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微分・積分を解く意味

私が進学先の高校を決めたのは、中学の同級生が誰も行かないから、という理由だった。

中学の頃のいい思い出はなかったから。


そんな想いで選んだ進学した先で、当然学ぶ目的も理由もなく過ごしていた私を、担任の先生はいつも心配そうに接していてくれていた。高校も休みがちになっていた私を下宿先まで様子を見に来てくれたり、私がそんな担任を疎ましく思っていたのに気づいていたのか、自分ではない他の先生と話をする機会を何度も作ってくれたりして、私が高校にいる時間を少しでも多く創ろうとしてくれていた。


そんな先生との思い出で忘れられない言葉がある。


ある日、担任がクラス全員に話を始めた。なぜ、学問をする必要があるのか。


正直、社会に出ると数学で学ぶ微分・積分や英語の仮定法、イギリスの議会が議会が認めていない課税や不当な逮捕を停止するよう国王チャールズ1世に提出した文書が何かなんて、尋ねられることは滅多にない。それでも社会に出る前に”学ぶ”のは理由がある。


社会に出ると解決が難しい問題ばかり。答えがあるものも、時にはないものもある。それでも私たちはその場で直面した課題に対して答えを見つけなければならない。

課題をどう捉え、どう理解し、どの数式(方法)を使って自分の答えを出していくのか。

その経験を積んで、生きる力をいけるのが”学問”なんだよ、と。


続けて、幸せなことに君たちは仲間(クラスメイト)がたくさんいる。お互いを大切に、安心して勉強していいんだよ、とも。


発達障害のある長男は中学進学を控えた小学6年生。このまま知的クラスに進学すると、高校進学の道は途絶えてしまう。ただでさえ学びの経験値が少ない息子を、高校で学ぶことなく早く社会に出すことが果たしていいことなのだろうか。


今の教育体制で、息子が他の同級生についていけず、自己評価が下がってしまうことを小学校や中学校の先生方が心配してくださっているのは理解できる。


それでも私は、我が子には人生の中でも感覚が鋭い10代では”学問”でたくさんの経験を積んで、それから広い社会に出てもらいたいと願うことを諦めたくはない。


#学ぶ
#生きる力
#発達障害

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