灰【詩】
あの日
彼は空を見上げ
雲でいっぱいの空を見上げ
眩しくもないのに目を細めてから
何かを呟く
見えない影を踏み潰すように
足早に歩いた帰り道
暑い部屋の中で
ぬるいお茶を飲んだあと
音も立てずに座り込んだ
カーテンの隙間から優しい手が
彼に触れようとしたけど
気づかないふりをして
彼は小さな目を閉じ
まつ毛を擦る
ポロポロと抜けるまつ毛が
いつのまにか灰になって舞っている
全てが終わるような
全ての始まりのような
彼の一日が
ようやく終わる
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