大切な宝物を抱きしめられる日がまた来ますように

「どうしたの？元気ないね？」

「ぐすん」

「胸にため込まないで話してごらん？」

「僕、悪いことしちゃったんだ」

「どんな悪いことをしたんだい？」

「家族のお金に手を出しちゃったんだ」

「なぜ？」

「借金を返すためだよ」

「それだけ？」

「本当はギャンブルにも使っちゃったんだ」

「家族に本当のことを打ち明けた？」

「怖くて言えないんだ」

「隠す方が苦しいと思うよ？私に全部伝えてごらん？」

「言えないよ！とても怖いんだ」

「何がそんなに怖いの？」

「怒られるもん…」

「怒らないよ？」

「え？なぜ怒らないの？」

「だって、借金しちゃったんでしょ？ギャンブルにも使ってしまったんでしょ？じゃあもう終わってしまったことだもの。君がしっかり返していけるように私たちも支えてあげる」

「でも、娘にはもう会えないかもしれないんだ」

「かもしれないでしょ？君がしっかり病気を治して、借金返して、会いに行きなよ！」

「会ってくれるかな？」

「会ってくれるさ！君の娘でしょう？」

「うん。僕の大切な一人娘」