「別れる」

むかつく。1週間近くLINEを返さない恋人にも、連絡の返信をしてこない友達にも、今後の予定を送ってこない教習所の担当にも。上品なクラシックを流してみても、むかつく気持ちは消えない。むかつく。返信をしなくても私に愛され続けると思っているのだろうか? なぜ? なぜ、私が恋人を好きでい続けると彼女は思っているのだ? なぜ? 私の気持ちはこんなに乱れているのに、彼女はそれを知らないからだろう。本当の私を知らない。だから、LINEを返さなくとも安心しきって仕事に打ち込んでいる。おめでたい。今すぐ別れてやる! 別れる! 「別れよう」と4文字だけのLINEを送り、この関係を解消する。それを見た彼女はどう思うだろうか。驚くか、悲しむか、怒るか、なんの感情も沸かないか。親に、周りに、愛されて当然、と育ってきた人の怠慢だ。なぜ、LINEを1週間返さない人が、人から愛されるのだ? え? LINEを1週間? それはなんだ? なんでたった1週間で私はこんな怒っている? それよりも、今一番むかつくべき人間は教習所の担当だろ! こっちは明日から出れるって言ってるのに、いまだスケジュールを出さず、「早急にご連絡します」とだけ。早急と言って、1日以上連絡しないのはまったく早急じゃないだろ。ただしくは、「ゆっくり、のんびりとご連絡します」だろ。言葉の使い方を間違っている時点で私はさらにむかついている。こっちは高い金を払って申し込んでいるんだ。親からの愛は無償だから、恋人が「周りから愛されて当然」と思っている人間でもそれは筋が通っていて、真っ当に育ってきた人間だからこそで、私は教習所に20万以上払っていて、有償で愛をもらおうとしているんだ。それなのに愛を与えないのは筋が通らない。私はむかついていいのだ。存分に怒り、抗議すべきだ。明日、明日も連絡がこなかったら、「別れる」。そう送ろう。

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