)十分な芸術的教養と(新劇復興の兆 岸田国士)いいことをしてみてえという野心があれば(大菩薩峠 年魚市の巻 中里介山)傑作となるものだ。(茶話 大正六年 薄田泣菫)

とはいうものの、よしんば(土曜夫人 織田作之助)哲学に基づいて(我らの哲学 丘浅次郎)作曲しても(朱絃舎浜子 長谷川時雨)自家で傑作をこしらえること(源氏物語 与謝野晶子訳)がうまく[中略]できるとは限らない。(続生活の探求 島木健作)
素敵なアイデア(ヒルミ夫人の冷蔵鞄 丘丘十郎)だけでは、十分とはいくまい。(火星兵団 海野十三)
それらとともに(震災後記 喜田貞吉)技術が必要のやうに思ふのであります。(観光事業と文化問題 岸田国士)

そんなことを考えながら、(貞操問答 菊池寛)希望に満ちた曙光に似たものを、その可憐な童女の歌声に感じて、私はたまらない気持であつた。(津軽 太宰治)
驚くべく多様な夢思想の圧縮されたエッセンスであり、またはなはだしく複雑な夢思想の網目の接合点である。(連句雑俎 寺田寅彦)
緑紅の結晶したる玉のごとき虹である。(伯爵の釵 泉鏡花)
難しく考え(三国志 吉川英治)ることなく、(通俗講義 霊魂不滅論 井上円了)直感的に斯うさとつた(小熊秀雄全集 小熊秀雄)人も多いことかも知れない。(めでたき風景 小出楢重)

この作者について(微笑の渦 徳田秋声)総出で調べてみたところ、(泉 岸田国土)メルボルン男が(ファラデーの伝 愛知敬一)古今東西のあらゆる音楽(望ましい音楽 信時潔)を、彼がもう一度考察したものであるらしい。(芥川竜之介を哭す 佐藤春夫)
やっぱり外人の手で作られたのは、違ふ。(古川ロッパ昭和日記  古川緑波)
レコードをあさりつくした玄人蒐集家(名曲決定盤 野村長一)の手で作られたものの内で音楽の分野においては(楽聖物語 野村胡堂)最も優れたものの一つに推さねばなりません。(手仕事の日本 柳宗悦)



※以上の文章は青空文庫に収められた著作権切れ小説・批評等から引用した文を再構築したものです。


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