見出し画像

2021MA3/8マチソワ

これを読む前に、まだの方は3/7のマチネの記事を読んでもらったほうがよいかもです。マルグリット考。こちら↓

2021年のミュージカル「マリー・アントワネット」を見て、最も印象的だったのが、梅田芸術劇場で見た3/8のマチソワでした。

3/8の梅芸マチソワ、同じ田代フェルセンなのに、マリーとマルグリットの組み合わせで全く違う物語になっていたのがとても印象的だったので、その日のツイートをまとめておきます。

「どうしちまったんだ⁉フェルセン‼問題」

マチソワを見終わったあとの感想がこれです。

マチネ:花總×昆×田代トリオ

ソワレ:笹本×ソニン×田代トリオ

オルレアンとエベールはこの感想には特に絡まないので、ポイントはマリーとマルグリットとフェルセンの3人だけ。マルマリ違いの同フェルセンです。

まずは、マチネの感想。見た直後なので、かなり興奮状態なツイートです。

とにかく、マチネはマリーとフェルセンが甘々でした。もともと万里生さんのフェルセンは強火キャラと言われていますが、こんなに一途にマリーへの想いを強く表現していた回は、少なくとも東京公演では一度も見なかった!というくらいフェルセンの熱が強くて。フェルセンとマリーの愛の物語でした。

-----------------------------------------

ここからが、ソワレの感想になります。

マレ地区でマルグリットと出会うとき、普段はわりと好意的にマルグリットに話しかけていると思うのです。が、この日は「どうして路上で暮らしているんだ?」に否定的なニュアンスがものすごく強くて、それを受けてマルグリットもフェルセンに対する反発心を押し出していました。それからずっとマルグリットとフェルセンがバチバチしていたんですよね。

そんなフェルセンとの関係とは逆に、マリーとマルグリットの信頼関係やシンクロ感はとても強く感じました。

この日のソワレのMAは、本当にふたりのMA、マリーとマルグリットの物語でした。この時代の権力を牛耳る男たちと女が戦う物語。

裁判のシーンの二人は、戦う女神のように神々しく美しかった。

マリーもマルグリットも運命にあらがうためにそれぞれのやり方で戦った。最初の目的は違ったけれど、最後は女たちのために、女として。マリーは、自分の罪を認めたうえで「すべての母親への冒涜には屈服しない」と言って戦い、マルグリットは、彼女は敵だったと認めたうえで「卑劣な告発から母親である彼女を守りたい」と戦う。
同じ目的のために戦うバディ感すらありました。

そして、この回のフェルセンは敵ではないけれど決して味方でもない。ただ何もできずにそこにいただけの人、でした。ふたりのMAの物語に必要のない人ですらあった。

マレ地区でマルグリットと出会った時のフェルセンがなにか普段とチャンネルが違っておかしくて、そこから、普段なら成立しているはずのマルグリットとフェルセンの信頼関係、親愛関係が成立しないまま物語が進んで行った感じがしました。

マリーとマルグリットは、立場を越えた関係を築き、自分の命を懸けて女として男たちと戦ったけれど、その間、フェルセンはマリーを助けたいというだけで結局マリーを救うことも何もできなかった男でした。戦ったのはマリーとマルグリット。

「自分の命を賭しても私は全ての母親のために戦います」とマリーは語っていたし、全面的にマルグリットはその決意を受け止めていた。そしてその場にはいなかったフェルセン。

「……は?あとから出てきて勝手に泣いてるなよ!おまえ何にもしてないじゃん!自業自得だろ?今更泣くならもっと早くどうにかしろよ!」

という感情を抱いたのが正直なところです。

もともと私は、MAという作品を、マリーとフェルセンの恋愛物語というよりも、立場の違いから敵対し、憎しみ合っていたマリーとマルグリットが、それぞれの立場を理解し合うことで許し合い、心を通わせる物語だと思っています。

そういう意味でも、この日のソワレは、自分の理解にドンピシャに刺さる解釈のMAでした。

あの日の衝撃は、どんな言葉を尽くしても伝わらないと思うのですが、私はこういうMAを見たかったのかも知れない!という理想の物語でした。

(余談ですが、もしもマリーとマルグリットが手を組んだら、何かと詰めが甘いフェルセンよりも確実に強いですよね。どのマリマルの組み合わせでも)


物語の解釈は一つではないし、多様な見方があっていいと思います。

この日のマチネはマリーとフェルセンの愛の物語だったし、ソワレはマリーとマルグリットの共闘の物語だった。

誤解のないように言っておきますと、マチネのラストはボロボロになっているフェルセンに同情できたし共感できたんですよ。ただ、ソワレのフェルセンには一切同情も共感もできなかった。共演者の違いだけではなく、田代フェルセンの芝居の違いから生まれたこの日のマチソワだったと思っています。

なので、再び言います。

「どうしちまったんだ⁉フェルセン‼」


マチネとソワレで全く違うMAという物語を見せてもらえて、最高のMy2021MA楽になりました。

1泊2日で大阪3公演、この日しか出会えなかった最高の観劇ができて幸せでした。

この記憶だけはどうしても残しておきたく。


お気に留めていただけたらサポートお願いします。noteを書く糧にします。