小さな彼女【詩】
誰の目にも留まらない
小さくて目立たない彼女は
今日も目を伏せ足早に歩き
いつもの場所で働き
いつもの店で買い物をする
誰の目にも留まらない
小さくて目立たない彼女は
今日も花に水をやり
まぶしく天を仰ぎ
空の写真を撮る
誰の目にも留まらない
小さくて目立たない彼女は
今日もパンを焼き
珈琲を淹れて本を開き
笑ったり泣いたりする
誰の目にも留まらない
小さくて目立たない彼女は
誰かのためにと
落ちているゴミをゴミ箱に入れ
グラスで濡れたテーブルを拭く
誰の目にも留まらない
小さくて目立たない彼女は
今日も年老いた両親に電話をして
明るい声をだす
誰の目にも留まらない
小さくて目立たない彼女は
毎日まいにちを
こつこつと生きて
優しくときに苦しみながらも
息をして
毎日まいにちを
自分の精一杯を生きて
時に背伸びして時には倒れこんで
誰かに大袈裟に褒められたり
誰かに特別に愛されることはなくても
周りを幸せにする
自分を幸せにする術を知っていて
小さくて目立たないそんな生き方でも
幸せだとおもえる優しい気持ちを
大切にたいせつに心の中に育て続ける
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