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優秀な人材を逃がさない人物試験(5) 面接における理想的な配置や評価項目などを考える

ワンランク上の人材選抜 実際に面接を行って人材を選抜する際には、「受験者と面接官の配置(座り方)をどうすべきか?」「評価項目をどのようにすべきか?」などを様々なことを具体的に考えていく必要があります。
今回は、これらについて考えていきます。(Mr.モグ)

効果的な「面接の時の配置」はどうあるべきか?

個別面接試験は、通常、受験者一人に対して試験官(1~3人)が、相対して、面接するもので、次の図のような配置で行われることが多いと思います。

面接の配置①

面接の配置②

面接の配置③


このように複数人による面接を行う場合は、面接終了後に試験官どうしで意見交換を行い、評価を最終的に決めることになります。
(この方法は、各試験官ごとの主観的な評価バイアスを低減させる効果があります。)

組織によっては、個別面接試験を試験官と受験者が一対一で行い、これを繰り返す過程で選抜を行うというケースもあります。
(例えば、人事担当が一対一で面接して、合格基準以上であれば、次に採用予定部署の担当者が一対一で面接し、ここでも良いとなれば、人事部長が面接するといった段階を経て選抜するなど)

なお、一対一で面接する場合は、受験者の緊張をほぐし、両者の関係性を深めて質問を行うために、図③のように対面で行うのではなく、図④図⑤のように斜めに座ったり、直角になるように座るなどして、受験者に心理的な負担をかけないようにする方法もあります。

面接の配置④

面接の配置⑤


「面接の評価項目」は、どうしたらよいか?

また、その際に用いられる評価項目はどうしたらよういのでしょか?
一般的によく用いられる評価項目としては次のようなものがあります。
(項目数は、多すぎると評価の際に、焦点がぼけてしまい最終的な評価が散漫なものになってしまう可能性が高くなるので、おおむね5~6項目程度が適当とされています。)

評価項目の例
・積極性  ・社会性  ・協調性   ・誠実性    ・創造性
・主体性
  ・信頼感  ・責任感  ・経験学習力 ・自己統制力  
・コミュニケーション力   ・チャレンジ精神

自らの組織で求める人材像をもとに、評価項目を定め、その評価項目ごとに「評価の着眼点」を設定します。

面接における「着眼点」はどうしたらよいか?

さらに、評価項目ごとの着眼点を明らかにして、試験官が研修等を通じて、互いに共有しておくことが重要です。

例えば、「積極性」といっても、
試験官Aさんは「常に新しい課題に挑戦し、前進する人」と捉えており、
試験官Bさんは「自分から働きかけて、明るく多くの人と付き合える人」と捉えていた場合、
同じ受験者に対して、Aさんが高く(積極性があると)評価しても、Bさんが試験官だと低い評価になることもあり得るのです。

そのため、次のように「評価の着眼点」を明確にすることで、各試験官の評価のブレを無くす必要があるのです。

例 「積極性」の「評価の着眼点」
○自らの考えを進んで伝えようとしているか。
○考え方が前向きで向上心があるか。
○目標を高く設定し、率先して事にあたろうとしているか。
○困難なことにもチャレンジしようとする姿勢がみられるか。

評価項目の設定

「評価項目」が決まったら、それらを評価しやすいような面接評価シートを作り、試験官は、そのシートを用いて評価することになります。

面接を効率的に行うために
(面接カード「エントリーシート」の活用)

事前に受験者の関心事項などの情報を把握できるように、面接カード(エントリーシート)を受験者に作成してもらい、それを用いて面接を行うと、(面接時間中にあえて、受験者の基本的な情報に関する質問しなくても良いので、)効率的な個別面接試験の実施が可能になります。

面接カードに記入させる内容項目としては、
全受験者に共通する項目で、全受験者が比較的書きやすい内容であることが望ましく、
「氏名」「受験番号」「志望動機(受験動機)」「職歴の有無(その内容)」「これまで取り組んだ活動や経験のうち自分が力を入れてきたもの」、
「関心事項」「趣味・特技など」「自己PR」など
が考えられます。

試験官は、これらの項目を話題にしつつ、受験者の「真の姿」を、個別面接試験で探っていくことになのです。

「質問してはならない」質問項目は何か?

面接官や試験官が、注意しなくてはならいことがあります。それは、受験者の基本的人権を侵害するような事項や、受験者本人の採用に直接関連しないことについては、質問をしないということです。
どのような質問がダメなのでしょうか?
具体的には、次のようなものになります。

基本的人権を侵害するような質問項目の例
・受験者の信条(思想・宗教等)、支持する政党、尊敬する人物など。
・家庭の資産状況、住居の状況、家族の職業、収入等の家庭環境など
・受験者の摘出・非摘出の別、本籍地など。
・受験者の出身校名

また、受験者の出身校名があると、それをもって、先入観が生じて正しい評価ができなくなる恐れがあるため、不要な情報は質問したり、聞かないようにすることが大切です。

「面接時間」はどうすべきか?

面接時間は、どのような受験者を選抜するかにもよりますが、通常は15分から60分が多いと思います。
ある研究では、面接時間は長くても最終評価は変わらず、一番効率的な面接時間は30分程度であるとする報告もあります※が、面接方法や面接の目的(どのような人物を選抜する試験なのか等)にも左右されるものです。

※試験時間を長くした面接と、時間の短い面接の評価の正確度を比べたところ、10分~20分程度の面接結果の正確度は低く、不安定な結果でした。(すなわち時間が短く受験者の正しい評価のブレが多かった)
他方、30分程度の面接結果の正確度は、より長い時間の面接結果とほぼ同じであった。(60分以上の面接(2時間程度の面接も含む)は時間を長くしても受験者の評価は変わらないことがわかりました。)
このことから、面接時間としては30分程度が一番効率的であり、それ以上の時間をかけた面接を行っても無駄が多いとの報告。

なお、あらかじめ受験者に、面接時間の目安を伝えている場合には、その時間をできるだけ守るようにすることも重要です。(時間が短いと、受験者はダメだったと感じてしまうかもしれませんし、逆に、面接時間が長かったにもかかわらす、不採用の通知が来た受験者からは不信感をもたれる可能性があります。)

まとめ

今回は、実際の面接を行う際のポイントについて、①面接の配置、②評価項目、③効率的な面接を行うための工夫(面接カード、エントリーシート)、④してはいけない質問項目、⑤面接時間について、考えてきました。
「受験者の能力を適正に見極める」ために、人材確保担当者や面接試験官は、その選抜に当たっては、さまざまなことを考え、注意しながら、行わなくてはならないのです。

今回も最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
次回は、さらに具体的な観点から、人材選抜においては、どのような質問が効果的なのか。「良い面接官」と「悪い面接官」について考えていきたいと思います。(Mr.モグ)



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