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アメリカン・スナイパー

<今まで触れてこなかったものに触れてみること、感じてみることで感性を磨くのが今年の目標…。早速、これまで避けてきた戦争映画に手をだしてみることにしました。>

オススメされてすぐに借りてみたのだけど、出会って良かったと思える映画でした。

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&nbsp;アメリカ海軍特殊部隊"ネイビーシールズ"の狙撃手として、戦地へ4度派遣され、計160名以上の人間を殺したとされる<クリス・カイル>という実在の人物が物語の主人公である。人一倍強い愛国心と正義感を持った彼は、2009年の同時多発テロ事件で、世界貿易センタービルに旅客機が突っ込む映像を目のあたりにし、軍に入り国を守る決意を固める。入隊時には独身だった彼も、はじめての戦地派遣を迎える頃には、妻のタヤと結ばれ、子供にも恵まれる。新しい幸せが次々と育まれる温かな家庭と、いとも簡単に次々と人の命が消えていく戦地を行き来する中で、彼の心は次第に蝕まれていく。 そんな彼の葛藤を通して、アメリカが抱える戦争の深い闇を描いている。&nbsp;

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クリス・カイルはとても愛国心・正義感の強い男性です。「大切な家族や友人を守るためならどんなことでもする!」そこにためらいや後悔はありません。戦地ではその迷いのなさ、判断力・決断力の高さが活かされ、数々の輝かしい戦歴を残します。味方からは<伝説>と呼ばれ、敵からは<悪魔>と呼ばれたクリス・カイル。彼の中に一貫した正義があるからこそ、人は彼を尊敬し、恐れるのだと思います。それだけ強い男の心ですら蝕んでゆく「戦争」…。ここにこの映画の大きなテーマがあります。

クリス・カイルに限らず、戦地に赴いたことで、体の一部を失ったり、心の一部を失ったりと、大きな代償を払った病める元軍人が映画の中にもたくさん登場しています。クリス・カイルは除隊した後、NPO団体「FITCO Cares Foundation」を設立し、PTSDなどに苦しめられる、多くの帰還兵たちの社会復帰をサポートしました。ただ、最後には彼自身もそのPTSDに悩む元軍人の青年に射殺され命を落としてしまいます。

日本には自衛隊はいますが、戦地にはいきません。アメリカの軍隊は戦地へいきます。普通の家庭の普通の父親が、戦地で人をたくさん射殺した後に、当たり前のように家族と楽しく暮らす…。それは本当に難しいことだということがこの映画を見たことで改めてわかりました。戦争はどうしたって非日常で、人を殺すことはどう考えても平常心でできることではないのです。戦争によって失われるものの尊さをこの映画は描いていると思います。

クリス・カイルの妻タヤは、彼に言います。「戦争によって心を蝕まれない人はいない。あなたの心はここに戻ってきていない。戦場にいる。戻ってきて。」そんな思いを抱えて苦しんでいる家族たちが、アメリカにはたくさんいるのだな…と思うと胸が痛みました。そして、日本が憲法によって「戦争」という恐ろしい悪魔から守られている事実のありがたみを改めて実感しました。

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