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新型コロナ禍でも楽しめるサッカーはある! 現在開催中の各国リーグ戦&視聴方法まとめ

 世界中で猛威を振るう新型コロナウィルスの影響で、ほとんどの国・地域でリーグ戦やカップ戦が中断または延期を余儀なくされている。

 日本のJリーグはもちろんのこと、プレミアリーグやセリエA、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、チャンピオンズリーグなども再開のめどが立っていない。毎週末のサッカー観戦を楽しみに生活していたファンは新しい話題がなかなか生まれない日々に苦痛を感じているのではないだろうか。

 そんな中でも、中断や延期に踏み切ることなくリーグ戦の開催を続けているところもある。そして日本からもライブ配信やハイライトを視聴可能な場合もある。今回はサッカーに飢える人々のため、開催中のリーグや日本国内からの視聴方法をまとめてみた。

 現在確認できている開催継続中の主なリーグ戦は以下の通りだ。

ベラルーシ・プレミアリーグ(ベラルーシ1部)
リーガ・プリメーラ・ニカラグア(ニカラグア1部)
タジキスタン・ハイアー・リーグ(タジキスタン1部)
ブルンジ・プリマスリーグ(ブルンジ1部)

●ベラルーシ・プレミアリーグ

 欧州各国のリーグ戦が軒並み中断を強いられる中、日本と同じく春秋制を採用しているベラルーシは3月下旬にリーグ開幕戦を開催し、現在も継続している。かの国ではアレクサンドル・ルカシェンコ大統領率いる「欧州最後の独裁政権」が権力を握っており、公式見解では新型コロナウィルスを十分に押さえ込めていることになっている。

 どういった経緯でリーグ開幕に踏み切り、実際にプレーしている選手たちがどんなことを感じているかは以下の記事を参照されたい。

新型コロナで大パニックの欧州、なぜベラルーシリーグだけ開催可能? 元Jリーガーが語る内情(フットボールチャンネル)

 ベラルーシ・プレミアリーグに関しては、同国サッカー連盟が公式YouTubeチャンネルで試合ハイライトなどを配信している。

ベラルーシサッカー連盟公式チャンネル

 また、「ベラルーシバンク - プレミアリーグ・ゴールズ」というチャンネルで各節で生まれたゴール動画のみを見ることもできる。

ベラルーシバンク - プレミアリーグ・ゴールズ

 一部の試合はクラブ公式YouTubeチャンネルを通して視聴可能だ。元サガン鳥栖のDFカルロ・ブルシッチが在籍しているディナモ・ミンスクは、リーグ戦のライブおよびアーカイブ配信を実施している。

ディナモ・ミンスク公式チャンネル

リーグ第3節 ディナモ・ミンスク対トルペド=ベラーズ

 今季のベラルーシ・プレミアリーグは、欧州カップ戦の常連でもあるBATEボリソフや、ディナモ・ミンスク、ディナモ・ブレストといった例年上位争いを繰り広げるクラブが軒並み苦戦している。

 BATEボリソフもクラブ公式YouTubeチャンネルでフルマッチ配信を行っているため、ディナモ・ミンスクも合わせて強豪2クラブの試合を通して白熱のリーグ戦を楽しむことができるだろう。

BATEボリソフ公式チャンネル

リーグ第3節 BATEボリソフ対ルク・ブレスト

 なお、外務省によれば現時点で日本からベラルーシへの渡航は可能なものの、入国後に14日間の自己隔離措置が義務づけられている。

参考

リーグ公式サイト

●リーガ・プリメーラ・ニカラグア

 外務省によれば、ニカラグアで初の新型コロナウィルス感染者が確認されたのは3月18日のことだという。パナマ旅行から帰ったニカラグア人の40代男性だった。それからしばらく経つが、3月25日までに2人の感染が確認されて以降、新たな情報はない。その2人はいずれも外国からの帰国者で、国内での流行には至っていないというのが公式発表だ。

参考

 そのため多くの国が実施している入国制限や国境封鎖は行われていない(感染者が確認されている国からの入国者に関しては14日間の自宅または宿舎待機が勧告されている)。つまり危機的な状況にないということから、サッカーの公式戦開催も可能なようだ。

 選手たちがどんな心境でプレーしているかをうかがい知るには、こちらの記事が簡潔でオススメだ。

コロナ禍でリーグ続行のニカラグア…選手の声は?「手を必ず洗う」「希望を持ってプレー」(ゲキサカ)

 もう少し深くニカラグアサッカー界の現状について知りたければ、以下の記事をGoogle翻訳などを通し読んでみるといいだろう。エディンソン・カバーニのヴィッセル神戸移籍についてエイプリルフールのジョークネタを流したフランス誌のウェブ版だが、ニカラグアに関するものも含めた他の記事は非常に硬派なものが多く読み応えがある。

Nicaragua : le football résiste à la pandémie(Lucarne Opposee[フランス語])

 リーガ・プリメサ・デ・ニカラグアの試合は同リーグ公式YouTubeチャンネルで全試合配信されており、ハイライトとともにフルマッチ映像も視聴できる。

リーガ・プリメーラ公式チャンネル

リーグ第13節:マナグアFCvsレアル・エステリFC

 映像を見る限りでは無観客で試合を開催している様子がうかがえる。本当にスタジアムか? と疑問が浮かぶような、のどかな会場での試合もあり、普段なかなか見ることのない中米サッカーの奥深さを覗き見ることができるだろう。時差があるため日本時間の早朝から朝にかけてにはなるが、ライブ配信での視聴も可能だ。

リーグ公式サイト

●タジキスタン・ハイアー・リーグ

 タジキスタンでは新型コロナウィルスへの水際対策強化のため、3月19日から首都のドゥシャンベ国際空港が封鎖されている。外務省によれば閉鎖期間は未定で、日本から当国へ渡るには陸路での国境通過しかない状況だ。

 そんな状況ではあるが、タジキスタン国内で新型コロナウィルス感染者は確認されていない。もちろん旧ソ連的な監視体制の行き届いた同国において「公式発表」を鵜呑みにすべきではないが、プロサッカーの公式戦開催も「感染者ゼロ」だからこそ実現できているのだろう。

参考

 タジキスタンリーグの現状やリーグ戦開幕に至った事情については、以下の記事で詳しく述べられている。

Never fear, Tajikistan is here(The Asian Game[英語])

 4月4日にはタジキスタン・スーパーカップが開催され、昨年度リーグ王者にして最多優勝回数を誇るイスティクロルがFCフジャンドを2-1で下し、今季最初のタイトルを獲得した。

 試合の模様は「Mycujoo」という世界中のサッカーの試合を無料で配信しているサービスで視聴することができる。オランダ発で主にマイナーなリーグを配信しているMycujooはPCのブラウザのほか、スマートフォンのアプリでも利用可能。以前は日本のなでしこリーグの配信も行っていた。

 タジキスタンサッカー連盟の公式YouTubeチャンネルでもスーパーカップのハイライトが配信されている。

タジキスタン・スーパーカップ:イスティコル対FCフジャンド

 また、タジキスタンサッカー連盟はMycujooに公式チャンネルを開設しており、全試合ではないが先週末に開幕したリーグ戦のフルマッチも視聴できる。なお今後の詳しい配信スケジュールは不透明のため、こまめにサイトをチェックするといいだろう。

FCロコモティフ・パルミール対FCファイズカンド

 Mycujooではタグづけによってハイライトが自動生成されるため、フルマッチを見る時間がなければ見所が短くまとめられた形で視聴することも可能だ。

 近隣のトルクメニスタンやウズベキスタン、キルギスでリーグ戦の開催が延期される中でもタジキスタンは今季開幕に踏み切り、この後も順次公式戦が開催される予定になっている。国家をあげてサッカーの普及を推進するタジキスタンには地上波に24時間サッカーのみを放送し続けるチャンネルが複数あるほどで、その人気は凄まじい。

 そうしたテレビ局の1つ「Varzish」が開設したYouTubeチャンネルでは、サッカーを始めとした各種スポーツに関する動画を視聴できる。タジク語(あるいはロシア語)を理解するのは困難だが、見るだけでもかの国のスポーツやサッカーの文化を体験できるだろう。昨年10月にタジキスタンを訪れた際、筆者は同局の番組にインタビュー出演したことがある。

 ちなみに筆者はタジキスタン代表の最新ユニフォームをシャツ、パンツ、ソックスとフルセットで持っている日本唯一のライターではないかと思われる。

リーグ公式サイト

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●ブルンジ・プリマスリーグ

 ブルンジでは3月末に新型コロナウィルスの最初の感染者が2人確認され、現時点では感染者3人、死者ゼロとされている。

参考

 同国政府は3月19日から外国人に対する査証発給をとりやめており、同21日からはすべての商用国際航空便の離発着を7日間停止した。それ以前から日本、中国、韓国、イランおよび全てのEU加盟国からの入国者に対して14日間の隔離措置を講じている。

参考

 こうした水際対策の成果か、あるいは医療体制の脆弱さゆえか新型コロナウィルスの流行を押さえ込めており、サッカーのリーグ戦開催も続いている状況だ。

 ブルンジ・プリマスリーグは秋春制で、現在は各クラブが概ね26試合か27試合を消化している。フルマッチ映像の公式配信は確認できなかったが、現地テレビ局が開設していると思われるYouTubeチャンネル「Indundi TV」でリーグ戦のハイライト映像を視聴可能になっている。

Indundi TV

 1試合15分前後と長めの構成になっており、一部の映像からはスタジアムに集まる観客の様子も見ることができる。入場のために長蛇の待機列を形成し、手の消毒も行なっているところもあるようだが、入場したら客席はすし詰め。さらには両チームの選手たちが試合前に全員で円陣を組むなど、“濃厚接触”と言えるような場面もあり、いささか矛盾を感じるところもある。

 最近の試合でなければ、現在リーグ首位のル・メッサジェル・ドゥ・FCヌゴジというクラブが公式YouTubeチャンネルでシーズン序盤のリーグ戦フルマッチを配信している。この機会を利用して、普段ほとんど触れることのでいない中央アフリカの小国のサッカーに触れてみるのはいかがだろうか。

Primus Ligue - 3e J: Le Messager FC Ngozi vs Musongati FC

●おわりに

 ここまで日本から無料で視聴できる現在開催中の各国リーグ戦についてまとめてきた。サッカーはいまや世界共通の娯楽と言えるほどになり、日本や欧州、南米といった普段我々が気にしている視野の外にもボールを蹴っている仲間たちが無数にいる。

 新型コロナウィルス大流行の影響で不要不急の外出を控えるよう要請され、息苦しい日々を送っている方も多くいると想像するが、この記事を通して新たなサッカーの魅力を発見し、日々の楽しみがわずかでも増えることを願ってやまない。


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