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シリーズCで異例の従業員保有の株式売却を実現したドイツのフィンテックスタートアップTaxfix

スタートアップ企業が資金調達を完了が従業員にもたらすプラスの特典は雇用の安定ぐらいのものだ。

しかし、ドイツで最も急成長しているフィンテック企業であるTaxfixのスタッフの直近のラウンドはその常識を覆すものだった。

40人以上の同社の従業員と元従業員は、4月に380万ユーロ相当の権利確定したストック・オプションを現金化したという。

ほとんどのスタートアップ企業の従業員にとって、株式を現金化することは大変困難なプロセスといえる。新興企業が完全に買収される可能性は低く、株式公開の可能性はさらに低い。

スタートアップ企業の従業員はよくても、通常、会社が数百万ドルの評価額に達するまで待ってから、株式売却の勧誘を受ける必要がある。その場合でも、創業者や初期投資家は従業員よりも優先されることが多い。

220万人以上のユーザーがオンラインで税金の申告や還付を行っているドイツのフィンテックスタートアップTaxfixが、シリーズCラウンド中に従業員の買い戻しという異例の選択を取ることになったのは、こうした障害があったからだとCEOのMathis Buechi氏は言う。同氏によると、同社の成長に貢献してくれた従業員に対する報酬としてあえてこの機会をもうけたという。Series Cでの従業員のexit機会はかなり珍しい。Buechi 氏は、Taxfix が他のドイツの新興企業の手本になることを期待しているという。

Taxfixの評価額は不明だが、2016年に設立された当初の従業員に株式の一部が与えられて以来、指数関数的に成長してきた。

同社によると、最近の買い戻しに参加した従業員の中には、C-Suiteの幹部も含まれているという。

ユニコーンの評価額を叩き出した企業が社員に株式の一部を売却する機会を与えることはまま見られることではある。その中には、英国のサイバーセキュリティ企業であるDarktraceや、最近の5億ドルのシリーズDの資金調達中に小規模な従業員のセカンダリーを実施したフィンテックのRevolutなどがあげられる。TransferWiseはまた、そのシリーズE以来、3回の従業員の買い取りスキームをもうけた。 これは、数人の従業員を億万長者にしたことになるという。

しかし、Buechi氏は、シリーズEまでexit機会を与えないのではなくもっと早期にその機会を提供すべきだという。

クラウドファンディングとセカンダリーセールのプラットフォームを運営するSeedrsの会長であるJeff Lynn氏は、従業員のexitラウンドの勢いが増していることに同意する。同氏によると今ではユニコーンレベルの企業にとって(従業員のセカンダリーを行うことは)かなり当たり前のことになっているという。ラウンドが浅い段階ではほとんど見かけないが、企業が以前よりもずっと長く非公開の状態でいることで、もっと気軽に従業員が株式を現金化できる需要が高まっているという。

Taxfix の従業員オプションの総額は現在 4,000 万ユーロの価値があり、数百人の現役従業員と元従業員が分散して保有しているという。


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