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シンガポールの底力と闇

今日は、日経新聞の『シンガポール航空、最大1兆1500億円調達、政府系が支援』を読んで思ったことを書きます。

命令の裏にある2つの「底力」

新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大に伴って日々厳しくなっていく規制。シンガポールではほぼすべてが要請ではなくて命令であり、守らないものには厳罰がくだされる。極めて単純明快で、すがすがしい気すらする。いかにもシンガポールという感じだ。こういうことをしても反乱が起きたりしないのは、その裏にある絶対的な底力があるからだろう。要するに「お金」の力だ。

加えてシンガポールでは過去の「経験」も底力となっている。SARSや豚インフルエンザなどの苦境を乗り越えてきた経験と、その経験をもとにした準備に時間と労力を厭わなかったことが底力を蓄えてきた。その結果として世界に称賛されるような極めて迅速な初動対応が行えた。シンガポールにとっては特別なことをしているのではなく、「あたりまえのことをしているだけだ」らしい。(まぁドヤ顔してそうだけど)
★関連記事:「SARSの経験を活かしているシンガポール

テマセク・ホールディングスの存在

シンガポール航空の記事を見て、テマセク・ホールディングスの存在こそがシンガポールの底力だ、と強く感じた。テマセク・ホールディングスとはシンガポール政府が所有する投資会社で、世界で最も評価が高い投資会社のひとつ。シンガポール航空に限らずシンガポールの大企業にはほぼすべてにテマセク・ホールディングスが投資をしている。
「苦しいけどなにかあれば必ず助けてくれる、だからがんばろう」という気持ちになれるのとそうじゃないのとでは打つ手が変わるだろう。

厳罰はあるが援助もある

命令を守らなければ厳罰を受けるのは前述したが、この執行が極めて厳格かつ冷静に行われている。その反面、命令を守るために営業できない店や就業機会を失った人たちには援助をして助けている。これも前述の"底力"があるからなのだが、残念ながら悪化していく状況に合わせて矢継ぎ早に次々に手を打てるのはまさに「準備していた」ことを裏付けていると感じる。

ただね、、

ここまでの説明だと「シンガポールすごいなー、いいなー」と思うのだが、わたしのようなWork Pass Holderと呼ばれる外国籍の労働者からすると、ちょっと微妙なところもある。命令は絶対に守らなければならないというのは変わらないが、援助の対象にはならないということが少なくない。いわゆる赴任で来ている人たちはそれなりの給料をもらっているので援助がなくても問題ないと思うが、少ない給料で働いている人たちは苦しい状況に追い込まれているように感じる。ひどい言い方になるが仕事がないのなら国に帰ればいい、ということなのだろう。こういった貧富の差に基づく対応の差がシンガポールには明らかにある。

おわりに

あまり根拠のない私見だが、シンガポールの対応は今のところ「すばらしい」と言っていいと思う。しかし、その対応をしているにも関わらず感染者数は日々増えている。感染を抑え込むのは非常に難しいということを示しているのだと思う。とにかく重症化患者を増やさないための手を打ち、ワクチンとか特効薬ができるのを待つしかないのかな。。

それでは、今日はこの辺で。
Image by David Peterson from Pixabay

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