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東京五輪を止める具体的方法と費用-IOCを止める方法(短縮版)

こちらは短縮版です。短縮版でないオリジナルはhttps://note.com/watashitachi_/n/n5407b6af8dd5にあります。

わたしたちは「東京五輪の本年開催」に反対します。

首相は「中止・延期の権限は日本にはない」と言います。そして「IOCだけに決める権限がある」と主張します。

一国の首相が「この国には決める権限がない」と発言する国にわたしたちは生きています。そしてIOC委員は「非常事態宣言下でも五輪は実施する」と耳を疑うような発言をしています。国連総長は25日「世界はコロナと戦争状態」とWHO総会で訴えました。それでもわたしたちの国は「NOといえない国」なのです。そして26日、主権国家という概念を完全に無視したIOC委員の発言「首相が中止を決めても五輪は開催される」が報道されました。

わたしたちが「決める」しかないのです。最初の選手団が既に入国を始めています。

第1章 東京五輪の本年開催を中止する具体的「方法」

IOC は民間組織のNPOであって国連機関でも政府機関でもありません。したがってIOCとの契約は「民間組織との商業的契約」でしかありません。わたしたちにはその商業契約を「実施しない」=「契約不履行」という選択肢があるのです。もちろん契約不履行に伴う損害賠償は覚悟しなくてはなりません。その損害賠償を支払う、つまり税金を投じる覚悟と合意があれば東京五輪の本年開催は「日本側から」止められるのです。

たとえ話になりますが、海外高級ブランド「A社」の販売代理店契約を結んだ国内「B社」があるとします。「A社」と「B社」の4年契約はかなり一方的でこの契約を「B社」の意思では解約できません。しかし、どうしても「A社」の販売をやめたい場合どうしたらよいでしょうか。その答えは「契約不履行」です。 契約不履行を選択した「B社」には「A社」から損害賠償が請求されるでしょう。その額は売上の4年分でしょう。しかしその損害賠償が支払えるのなら「B社」は「契約不履行」を選択できるし、「A社」は売りたくないと言っている「B社」に強制的に売らせることはできません。

IOCと日本の関係も同様です。日本は「わたしたちの生命を守るため」そして「大混乱の五輪となるリスク」を避けるため「五輪の本年開催を中止したい」そして「必要となる賠償金を支払う準備がある」とIOC と世界に宣言すればいいのです。

現在のコロナ禍で、自国開催の判断をする国は世界にほとんどないと思います。ましてや日本のワクチン接種率はOECD(先進国)37カ国中最下位、世界でも110位前後(5月18日時点)という惨憺たる状況です。オリンピック選手団や関係者・メディアが入国する前に高齢者接種すら終わらないでしょう。「日本の五輪中止・延期」を批判する国が世界に存在するでしょうか。むしろ日本の英断に敬意を表する国のほうが多いでしょう。このままIOCに屈して開催したほうが国際的な日本の評価は「決められない国」として失墜すると思います。

実際にはあまり響きが良くない「契約不履行」と発言する必要はありまません。「開催を断念した」と言えばよいのです。開催を断念した日本にIOCは何も強制することができません。

ただ、IOCは放映権料や各種スポーツ団体への支払い契約があります。IOCの立場になって考えれば東京五輪が中止となった場合は相応の補償金を日本が払わなくては中止を承諾できないと思います。逆に言えばIOCが困らない額の補償金を日本が約束すればIOCがこれを拒む理由はありません。万が一にでも拒んだら世界中から非難が殺到することでしょう。

第2章 五輪を止めるために必要な「費用」

最大どれだけの補償を覚悟すれば東京五輪を止められるのかを説明します。

2-1 IOCの総収入
IOCのアニュアルレポートを見てみます。IOCの収支は夏冬五輪が一回ずつ含まれる4年単位でまとめられています。 下表でIOCの総収入の推移を見てみましょう。

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4年毎にIOCの収入が右肩上がりに増えていることがわかります。直近の2013年から2016年の総収入は6270億円(57億ドル)です。2017年から2020年の(実際には延長したので2021年まで)の総収入はまだ公開されていないのでわかりませんが、IOCとしては前記以上の収入増を狙っていたと考え仮に収入の伸びが10%だとしましょう。その前提でのIOC総収入予想は2017年ー2021年は6897億円(A)と計算できます。

2-2放映権料表

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上の表のようにIOCの収入はその73%が放映権収入です。総収入の73%ですから6897億円(A)X0.73で全世界での放映権料の概算は5035億円(B)と計算できます。米国の放映権を持つNBCユニバーサルの東京五輪までの8年間、夏冬各2大会、ソチ、リオ、平昌、東京の放映権料契約が4818億円(43.8億ドル)と公開されています。8年分ですので、4年分に2分割すると2409億円(C)となり(B)と(C)を見ると世界の放映権料の約52%をNBCユニバーサルが支払っていることになります。

この事実からNBCユニバーサルが五輪に強い影響力があると報道される背景がわかります。ここで夏大会と冬大会の放映権価値を考えます。各大会の放映時間、視聴率を考慮に入れると概算ですが夏大会が約7割、冬大会が約3割の価値を持つことになります。5035億円(B)の7割、東京五輪の全世界での放映権価値は3525億円(D)と計算できます。

2-3TOPスポンサー収入
そして上の表によればIOCの総収入の約18%がTOPスポンサーからの収入です。TOPスポンサーとはIOCとの直接契約により全世界でのオリンピック・マーケティング権を付与されたスポンサーです。(TOPスポンサー以外に国内スポンサーがあり、こちらはJOCと契約しています)コカ・コーラやVISA等14社、日本企業ではTOYOTAとPANASONICがTOPスポンサーです。契約額は契約時期や契約期間、業種によって各社異なる料金で契約していますので内訳の詳細はわかりませんが、TOPスポンサー収入総額はIOC総収入6270億円の18%ですから、TOPスポンサー収入総額は1129億円となります。TOPスポンサー総額も全4年期より10%の伸びがあったと仮定すると1129億X1.1で1242億円(E)です。やはり夏大会の価値を7割とすると1242億円(E)の7割で869億円(F)が東京大会分と計算できます。

東京五輪が中止された場合にTOPスポンサーに返金しなくてはならない合理的な総額は869億円(F)となります。スポンサーの業種によってはVIK( Value in Kind)という概念でスポンサー料の一部を商品やサービスの提供という形で支払うケースがあるので実際のスポンサー補償の計算は複雑になり、スポンサーごとに異なる返金率となると想定されます。

2-4 IOCの支出
IOCは莫大な収入を何に使っているのでしょうか。

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上の表を見るとIOCは総収入の10%をIOCに残しIOCの諸経費に当てています。そして少し意外ですが総収入の90%は外部団体に支払われているのです。

例えば2016リオ五輪のケースではリオ組織委員会に1684億円、世界206カ国と地域のオリンピック員会に594億円、各スポーツ分野の国際競技連盟(世界陸連、国際卓球連盟等)に分配金を594億円、アンチドーピング機関やスポーツ仲裁国際理事会、国際パラリンピック員会などのIOC関連団体へ(2019年は)483億円を支払っています。

東京五輪を中止するということは「東京五輪の世界放映権料」(D)と「TOPスポンサー協賛金の東京相当部分」(F)の収入をIOCが失い、IOCの総収入の90%を分配されている各国オリンピック委員会や国際競技連盟、スポーツ関連団体が収入を失うということがわかります。先進国のオリンピック委員会は東京からの分配金がなくても耐えられると思いますが途上国などでは分配金がなくなることのダメージは深刻でしょう。国際競技連盟も比較的競技者が少ないスポーツ団体は貴重な収入源を失います。

IOCが何故これほどまでに開催ありきでことを進めているのか。それはここまで見てきたようにIOC には五輪が開催される前提で膨大な支払い義務・予定があるからだと言えます。IOCは東京五輪の放映権料とTOPスポンサー料が入ってこなければたちまち経営難に陥るかもしれません。(保険のことを考慮に入れるとそうでもない可能性もありますが、これは後述します) ICOの各支払先が東京五輪中止でどの程度収入減になっても耐えられるのはわかりません。ここではその全額を補償すればどの団体も不満を言わず東京五輪中止を受け入れるだろうと想定して話を進めます。

2-5 五輪中止でIOCに補償する最大額


「IOCの東京五輪開催時の収入予定額を全額日本が払う」ことで東京五輪は中止できます。東京五輪の全世界での放映権価値3525億円(D)とTOPスポンサーの東京五輪分869億円(F)の合計4394億円(G)を日本が支払うならIOCが拒否することは考えられません。しかしこの提案をIOC側から提示することは絶対にないでしょう。4394億円を日本が支払ったら東京五輪を中止してもいいですよとIOCが発言したらどうなるでしょう。世界中から、そして日本中からIOCは拝金主義で一方的だと非難の声が上がるのは間違いないからです。

また、政府、都、組織委員会は会場建設や運営費で莫大な予算を既に投じてきていますから、さらに東京五輪の中止に巨額の補償金を支払うという選択肢を国民に提示することはできないでしょう。政府が支払うということはわたしたちの税で払うということなのですから。

IOCも政府も提示できないからこそ、わたしたち納税者自身が提示し、税金の投入を容認することでこそ東京五輪は止められるのです。

2-6 東京五輪を中止すると補償しなくてならない(IOC以外も含めた)最大額


ここでは東京五輪を中止した場合のわたしたちの負担の総額をさらに詳細に見ていきましょう。補償金を考慮しなくてはいけない相手はIOCだけではありません。

2-6-1 IOC
2−5で触れたようにIOCは4394億円(G)を支払う約束をすれば納得するはずです。IOCがNBCユニバーサルにそこから支払えますからNBCユニバーサルも文句を言うことはないでしょう。TOPスポンサーへの賠償もここに含まれます。

2-6-2 国内スポンサー
東京五輪を中止すると、IOCが契約したTOPスポンサーとは別にJOC、東京五輪組織委が国内企業から集めた国内パートナー企業への返還義務が生じるかもしれません。国内スポンサーには68社が参加し、3920億円(H)をこれまでに契約しています。(1年延期時に追加をお願いした220億円を含む)これを全額返済しろとは国内企業は言わないでしょう。しかしここでは最大額を算出することが目的ですから国内スポンサーに全額3920億円(H)を返済と仮定します。

2-6-3 ライセンス
オリンピックロゴ入り商品やキャラクター商品を企画・制作・販売しているライセンス企業の損害賠償も考慮しなくてはいけませんが、これは100億円(I)を超えないと考えます。

2-6-4 他国のローカルスポンサー
各国のオリンピック委員会が東京五輪の国内スポンサー等を得ていた場合、例えばカナダオリンピック委員会がカナダ国内で「頑張れカナダ!」的スポンサーを得ていた場合、各国オリンピック委員会にも損害が出るかもしれません。この総額は500億円(J)を超えることはないと推定します。

2-6-5 発注済、契約済の関連民間企業への支払い
五輪開催を前提に組織委から国内各企業に発注済みの契約が多数あります。契約的にも道義的にも雇用を守る上でも直前のキャンセルは支払い義務があると思います。スポンサーや放映権のセールスをした代理店のコミッションも返還しろとは言うべきではないでしょう。しかしこれは大会経費に既に織り込まれている予算ですから中止によっての追加経費は発生しません。

2-6-6 総補償額の最大値は最大値が8914億円

(G)から(J)までを合計すると4394億円(G)+3920億円(H)+100億円(I)+500億円(J)=総補償額の最大値は8914億円(G)となります。

2-6-7 実際の補償額
どの機関、企業も受け入れられる最大値が8914億円(G)ですが、実際にはもっと低額になることが予想されます。まず保険の適用があるはずです。IOCもNBCユニーバサルも(全額ではないにしろ)中止時の保険をかけていると報道されています。またTOPスポンサーも国内スポンサーもそのブランドイメージを毀損しないように全額返済までは求めてこないと予想します。ですから補償総額が(G)の半分以下になることもあるかもしれません。相当の高い可能性で(G)より低い保障金となるはずですが、これは可能性の話ですので以後は最大値のまま話を進めます。

第3章 わたしたちは払える


わたしたちは8914億円(G)を払えるでしょうか。払うべきでしょうか。莫大な金額ですが国家予算レベルで考えていきましょう。 日本の年間国家予算は106.6兆円です。新型コロナウイルス感染症対策予備費だけで5兆円です。8914億円(G)億円は国家予算の0.8%です。国はコロナ対策予備費として余裕で支払えるでしょう。 現在発令されている緊急事態宣言は6月に入っても延長になりました。五輪開幕まで非常事態宣言、まん延防止が続くかもしれません。その経済的損失は民間の総研発表では10兆円規模となります。

また世界中から10万人近くが来日する東京五輪を原因としてさらなる感染拡大や新たな変異株の侵入が起きた場合、その経済に与える影響は10兆円どころではないでしょう。

わたしたちはわたしたちの税金から8914(G)億円を使っても東京五輪本年開催を止めるべきだと信じます。巨額ですが数兆円を失うよりはるかに低い額です。なにより感染拡大やさらなる変異株の侵入を防ぐコストとして合理的です。政府、都、組織委は中止にする権限はない、したがって中止でどれだけの補償金を支払わなくてはならないか検討していない、したがって答えない、という対応に終始しています。過去最大の重傷者数を毎日のように更新している非常事態宣言下で中止時に何が起きるか政府も都も検討していないとはにわかに信じられません。本当は検討し、計算している部署があるはずです。前述したようにそれを公表はできないだけです。(もし本当に検討・計算している部署がないとしたら危機管理能力の決定的欠如です)

政府にできないなら、納税者でもあるわたしたちが「東京五輪の本年開催中止予算」を承認しましょう。最大で8914億円の支出を承認しましょう。東京五輪の本年開催を直ちに中止し、新型コロナ対策、ワクチン接種、景気浮揚にわたしたちは邁進するべきです。国家予算の「わずか」0.8%を支払うことで国家的惨事を未然に防げます。わたしたちには今、五輪開催の余裕はなく、またそのリスクを受け入れることはできません。

第4章 なぜ「東京五輪の本年開催を中止」すべきか - 「世界最低の免疫」

 
本年開催を中止するべき最大の理由は「国民のワクチン接種が進んでいない」からです。昨年五輪の一年延期を政府が決めたときから1年経ちました。いったい政府は何をしていたのでしょう。「五輪が来年開催されるから優先的にワクチンを購入させて欲しい」という誰もが納得する理由があるにも関わらず先進国最下位、アフリカの途上国並みの接種率に日本はあります。また接種会場や打ち手の問題も一年も準備期間があったにも関わらず混乱状態にあります。 世界最低水準のワクチン接種率、しかも世界最低に近い既感染者率、つまり「世界最低の免疫」しかもたない日本に200を超える国から10万人近くが一度に訪れるのです。どう考えても何らかの感染拡大リスクがあります。

GO TOですら中止して国内移動も自粛しろと要請しておいて世界中の国・地域から10万人の集中的入国受け入れはまったく合理性がありません。 また選手、コーチは選手村と会場以外の外出を禁じるとプレイブック(Ver2)では規定していますが、1万5000人全員がこれを守ると確信できるような管理は本当にできるのでしょうか。酒類の容認が報じられましたが、わたしちが居酒屋でお酒を飲めない規制下で選手村ではお酒を飲みながら歓談できるというのは国民感情が許さないと思います。コンドームの配布はもはや意味不明です。

また約8万人とされる関係者・ジャーナリストには選手団ほど厳密な規定は適用されません。例えば数万人のジャーナリスト・メディア関係者が来日しますが、報道の自由どころか外出の自由も認めずその全員を管理下におけるのでしょうか。来日ジャーナリストや関係者が宿泊ホテル内のレストラン、ルームサービスか会場での弁当・ケータリング以外の飲食をしないと信じる人はいるでしょうか。

実際、関係者は「感染対策を遵守できるレストラン個室」で外食できることになっており、また驚くべきことに「組織委が提示したコンビニ」に行くことが認められています。 また組織委は「関係者・ジャーナリストに組織委が手配したホテルを強く推奨」としながら「自己手配も認めている」のです。どのホテルにでも来日関係者が宿泊し、自己隔離わずか3日で外出する可能性があります。選手は資格剥奪というペナルティがありますからほとんどの選手がバブルを守るでしょう。しかしペナルティのない関係者8万人から「行動の自由」を取り上げることができるはずがありません。(メディアには報道資格剥奪の可能性があると書かれていますが剥奪などできるとは思いません)

来日関係者は日本の誰とも会食しないのでしょうか。来日関係者は一人も六本木のバーに繰り出さないのでしょうか。来日選手・関係者・メディアの必須インストールアプリはCOCOAと現在開発中の健康情報管理アプリの2つです。COCOAの不完全さはかねがね指摘されていますが五輪までに完璧になるのでしょうか。また、両アプリともGPSによる追跡をするとしていましたが、IOCや各国政府関係者、メディアから反発があったと思われアプリのGPSはオフで運営する政府方針が報道されました。一体どうやって関係者の行動をモニターし、制限することができるのでしょうか。

「バブル」開催とは「泡の中に選手・関係者を閉じ込める」という意味ですが、「選手村と会場」という泡の中に全員を閉じ込めて初めてバブルが成立します。東京五輪のバブルは既に穴だらけです。東京五輪で完全な「バブル開催」ができるとはとても思えません。

また忘れがちですが一部の選手団は直接選手村入りをせずに、合宿契約をしたホストタウンに事前に滞在するのです。全国のなんと528の自治体がホストタウンとなっています。続々と自治体が受け入れ断念を表明していますが、まだまだたくさんの自治体が受け入れ準備をしています。最も早いホストタウン入りは6月1日の群馬県太田市とされています。

晴海の選手村だけでも完全なバブル運営が難しいのに全国の「選手村入り前」の合宿地のバブル運営に各自治体は絶対の自信があるのでしょうか。ホストタウンも考慮にいれると海外からの大量集中入国というリスクは東京だけの問題ではありません。

これは「東京五輪」ではなく「全国五輪」なのです。

またバブル開催ができたとされる五輪より小規模な海外のスポーツ大会でも感染者は出ています。2月に開催されたテニスの全豪オープンでは出国前PCR検査で陰性確認後のチャーター機で入国したにもかかわらず感染者が出ています。3月開催のハンガリーでのフェンシング国際大会終了後に日本選手団から5人の感染者が出ています。ワクチン接種が進んでいるので大丈夫という意見もあるでしょう。ですが全員接種をしているニューヨーク・ヤンキースで今月8人も感染者が出ています。ワクチンを打っていれば大丈夫という考えは安直です。ワクチンを打てば感染率は大幅に下がりますがゼロには決してなりません。ましてや大人数が選手村に密集するわけですから確実に感染者はでるでしょう。

来日する選手・関係者から視点をわたしたちに移してみます。選手村や関係者が宿泊するホテルの従業員や選手村ボランティア、会場運営関係者はワクチン接種が間に合うのでしょうか。前述のホストタウンのスタッフにワクチンが間に合うのでしょうか。また、もし優先接種をこれから政府が決めるならば高齢者接種より優先するのかという問題が起きるでしょう。なにしろ五輪選手への優先接種ですら反論がある状況なのです。

なにより問題なのは世界中の(いまだ発見されていない株も含め)変異株が東京に集結する可能性があるということです。選手全員がワクチン接種をしてくるわけではありません。ワクチン接種をしていても感染して来る可能性があります。今月だけでもイギリス、フランスで未知の変異株の報告があったばかりです。29日ベトナムで英国型とインド型のハイブリット変異株が見つかったとの報告もありました。さらに感染力が強いとの報道です。

わたしたちは以上の理由で「東京五輪の本年開催を中止」するべきだと考えます。

第5章 中止なのか延期なのか


なにより大事なのは「本年開催を止めることです」。ここでは中止ではなく1年延期が現実的にできるのかについてポイントを絞って考察します。

ワクチンの接種が先進国では年内に終わるでしょう。最も遅い日本でも来年春には終わると思います。しかし「終わる」=「集団免疫の獲得」ではないことに留意するべきです。集団免疫を獲得し新型コロナの流行を抑えるには70%から80%の接種率(+感染回復者率)が必要とされています。現在の日本ではワクチンの数の確保と打ち手の確保、システムを正常に運営することが重要課題で、その先に必ず起きる問題から目をそらしがちです。

ワクチンが全国民分用意されて、打ち手も確保、システムも動くようになってどうなるのでしょう。ワクチンが全国民分揃い、打ち手もシステムも動いている米国の状況を見てみます。州によりばらつきがりますが50%程度に達してから接種率がなかなか上がらなくなりました。州によってはワクチンを打つと5億円が当たるという政策まで導入されているのは接種率が上がらないためです。これはワクチンへの不信感、長期的安全性への信頼の欠如から「ワクチン接種をしたくない」層がかなりいることが原因です。高齢者と基礎疾患がある方以外は新型コロナ感染とワクチンの不安を天秤にかけて、感染のほうがましという判断をする方もいるということです。

感染率も死者数も日本の50倍程度というワクチン接種前の欧米の状況から考えるとワクチンを打ちたいというモチベーションは日本より遥かに高いはずです。それでも集団免疫獲得上必要な70%から80%に届くのはなかなか難しそうです。ましてや日本はどうでしょう。高齢者が一巡した後の一般の方の接種はどのくらい進むでしょうか。

かねてから国内のワクチン接種意向の調査は6割が接種したい、4割が接種したくないとの結果を示してきました。これから接種後の副反応の報道や(因果関係は別として)接種後24時間以内の死亡者の報道が続くことになり、接種意向が下がる可能性もあります。つまり、日本では1年後も40%が接種していない、集団免疫が確立していない可能性が高いということです。接種率60%でも一定程度の効果はありますが、新型コロナ問題が解決していることにはならないはずです。

五輪さえ開かないならば海外からの流入量を調節して感染者数を一定程度に抑えていくことで混乱は徐々に収まると思いますが、五輪を来年開催となるとそうはいきません。mRNAワクチンへの信頼を急速に得ることは難しいでしょう。延期した場合、日本は来年の春、また開催の是非を検討することになるかもしれません。

欧米でも同様ですが50%を超えてくると「他の誰かが接種して接種率70%になったらいい」と思う人が現れます。つまり集団免疫の形成を他人任せにして、自分は20%から30%の非接種者に留まりたいという考えです。この問題は根深く今後世界的議論になるでしょう。

日本が1年延期とするなら1年後までに接種率を70%から80%に到達させなくてはならないという重い課題を背負うことになります。

もう一つの不安要素はさらなる強毒性の変異株が出現する可能性を否定できないということです。ないしは既存ワクチンが効きにくい変異株の登場の可能性もあります。

以上のような不安もある中で、中止ではなく1年延期を決定することは、ここ数ヶ月の「開催か中止かの議論」を一年後にまた繰り返すということです。「一年延期は現状では難しい」と思われます。

第6章  最後に


東京五輪の「中止の方法」、「中止のコスト=最大で8914億円」が明らかになりました。「わたしたち」が速やかに団結できるなら東京五輪の本年開催は回避できます。これは主に時間的に簡単ではありません。この活動はデモも集会も事務局もありません。インターネットの時代だからできる「超短期型の意見集約」活動です。

「わたしたち」は普段はサイレントマジョリティーかもしれません。しかし今回だけは声を上げます。「わたしたち」は五輪を強行開催する「あなたたち」が無視できない過半数意見を具現化して届けます。

最後に、膨大な作業をされてこられた招致委員会、組織委、その協力民間企業、個人、そして少しでも安全な大会運営のために知恵を出し、協議し、調整し、毎日遅くまで仕事をされているすべての五輪関係者の方々に敬意を表したいと思います。そしてなにより五輪出場予定の選手の皆様に最大限の敬意とお詫びを申し上げます。もし中止になったならどれほどの悲しみと無念さが押し寄せてくるだろうかと考えるとこの文書を公開するのを躊躇うほどです。モスクワ五輪ボイコット時の選手の悲しみをわたしたちは忘れていません。

しかし「東京五輪の本年開催」はどうしても間違っていると思うのです。 わたしたちは「東京五輪の本年開催」に反対します。

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