4月23日(木)心が壊れていく音

少しずつ心が壊れていく音がする。今こそスルー力が試される時、その話題について見るのも話すのもつらいのでまるで何ごともないかのように振る舞おう、我こそはパラレルワールドにいるのだと思い込もうとするも、あることはないことにならないので、現実と理想の狭間でねじれが生じて苦しい。

2年間も家から出ていないと世の中で起きていることに実感がなくなってしまう。人々の暮らしは激変しているらしいのに自分の暮らしは何一つ変わっていなくて、今までと同じ通りに朝起きて、一日中家で過ごして、どこにも行かずに夜が来て、そのこと自体にも特に違和感を覚えない領域まで感覚が鈍っているのに、人々は家から出ないことへの異常性を日々訴えている。私だけが何も変わっていなくて、しかしテレビやSNSの向こう側の何もかもが変わってしまっている。怖い。

先週から救急車のサイレンが一日に何度も鳴り響くようになった。春は風が強いから遠くの通りから音が飛んで来ているのだろう。それにしても多い。空耳がするほどに何度も通る。きっと行き場がなくて街中を彷徨っているのだと思う。この街ではもういくつもの病院で感染者が出てしまって、救急も外来も受け入れ先がないのだろう。

そのうちの一つの病院には個人的な恩がある。自分が難病になって身動きが取れなくなっていた時、そこの病院へと家族が相談しに行ったところ、今の開業医の先生を教えてくれたのだ。その先生が訪問診療で来てくれるようになり、約1年半が経ってようやく人と少しは会話できるようになり、次のステップへと進むべく紹介してもらったのが、今新しい薬を処方してくれている別分野の先生なのだ。

地域に根ざした医療への感謝を痛切に感じている中での出来ごとで胸が痛い。

救われるはずの命が救われなくなることが無念だ。

ただ画面越しに世界の今を見ていることしか出来ないことが無力だ。

出来るだけ笑顔で暮らそうとしているけど、今日はテレビを観ていたら突然にけたたましい音量で地震速報が鳴って、びっくりして涙が出た。ただでさえこれからの季節は災害が増える。避難所での生活が余儀なくされる人が出てきたら……と脳裏に映像が浮かんで途方もない気持ちになる。

ここがパラレルワールドだったらいいのにな。私のいる世界だけがこんなふうで、残してきた本当の世界は平和なままだったらいいのに。夢みがちなことを言うくらいしか出来ることもなくなってしまった。

買い物から帰ってくるたびに家族が泣くようになった。いつものスーパーはもう使えなくなってしまった。

みんなの心が壊れていく。

どうか明日は笑顔でありますように。


HAPPY LUCKY LOVE SMILE PEACE DREAM !! (アンミカさんが寝る前に唱えている言葉)💞