闇の仏 地蔵菩薩

こちらの仏様、皆さんも一度はご覧になられたこがあるのではないでしょうか。


お地蔵様です。

お地蔵様は正式には地蔵菩薩という名前で、観音様や弥勒菩薩などの悟りを求めて修行する菩薩のグループに入る仏様です。

実はお地蔵様は菩薩としての修行が終わり、如来になれる着前に「私はこの世で苦しむ人々を救うまで如来になりません」と言って如来になることを辞退しました。

お釈迦様が亡くなってから次に弥勒菩薩が仏となって現れるまでの56億7000千万年の間、命ある者を救済するのがお地蔵様です。また、お地蔵様は六道という六つの世界で苦しむ人々を救済する仏様です。

六道とは地獄道(苦しみに満ちた世界)、餓鬼道(飢えと渇きの世界)、畜生道(動物の世界)、修羅道(争いの絶えない世界)、人間道(人間の世界)、天上道(楽しみが多いが苦しみもある世界)という六つの世界のことです。

 
仏教では人間は死後、悟りを開いて成仏しない限りはこの六道で生まれ変わりを繰り返し永遠に彷徨うことになると言われています。

よく墓地の入り口に六体のお地蔵様がお祀りされているのは、これはお地蔵様が六道の各道に向かうために分身されたお姿です。

ここからは地獄に落ちてもお地蔵様に救われたというエピソードがありますので、お話したいと思います。


昔、大和の国に武者所康成という男がいました。ある日、彼の父親が病で亡くなってしまい、母親はすぐ継父を迎えました。

しかし、その継父は横暴でことあるごとに康成をいじめていました。次第に康成は継父を憎むようになり、遂に継父を殺害することを決意しました。

しかし、康成は誤って母親を殺害してしまいました。実は継父は康成が殺害しようとしていることに気付いていて、逃げ出していました。

誤って母親を殺害してしまった康成は懺悔のために矢田寺のお地蔵様に日参りし、救いを求めました。

しかし、康成のショックは大きく、間もなく病死してしまいました。康成は死後、最も重い罪を犯した人が落ちると言われている阿鼻地獄(無間地獄)に落ちてしまいました。

しかし、そこにお地蔵様が現れて康成を地獄から救い出してくれました。お地蔵様の力によって康成は再び現世に甦りました。

 

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