アサダワタル(文化活動家)

「表現(アート)」で社会をより緩く、面白く、生きやすくしたいと走りながら思索。近著に『住み開き増補版』(筑摩書房)、『ホカツと家族』(平凡社)、『想起の音楽』(水曜社)、CDに『福島ソングスケイプ』(GrannyRideto)等。博士(学術)。近畿大学文芸学部教員。

アサダワタル(文化活動家)

「表現(アート)」で社会をより緩く、面白く、生きやすくしたいと走りながら思索。近著に『住み開き増補版』(筑摩書房)、『ホカツと家族』(平凡社)、『想起の音楽』(水曜社)、CDに『福島ソングスケイプ』(GrannyRideto)等。博士(学術)。近畿大学文芸学部教員。

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    ルーズプレイスが必要なのだ

    (本文は、2022年7月11日に全国の書店やAmazonなどで出版された書籍『へそ ── 社会彫刻家基金による「社会」を彫刻する人のガイドブック』(MOTION GALLERY編)に書いた寄稿文「ルーズプレイスが必要なのだ」(pp188-193)より転載します。本書で取り上げらているケアとアートのスペース事例 ボーダレスアートスペースHAP(広島)に応答する形で書かれたものですが、文脈がなくても独立して読める内容として書きました。以下、どうぞ拝読願います。) 寄稿 「ルーズ

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      • キツいけど、考えることはやめない。

        秋田に二日間行ってきた。初日のフライトで秋田空港に着陸するときに電波が届いて、最初に目に飛び込んだのが、安倍晋三元総理銃撃の一報。そして現地のアートセンターで一仕事終えた夕方、そこのスタッフたちから「亡くなったそうです」と。そのまま周辺の千秋公園のお堀をぐるぐる回りながら、なんとも言えない気分になった。 個人がその人にしかわからないような、他者にはなかなか理解されにくいような生育背景、当事者性、そこから生じる社会に対する問題意識。これらを抱えるとき、それでもその問いを他者に

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        • 土地の選択、家族の行方

          今週末は新潟は妙高市の家族のもとへ。東京ー新潟、そして大阪ー新潟を合わせて、この二拠点生活は4年目に突入した。子育て、教育、高齢化する親の問題、土地との関係など、悩むことをあげればキリがないけど、なんとかやってます。 家族生活ってついつい他の誰かと比べてしまう。誰々ちゃんの家族はどこどこでこんな形で生活しているとか、友人の何某は最近どこどこに移住してこんな家族生活を営んでいるとか。「家族なんて、何一つ、同じ形なんて、ないのに!」。何度もそう自分たちに言い聞かせてきたけど、や

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          • 誰かの「こだわり」を評価せずそのまま近づく

            週末は移動ばかりしている。二週間に一度新潟の家族のもとへ、それ以外の週末は全国各地の現場へ。30代半ば以降は東京や神奈川など関東圏、福島など東北圏の仕事がほとんどで、久方ぶりに大阪に戻ったのでまぁ遠い! でも、現場に行けばなんというのかな、くさい言い方だけどやっぱりやってきたなりにつながりや絆を感じる。各地に大切な仲間たちがいて、アートや福祉、まちづくりや教育など色々寄って立つ場所が違っても、目の前に存在する「人」とその人が営む「日常」に敬意を払い大切にしようという姿勢は共通

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            • 歌から旅な雑日記

              先日、近所の商店街(布施)を歩いていたら突然、街頭スピーカーから「ピー、ピッ、ピガーーー、プップッ!」といった素っ頓狂かつアヴァンギャルドな管楽器の音が聞こえてきて、一瞬耳を疑った。なんで、こんなフリージャズがコテコテの下町の商店街で流れんての?って思ったけど、そこからズンちゃズンちゃと警戒なリズムが突如始まって…… 「僕の大好きなクラリネット〜♪」 ってなったから、「なんやねん!マジびっくりしたわ!」と、思わず周りに聞こえるくらいのボリュームの声で一人ツッコミをいれる。

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              • アーカイブと感情

                二日間、福島県のいわき市と相双地区を回った。2016年末からいわき市にある、災害復興公営住宅 下神白(しもかじろ)団地に通って今年で6年目。富岡、大熊、浪江、双葉という4つの町の住民さんたちの大切な思い出に、音楽を聴いたり、歌ったりすることを通じて接してきた。一緒にCDアルバム『福島ソングスケイプ』も作った。そして映像作家の小森はるかさんも加わり、これまでの活動もドキュメンタリー映像としてまとまった。 コロナ禍で頻繁には通えなくなった団地の集会場で、とてもとても久しぶりに小

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                • 近大の「美女・美男図鑑」がなぜイけてないか

                  世間を賑わせているこの件について。たまたまこの春から近畿大学の教員になったこともあるし、そうでなくともモヤモヤするので、書く。 基本的な立場として、この企画には反対です。 理由は、二つあって、一つは「面白くない」ということ。 もう一つは、大学の持つ「公共的役割」に反するから、です。 そして、この二つの理由は絡まり合っています。 近大の広報は毎回、周囲を驚かせるほどなかなか独自路線を突っ走ってきたと思います。個人的に好きなのは、エコ出願を謳った「環境問題より、3000円に食

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                  • 文化系学生のキャリアサヴァイバル(仮)

                    タイトルに書いたようなことにずっと関心があった。 チャーリー(鈴木謙介)さんの「文化系トークラジオLife」ではないけど、ざくっと、芸大(美大、音大)系の学生や、あるいはそれ以上に総合大学に設けられた芸術系学部・学科の学生が、そこで学んだ知恵や技術を生かしたキャリア形成をどのように行っていくべきか、的なことです。コロナ禍を経て、働き方が激変する現在なら、在宅環境やオンラインを生かした文化系ならではの起業もありえるだろうし。 といいつつ、自分は総合大学の法学部出身なので、い

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                    • 改めて、IRはいらないと思う

                      僕にとってこの4月から一番よく滞在している土地は大阪(東大阪市)だ。でも、住民票は新潟(妙高市)にある。2019年5月から3月までは品川区に住民票があり、家族が住む妙高市と行ったり来たりしていた。家族と違う世帯として住民票を割っていたので、児童手当の需給や、住民税の支払いなど、なかなか煩雑な約3年を過ごした。でも、品川区民であることにこだわったのは、自分が品川区立の障害者施設でディレクターとして勤めたことが大きく、仕事で直接、区の施作に関わるのだから、やはり自分なりに一生活者

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                      • 異様に盛り上がった自己承認欲求問題

                        昨日は、ゼミの学生と卒制や卒論に向けて、どんなことに興味があるかをたっぷりディスカッションする時間を取った。そのなかで一番盛り上がったのが「Z世代特有の自己承認欲求について」というテーマ。 例えば、SNSにおけるインフルエンサーのふるまいやそれらに影響を受けてある価値観(SDGs的なものなど)にコミットしてゆくユーザーの状況をウォッチしつつ、本当にそのメッセージを伝えたいというのもあるかもだし、一方で自分の空っぽさを埋めるために「いいね」を求めて発信を続けている面などに着目

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                        • めっちゃラフな「大阪」考

                          GWは久しぶりにかなりまとまった休みが取れたので、新潟にいる二人の娘と妻を大阪に呼び、僕の暮らす布施のマンションを拠点に、あちこち過ごした。年中さんの次女N美はもちろんのこと、小3の長女M子の学校は、まぁ「旅に出ます」ということで宿題を多めに出してもらって休むことに。 娘たちはごちゃごちゃとした下町をほぼ知らない。東京に少し住んでいたとは言え多摩エリア、大阪の実家は堺の泉北ニュータウンということもあって、がっつり郊外。ということでコテコテな下町にはまったく縁がなかった。だか

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                          • 徘徊の記録 根を持つこと 翼を持つこと

                            真夜中に散歩する。 以前住んでいた品川でも、ちょくちょくやっていた習慣だ。 宛先は決めず、ただ徘徊するのみ。 あるときは、西大井の駅を出て、坂を登り降りし、トンネルをくぐって、通っていいのかちょっと躊躇うほどの路地を怪しまれない程度に小走りで抜けて、戸越銀座商店街に出たり。 またあるときは、静まり返った踏切を渡って、急な階段を登り降りしながら、馬込方面へ。 昨日は、布施の商店街アーケードを抜け、足代新地の客引きを交わし、ちょっと雑踏を越えたら千日前通りに。そこからジグザ

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                            • 変わること 変わらないこと

                              10年ぶりに大阪に住むことになって一ヶ月が経った。 20代まで大阪に住み、大阪で学業も仕事もやってきて、30歳になった頃から全国各地を行脚し始め、縁に導かれ2012年に滋賀に移って、そして2017年に東京に移って、2019年からは家族が暮らす新潟と東京の二拠点生活をし、この4月に大阪の大学に勤めることになって、その近所のまちに単身で暮らし始めている。 2022年は大学を卒業して丸20年の節目でもあり、あまり後ろを振り返りたくはないけど、ああ、自分なりにいろいろ無軌道にやって

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                              • 引き継げない!

                                こんばんは。年の瀬ですね。 いろいろ各地に行ってワークショップをしたり、長年やってきたプロジェクトの締めくくりをひとつひとつ行っています。2021年はそういう年だなと。たまたまそういう年になったのもあるし、継続的な文化事業の区切りにあたっている年でもあるし、足立区の東京藝大や福島いわき市の復興団地でやってきた音楽プロジェクトも、今年がっつり関わった世田谷区ハーモニーでの福祉とアートのプロジェクトも、コンサートの演出やCDのリリース(来年3月予定)、映像作品の上映など、様々な形

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                                • 本当にそれを今やることが必要なのか

                                  長らく関わってきた二つの社会福祉法人 グロー(滋賀県)と愛成会(東京都)が絡む重大なハラスメント事案(係争中)にまつわる新聞記事が久しぶりに出ていた。12月6日(月)の産経新聞の朝刊の地域ニュース欄。「『係争中』口閉ざす関係者」と見出しが綴られている。 そんななか、来年の2月に2年ぶりにアメニティフォーラムが実施されると聞いて困惑している。アメニティフォーラムは毎年2月に滋賀県びわ湖大津プリンスホテルを会場に、“障害がハンディにならない社会の実現を目指して回を重ね”、“

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                                  • 「係争中」でも言葉は蠢いている

                                     深く関わってきた人たちの間で重大なハラスメントがあったことが昨年11月に報じられてから一年が経ちました。    自分自身も無関係でない、その暴力が生まれる構造そのものに対して、その近さゆえにどう振る舞うか、どう言葉を紡ぐべきかを考え、時に言葉を発すればただちに分断が生まれるという事態がありつつ、でも、この件は確かな証拠や証言もあり、「なかった」ということはまずもってあり得ないという確信をもって、被害に遭ってきた人たちとやりとりを重ねてきました。  でも、「係争中」、つまり

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