#東京 #日本共産党 #宮本徹さん面会ルポ
面会日:2021年9月27日 10:00~11:00
担当:内藤百合子、徳田悠希、高橋悠太、本間のどか(オンライン)、住田奈津子(オンライン)
ルポ作成者:内藤百合子
議員会館にて、日本共産党衆院議員(東京比例代表)の宮本徹さんと面会しました。 4回目となる議員ご本人との面会です。
宮本徹さんの回答
① 核兵器の廃絶を目指すべきだとお考えですか?
当然廃絶しなければならないと思っている。
小学3年生の時にはだしのゲンを読み、原爆の悲惨さを知った。
中学生の時には、原爆投下40年に際して核廃絶のアピールをしようという新聞記事を見て、自転車で地元兵庫から広島までゼッケンをつけてアピール運動を行った。被爆者の方も一緒に行う予定だったが、ドクターストップで参加不可能(現地合流)だった。40年たっても、放射能の影響があることを目の当たりにし、幼いながらに核兵器の恐ろしさを感じた。
② 今年の1月22日に核兵器禁止条約が発効しましたが、議員個人として、核兵器禁止条約に賛同していますか?
③ 現在日本政府は、核兵器禁止条約に署名しない意向を表明していますが、日本は核兵器禁止条約を批准すべきだと思いますか?
当然賛同している。日本政府も一刻も早く参加しなければいけない。
核兵器がそもそも許されなくなった、国際法として違法であるということになったわけで、画期的な条約ができたと思う。実際に銀行が核兵器製造関係企業への融資をやめるなど、社会に対して様々な影響を与え始めている。
そのような動きがどんどん広がっており、世界全体の空気として核兵器がそもそも許されないという雰囲気が強まっていると感じている。
(宮本さんが育った)冷戦期には核抑止論が相当強かったが、国際世論も様変わりし、現在では通用しなくなってきている。核兵器禁止条約ができたことの背景にはこれもあると思う。
④どのような条件のもとならば、日本は核兵器禁止条約に署名・批准することができるとお考えですか?また、署名・批准に至らない障壁となっていることはなんですか?
政権が障壁である。
野党共通政策では、微妙な言い回しではあるがオブザーバー参加を掲げている。党としてはオブザーバー参加は最低ラインで、政府として署名・批准すべきだと考えている。政権を変えるのが一番の近道。
核抑止論の立場に立つ政府は”けしからん”と思う。アメリカの核の傘に入って、いざとなったらアメリカに核兵器を使ってもらうと言いながら、もう一方では核兵器廃絶と言っている。本音と表向きの意見が全然違っている。
議員個人としての取り組み
内藤)核廃絶や条約の批准のために個人でやられていることは?
選挙を目前にし政権交代を目指し、野党共通政策を毎日街頭演説で繰り返し話している。核兵器禁止条約が20項目に入ったということも毎日話している。
核兵器禁止条約への参加を求める声は世論では圧倒的多数なわけで、1人1人の1票で道が拓けるチャンスでもあるわけだから、一生懸命お伝えすることが今一生懸命やっていること。
内藤)現在この問題に対して国会でやられていることは?また今後していきたいことは?
現在厚生労働委員に所属。コロナ対策を一生懸命やっている。今この瞬間としては、なかなか国会の質問で核兵器のことができない。
会派として核兵器禁止条約に批准したいという思いを持っているから、それを(この問題が議論されている委員会で)党内の人がきちんと発言している。
どの議員にもやりたいことはいっぱいあるので、役割分担をして進めているという状況だ。
世論づくりはみんなで分担してできることであるから、皆でそれぞれ訴えている。
今年の8月6日は地元で峠三吉さんの詩を朗読するなど、街頭でそういった活動を精力的に行なっているのはそういう思いからでもある。
核抑止について
内藤)核抑止からどうしたら脱することができるか?また脱した先にはどのようになっていくと考えるか?現在、日本政府が抑止に固執しているのはなぜなのか?
北朝鮮の差し迫った脅威と政府は発言するが、本当に差し迫った脅威なら、なぜ日本海側にあんなに原発があるのか。原発にミサイル攻撃をされたら、それだけで核爆弾1発より大きな被害が出るかもしれない。
となると中国が念頭にあるのかもしれない。しかし、中国に対して(核の抑止を使うような形で)関係性を築いていこうとするのか。
確かに中国は覇権主義を強めているが、最大の貿易相手国でもあるのに、対抗するような軍拡競争で張り合うのはおろかな話。軍拡競争には際限がないのだから、不幸な話である。win-winの関係になるような話し合いをすべきだし、暮らしや平和産業のために予算を使うべきだ。
東南アジアの国々は、戦争をしないという姿勢を、友好条約をもとに取っていて、核兵器禁止条約の批准に向けての動きも進んでいる。
中国・北朝鮮・韓国・日本の地域で、領土をめぐってなど様々なことがあるが、それは話し合いでやっていくことにすれば良い、つまり平和共存の条約を結んでいけば良いと思う。
ただそれを東アジアで先頭を切っていく国がいない。
徳田)そのような情勢の東アジアで日本が果たしていくべき役割は?核抑止から脱するために日本はなにができる?
日本は憲法9条があるのだからそれをもってして、アメリカにべったりの状態から抜け出して、日本がそういう平和共存条約を作ろうという呼びかけを担うべき。またアメリカに対して働きかけるべき。それを目指して自分は共産党で活動している。
安倍政権時代の安保法制によってアメリカとの軍事協力の動きは強化されている。
どこまでもアメリカとともに付き合っていくというところから脱しないと、この緊張関係が緩和されることはない。そして日本政府がその役割をになっていかなければならない。
「憲法9条に基づいて、私たちは戦争しません、軍縮を進めたい、あなたの国も一緒に進めませんか。」と呼びかけていく、そういった国が現れないといけない。
アメリカと軍事的に協力するのをやめ、9条に基づいて軍縮を行っていくという政治を行うべきだ。
世論と国会の乖離について
徳田)核兵器禁止条約に国民の7割が賛同している中で、国会議員は約3割。世論と議員の差がある状態だが、国会議員として政治に世論を反映し、議論を盛り上げるための働き掛けやできることはあるか?
個別陳情・面談・対談をやると同時に、各党から参加をしてもらう院内集会もあると思う。公約は一色な自民党だが、1人1人色々な思いを持っているので、(様々な問題に関する)集会に参加する人もいる。国会議員と市民が一緒になって訴えていくことでだんだんと全体への呼びかけになっていくのではないか。
世論と国会のねじれというのは、今の選挙制度から出てくる問題でもあると思う。選択的夫婦別姓などに関しても言えることたが、国民の多くが賛成していることが反映されるような制度に変える努力もしていきたい。
橋渡しについて
本間)今の日本の橋渡しをどう捉えているか、また橋渡しとはどうあるべきか?
橋渡しをしているのか疑問に思う。
橋渡しと言いながら、核兵器廃絶の立場から、橋を渡って核保有国側に行っているのが今の日本の姿のように思う。橋渡しというならば、核兵器廃絶の立場に経って、真剣に核保有国を説得していくことが必要。ならば非核保有国側に立つべきだ。
現在の橋渡し論は、核保有国が賛同しない限り実効性がないとして核兵器禁止条約に実際としては背を向け続けているという状況だろう。
締約国会議のオブザーバー参加について
住田)締約国会議にオブザーバー参加する場合、日本はどのような立ち回りをすべきか?
まず、本来は批准すべきだが、そうでなくてもオブザーバー参加は最低でもすべきだ。これは野党だけではなくて、(与党である)公明党からも強い意見として出ている。最低でも参加させる、ということをしなければいけない。
その上で、参加することになった場合、どういうスタンスで参加するのかが重要。
今の政府のような立場で参加するのは、妨害物にしかならない。参加する以上、核兵器禁止条約への批准に向け、そして参加する国が増えることを目指して各国に働きかける、そのような立場で参加しなくてはならない。
世界の中の日本
高橋)オバマ政権時代にアメリカの先制不使用を日本が止めたということがあった。世界に対して日本が今どのような影響を与えているか?
核兵器廃絶、核兵器を使用しないということに対して、最も悪い役割を果たしている国の1つだと思う。本当に恥ずべき事態だと思う。
このことがメディアで報道されても、日本政府はなんとも思っていないことが問題である。
核保有国が先制不使用を宣言することは前向きな話であると思う。これを核保有国すべてがすることになったら、次の段階が見えてくると思う。大胆な削減の動きになるかもしれない。
それなのに、核抑止にこだわって先制不使用に反対するのは恐ろしい話だ。
この問題はもっと日本社会全体で、このようなことをする政府で良いのかということをよく議論しなければいけない。
高橋)現在のオブザーバー参加に関しても、自民党が足を引っ張っているように見える。野党の中としてどういう取り組みをしていくのか?
もし政府が参加しないということになった場合、政党として、また、公明党も含めてみんなで参加していくということが必要だと思う。
公明党の支持母体である創価学会は大変熱心に核兵器禁止条約の運動に取り組んでいる。公明党は与党だが、支持者との関係からいえば核兵器禁止条約に批准すべきという考えを持っている人は多いのではないか。もっと強く出ても良いと思うくらいだ。
政府が参加しない場合でも、与党でもある公明党を含めてこのような動きを作っていくことは、政府がオブザーバー参加を考えたり、国会で真剣に議論をしたりすることにもつながる大事なことだと思う。
ICAN議員誓約
最後に、「自国の核兵器禁止条約参加のために努力する」旨を宣言する「ICAN議員誓約」にサインしてくださいました!
「手紙が届いたので電話が来るのを待っていた」と、面会をご快諾いただいた様子を感じました。学生がやっているこのような活動に励まされるとのこと。
オブザーバー参加に関する姿勢など、柔軟な考えを持つ方だと感じました(徳田)。また「世論が変わることで時には大きくことが動くこともある」というご発言から、宮本さんの日々の街頭での活動や国会での活動にかける思いを感じると同時に、議員と市民との対話を通して、共に政治を変えていけるという希望を感じられました(内藤)。