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ベトナム、海辺のリゾート地のホテル、天蓋付きのベットには先客がいた

20年ぐらい前、ベトナムを訪れた時の話。
当初、ベトナム南部の都市ホーチミンに到着後、列車で北部にある首都ハノイに行くつもりだった。

しかし、私がベトナムを訪れたのはテト(旧正月)の時期。
テトに向けて国中が移動するらしく、列車もバスのチケットを取ることはできなかった。

「さてどうしよう」
地図を見ていて目に留まったのがニャチャン。
海辺のリゾート地らしい。

旅行代理店でバスの空席状況を尋ねると空きがあった。

「じゃあ、ニャチャン行きだな」
翌朝、ホーチミンの宿をチェックアウトして、ニャチャンに向かった。
ニャチャンには昼過ぎに到着。

そこから、今宵の宿泊先の宿を探しに町を歩く。

リゾートと聞いていたので、しゃれた街並みを想像していた。
しかし出かけたのは1月。
言うまでもなくオフシーズン。
お洒落な雰囲気全くなし。

そんな中、見つけた安宿。
部屋を見せて貰うと、まずまず。

トイレ、シャワーなどの水回りも問題なし。
天井が高く、広い部屋の真ん中に天蓋のついたベットが鎮座する。
値段を聞くと若干高いものの(リゾート地だからか)、予算内で収まる。

天蓋付きのベットに惹かれて、この宿にチェックイン。
案内された部屋に荷物を置いて、町に食事に出かけた。
翌朝早いので、食事を終えて宿に戻り、早々に眠りについた。

しかし、朝方突然目が覚めた。
「なんだか、かゆい」
シャツをめくると、腕一面に湿疹が。

どうも虫に刺されたようだ。

東南アジアに出掛ける予定だったので、虫刺されは想定内。
虫刺され用の薬は持参していた。
カバンから薬を取り出して、刺された箇所に塗った。
しばらくたてども、かゆみは収まらず。

フロントに向かい、腕を見せて虫に刺された旨を伝えた
するとフロントの人が、正露丸のような黒い丸薬を取り出す。
現地の薬らしい。

ちょっと怖いけれど、かゆいので飲んだ。
しばらくするとかゆみは少し落ち着いてきた。

そして、早朝エクスカーションでクルージングに行くために出掛けた。

宿に戻ってくると、最初宿泊していた部屋から別の部屋に替えてくれた。

今度の部屋には虫はいなかった。
虫に刺されて一日たつとかゆみはだいぶ収まってきた。
旅行期間中、日を追うごとにかゆみはマシになった。
しかし、虫刺されの痕(あと)はこの後1か月続いた。

恐るべき先客がいたものだな。

りぃこうを終えて1か月が過ぎたころ、所用で保健所に行く機会があった。

待っている間に、保健師のご年配の方と話していた。
虫刺されの話になった。
腕まくりをして患部を見せ、跡が消えない旨を話した。

保健師の方が私の腕を見て言った。
「それ南京虫に刺された痕だと思う」
今もいるのねと言われたので、旅行先のベトナムで刺された旨を伝えた。

まさか、南京虫が宿の先客だったとは。
しかも天蓋ベットで私が訪れるのを待ってくれていたとは・・・。

旅先には何が待っているかわからないものである。

※注意:冒頭の地図はGoogleMapsから引用。


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