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結局、人は「自分のやりたいこと」しかできない

 ここ数年の自分自身のこれまでの仕事における経験や、結婚して子供が生まれてからの家族との生活と中で気がついたことの一つとして、「結局、人は『自分のやりたいことしかできない』」ということだ。

 誰がもイヤイヤ満員電車に乗り、イヤイヤ会社で仕事をして、やりたくもないことにイヤイヤ時間を捧げているのでは?そんな煽りをよく目にするけれど、本当は誰もイヤイヤだなんて思っていない。

 本当はみんな「好きなことだけで生きている」のであって、それを選び取って生きているのだということが、私の中で少しずつ確信に変わってきている。

「好きなことだけで生きていく」

 一昔前に、YouTubeの広告で、有名Youtuberらが、「好きなことだけで生きていく」ということを謳った宣伝文句があった。この言葉は非常にインパクトが大きかった。嫌なことは全てやめてしまい、好きなことをやっている、それだけでそれが仕事になるのだという印象を与え付ける影響力の大きい広告だったと思う。

 そうか、自分の好きなことだけに集中すれば良いのか。嫌なことなんか全部やめてしまって、好きなことだけやって生きていけたら良いのに。そう思った人も多いかも知れない。

「嫌なことだけで生きている」人へのアンチテーゼ

 Youtubeの「好きなことだけで生きていく」というのは、「嫌なことだけで生きている」人へのアンチテーゼだ。

 何をやりたくもない仕事に人生の貴重な時間を捧げてしまっていいのですか?あなたはそれが本当にやりたいことなのですか?明日人生が終わるとしても、今やっていることを明日もやりますか?まるで、そう問いかけているかのようだ。

 伊坂幸太郎著『終末のフール』の中の鋼鉄のウールという話の中に登場するボクサー苗場は雑誌の取材に対する「明日死ぬって言われたらどうする?」という問いに対して、「変わりませんよ」と答えている。明日死ぬというのに、いつもと同じようにボクシングの練習に勤しむというのだ。「明日死ぬのに、そんなことするわけ?」と聞かれると、苗場は逆にこう返した。

「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
(伊坂幸太郎. 終末のフール (集英社文庫)    (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2379-2380). Kindle 版. )

 苗場は、明日死ぬとしても、ボクサーとしての練習をし続けると答えているが、はたして苗場のように、明日死ぬとしても今やっていることをやり続ける、そう自信を持って言えるだろうか。

本当は「嫌なことだけで生きている人」なんて存在しない

 さて、ここまで読んだ人の中には、はいはい、今を大切に生きようって、そういう話ですねー。これからのあなたの死ぬまでの人生全体を考えたとき、今この瞬間が一番若い、何を始めるにも今この瞬間が最も早い。だから今から行動を変えるのが一番だという、そういうアレですね。

 そうではない。

 私が言いたいのは、ほとんどの人はそれを「やりたくてやっている人」だと思っていて、別に誰もやりたくないなどと言っていないのである。

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