他ジャンルの語法で音楽レビュー・ワイン編
この世には様々なジャンルの批評があります。
映画や書物の批評はもちろんのこと、レストランのレビューやお酒のテイスティング、香水のレビューまで。もちろん音楽批評も含まれるでしょう。
批評ではその分野に特化するため、ジャンル独特の「語法」を使います。
その点に注目し、音楽批評の語法を封じてシューゲイザーの金字塔"Loveless"をレビューしてみる記事を我々Water Walkでも以前掲載しました。
では音楽を他ジャンルの語法で批評したらどうなるのでしょうか?
このシリーズではBeach Boys "Pet Sounds"の批評を様々な分野のレビュワーが批評します。
今回はワインのテイスティングノート風に書いてもらいました。
はじめまして。イトウヨリヤクモです。
今回は飲み友達(?)のEPOCALCさんから「ワインのテイスティングコメントでアルバムの批評をできないか」という非常に尖った提案がありました。
こんなこと考えたこともなかったのですが、その時私は美味しいお酒を飲んでいてハッピーだったので、安直に乗ってみることにしました。
思えばワインに関しては結構量は飲んできたつもりなのですが、怠け者の私はちゃんとしたテイスティングコメントを書いたことがありません。
というか音楽評論すらやったことなかった。何もわからない。絶望だ。
極め付けに今回提示されたのは、The Beach Boysの『Pet Sounds』(1966)。
歴史的な名盤と言われていますが、その凄さがよくわからない名盤としてよく挙げられます。
ちなみに私は、とっても好きです。(語彙力0)
厄介だ。
こまったぞ〜
…..
思い悩んで数時間、ふと天啓が降りてきました。
私がワインを飲み始めた頃からお世話になっている安ワイン道場さんのHPを久しぶりに見たところ、こんな機能が!
テイスティングコメントジェネレーター
テイスティングコメントを書いたことない人でも、選択肢を選べば一瞬でコメントを生成してくれる優れ物らしいです。
これで私が頑張って文字を書かなくてもアルバムの批評ができそうです。やったー!
今回はこれを使ってPet Soundsのレビューを生成してみようと思います。
テイスティングコメントジェネレーターを使ってみた
上から順に独断と偏見で選択肢を選んでいきます。
まず『Pet Sounds』は何ワインか。これは重要に違いない。
1曲目の「Wouldn’t It Be Nice」のイントロのギターはまるでシャンパーニュの泡のように煌びやかで儚いですが、全体的には歴史的名盤としてのどっしりとした風格を備えており、まるで熟成された上質な赤ワインのようにも思えます。
ということで赤ワインということにしておきます。
色の濃さはオーパスワン(めっちゃすごいワイン)くらい濃そう、ということで「濃い」。
香りは強そうですが、むんむんと香っているよりかは上品で穏やかに香っていそうなイメージなので何となく「やや強い」にしておきます。ということで香りの傾向も「落着き」を選択。
酸味…?
アルバムを一巡して聞いてみたのですが、酸味というよりかは後味にほろ苦さを感じます。
まあでも作詞作曲を手がけているブライアン・ウィルソンは辛酸を舐めるような人生を送っているので、多少はアルバムにも反映されているでしょう。ということで「やや弱い」にします。
甘味はとてもあると思います。歌詞世界とは裏腹に音像はドリーミィでロマンティックな印象があります。でも甘々というよりかはやはり物憂げさが後を引く感じがあるので、甘味は「やや強い」にします。
満足度はもちろん「大満足」。
結果
赤ワイン→アルバムに変換すると以下のレビューが出来上がりました。
驚きました。想像以上にしっくり来る素晴らしいコメントが生成されました。
コールタールのような濃紫色、そして皮革やキノコの香りがするなんて、すごく芳醇で美味しそうですね。音楽批評にワインのテイスティングコメントを活用すれば、聴覚から色彩や味覚を想像できるようになるかもしれません。私はこれからPet Soundsを聴くたびにキノコを思い出すでしょう。特に「味わいの深さと複雑さが素晴らしい」という箇所は、音楽批評で使われていても違和感がなさそうです。
そして結論では、「家屋敷を質に入れても買うべき」と締め括られています。ワインのテイスティングコメントを持ってしても、『Pet Sounds』は世紀の名盤であるということが分かりました。
私はまだアルバムを持っていないので、非常に金欠ですが実家を売り払ってでも買ったほうがいいような気がしてきました。
今回分かったこと
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