スイス、ジュネーブの修道院に泊まる
もうずいぶん前の話。
3月の半ば頃、ユーレイルユースパスでヨーロッパを周っていた。
ポルトガル→スペイン→フランス→ドイツの順に西から東に移動していた。
ドイツからイタリアに向かうスイスに立ち寄った。
といっても一泊だけの短い滞在だった。
なぜスイスが一泊だったのか。
物価が高くて、学生の身には厳しかったからである。
立ち寄ったのはジュネーブ。
ジュネーブに行ってみたかったというより、
ドイツ(ミュンヘン)→イタリア(ミラノ)に国際列車で移動すると、
途中スイスで一泊する必要があるからだった。
当初の宿泊先はユースホステルで考えていた。
今みたいにネットで情報を得ることもままならない時代、
世界各国、大きな都市に確実にある安宿がユースホステルだったからだ。
ジュネーブでもお世話になるつもりだった。
しかし、ユースホステルは町の中心部から外れた場所にあった。
バスは停留所が不明確でないことがあるので、できるだけ利用したくない。
「さてどうしようかな」
ひとまずユースホステルのある地区に向かうバスに乗った。
バスの中で地元のおばあさんが話しかけてきた。
「どこに行くの?」
「宿を探していて、ユースホステルに行くつもりです」
(予約していなかったが、ジュネーブに早い時間に到着したので何とかなるだろうと思っていた)
「それならば、ここから数個先のバス停にある修道院に行ってみなさい」
とおばあさんは話し始めた。
正直、町から近い場所にあるのでありがたい。
おばあさんのアドバイスに従うことにした。
2つぐらい先のバス停でおばあさんはバスを降りた。
降車間際に、ゆっくりとした英語で話しかけてきた。
「私が降りてから、3つ数えたバス停で降りるように」
まるで子供に噛んで含めるように。
その心遣いがありがたく、うれしかった。
しかし落ち着いて考えると、私の英語が拙いのもあるが
「いったい私はいくつに見えたんだろうか(もしや子ども扱いか)」
う~んと考えつつも、貰ったバス停が近づいてきたので、そこでおりた。
そして修道院を目指した。
門のところで、チャイム越しに1泊したい旨を伝えた。
空きベットがあると答えがあり、門が開錠された。
建物の中に入ると屋根裏部屋に案内された。
こじんまりとしているものの一人部屋。
ただしトイレとシャワーは共同。
建物の中は静かである。
ドミトリー続きでにぎやかな場所が続いていた。
静けさがありがたい。
久々に、周りを気にせずにゆっくり眠れるな。
ベットに寝ころび天窓をを見上げ、独り言ちた。
※冒頭の地図は、GoogleMapsから引用。