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「バクテン!!」を全日本チャンピオンが徹底解説⑤

今週もやってまいりました、男子新体操のアニメ「バクテン!!」の解説のお時間です!

今週は全然違った雰囲気のお話でしたね😂
「心霊現象×学校」といったベタな感じがテーマだった今回のお話は、学生感があってこれはこれで面白いなと思いました!

では、今週も注目ポイントを見ていきましょう!

これまでの解説のアーカイブはこちら↓

怪我の影響力

前回に引き続いて、今回も志田監督の過去が明らかになりましたね。

監督2人とマネージャーの栗駒が一緒に隠れているとき、馬淵監督は志田監督にこう聞きました。
「足の調子はどうなんだ?」
それに対し、志田監督は
「普通に生活する分には問題ありません。」
と答えました。

その後も続けて馬淵監督は
「もしあの試合にお前が出ていなければ」
と言ったわけですが…

志田監督は試合中の怪我で引退を余儀なくされた感じだったのでしょうか🤔
普通に生活する分には問題ないレベルとなると、相当大きな怪我だったのでしょう。
スポーツに突発的な怪我は付き物ですし、それによってその後の人生に影響が出ることだってあります。
志田監督もそのうちの一人で、タンブリングはもちろん、全力で走ったりすることもできないのかな…なんて思いました。

実際、そのような大きな怪我を負った選手の中には、志田監督のように期待度が高かった有名な選手もいれば、長年の努力のおかげでもう少しで芽が出るところだったというような選手もいます。
どちらにせよ、その悔しさというのは言葉にできるものではないと思います。

僕は実際そういったレベルの怪我はしたことがありませんが、骨折や腰痛などによって一時的に新体操ができなくなった経験はあります。
今となっては「自分を成長させてくれた経験の1つ」と思うことができますが、その時の自分は、その現実をなかなか素直に受け入れることができませんでしたね…。

スポーツを続ける限り常に付きまとう怪我のリスク。
特に新体操のような競技は「1回1回の怪我が大きい」という特徴があるので、練習では想像以上の集中力を要します。
団体競技に関しては、自分のミスによってチームメイトが怪我をすることもあるので、「絶対に他人に怪我をさせない」という気持ちが大切だったりします。

誰もが発展を願っている

同じシーンでは、馬淵先生からこんな言葉も出ました。

「お前があのまま現役を続けていれば、もっと盛り上がっていたかもなぁ」
「一人スター選手がいるだけでだいぶ違うはずだ。」

一見、志田監督の過去に触れただけのように見えたこのシーンですが、一番伝えたかったのはこの部分なのかなぁなんて僕は思いました。

煌びやかで華がある男子新体操ですが、その裏には「マイナースポーツ」という言葉が常に存在します。
新体操を知れば知るほどその裏側が見えてきて、多くの人に知ってもらいたくなる。
しかし、現実はそう上手くはいかない。
そのような大きな悩みのタネがこの競技には長年存在するのです。

しかし、志田監督はこう言いましたね。

「もしもの話をしても未来には繋がらない。」

過去を振り返って、「あの時こうしてればもっと認知度が上がっていたかも…」と考えるのはやめて、今自分たちにできることをそれぞれの持ち場で全力でやりましょう💪
学ぶために過去を知ることはとても大切ですが、多くの場合、過去は新しい発想を邪魔する足かせになります。

「今まではこうだったから」
「これまでこうやってきたから」
そんなことは考えず、どんどん新しいことに挑戦していける競技であって欲しいなと願うばかりです。

この「バクテン!!」というアニメもしかり、マンガ「シックス」、書籍「男子新体操完全ガイド」など、ここ最近はとてもいい流れをいただいています。
これをただ座って見ているのではなく、積極的にアクションを起こして未来に繋げていきたいですね!

美里とましろの関係性

今回は、美里とましろの中学生の時の話も少し出てきました。

ましろは転校生だったのですね🤔
今までしてきたスイミング、野球、バスケ…
全てのスポーツが簡単にできてしまって面白くなかったが、新体操だけは違ったとましろは言っていました。

新体操というスポーツが難しいから面白いというよりは、美里という存在がいるから面白いという感じの言い方でしたね。
きっとましろは、他のスポーツでは「ライバル」と呼べるような存在がいなかったから面白くなかったのでしょう。

美里をベタ褒めするのはいいのだけれど、実際の成績はましろの方が上。
これは美里にとっては本当に悔しいですよね…。
というか、ましろのセリフが全て嫌味に聞こえてしまいますよね😅

しかし、この2人はお互いにいい影響を及ぼし合っているということがすごくわかるシーンでしたね。
ここに双葉が絡んで、1年生3人の中にどういう化学反応が起きてくるのか?
今後の展開がとても楽しみですね😊

是非見て欲しい演技

さて、解説がいつもより少なめに終わってしまいましたので、突然ですが、僕のおすすめ演技をご紹介していきます!
YouTubeで「男子新体操」と検索すればたくさん動画が出てくるわけですが、だいたい皆さんが見そうな動画を紹介するのでは、僕がオススメする意味がない!!

ということで、かなりコアな視点のものをご紹介します😊

1、2000年 福岡大学

この動画、僕が大好きで良く見る動画のうちの1つです。
前半は中京大学、後半は福岡大学の演技の動画なのですが、僕はこのときの中京大学の演技が大好きです。
しかし、オススメしたいのは後半の福岡大学の演技。
注目ポイントは5分40秒あたりから始まるタンブリングの同時性。
1ミリもズレが見当たりません。
演技全体を見れば、「今の新体操と比べるとスピード感がなくて面白くないなぁ」なんて思うかも知れませんが、僕はこのスピードだからこそ、この時代の新体操の良さがあると思っています。
動きの深みがすんごく伝わってきて、見ていて気持ちがいい。

2、2010年 小林秀峰高校

選手の間ではなかなか伝説の演技です。
返事をしてフロアに入場してから演技がスタートするまで50秒…。
そうしてやっと組み立てた3段タワーを一瞬で倒すというインパクトの強さ!
いやー、これはすごい。
実は現在のルールではこの演技はアウトなんです。
この当時は「“曲がかかってから”○秒以内に動き出す」というルールだったのでこれでOKでしたが、現在は「“フロアに入場してから”○秒以内」というように演技開始までの秒数制限の定義が変わっているので、入場してから動き出すまでに50秒かかるこの演技は今では幻です。(確か現在のルールでは入場から30秒以内だったと思います…。)

※ちなみに、小林秀峰高校は2015年にこの3段タワーに再挑戦しています。
この時は演技の中でタワーの組み立てを行なっており、そのスピードは格段にアップしています。

3、2006年 青森山田高校、精研高校(現:井原高校)

どちらを紹介しようか迷ったのですが、選べないのでどちらも紹介します😂
(他の動画と画面が違いますが、タッチすると動画が見れます)

僕が青森山田高校で一番好きなのは2008年の演技なのですが、一番見た回数が多いのはこの2006年の演技だと思います。
2006年だと僕が小学校4年生の時かな…🤔
この曲のセンスとタンブリングの強さ、構成の面白さ。
いつ見てもこの演技は本当にすごい。
柔軟前の一連の動きがすごく流れが良くて僕は大好きです。

現在有名な井原高校は、一昔前は「精研高校」という名前だったのです。
久しぶりにこの演技を見ましたが、動きの綺麗さが半端じゃないですね…。
現代の選手に引けを取らないバランスの足の高さ、一つ一つの跳躍の高さ、綺麗な胸の反り…どこをとっても動きが綺麗です。
それでいてタンブリングも強いんですから…。
あ、ちなみに、第2タンブリング(同時バク転)は全員同じタンブリングをしているように見えますが、実は一人だけ違う技をやっている選手がいます。
間違い探ししてみてくださいね😏

これらの動画には新体操界ではとっても有名な選手が何人もいます。
小さい頃から動画でずっと見ていたので、僕からしたら芸能人並みの感覚なのですが…
大学を卒業してから数人の方とお仕事でご一緒させていただくことがありました!
これはもう本当にすごいことですよ!僕からしたら!
いやー、本当に感動だったなぁ。

まとめ

紹介しだすと止まらないので、今回はこの辺りで止めておきます🙇‍♂️
是非いろんな動画を見て、男子新体操を楽しんでみてくださいね!

あ、そういえば、今回の第5話は「かくれたい!」という題名でしたね🤔
お話はかくれんぼを題材にしたものでしたが、実際に男子新体操では「隠れる」という技術が存在するんですよ!
是非こちらも読んでみてくださいね😊

最後まで読んでいただきありがとうございました!
本日も右下のハートボタンを押すのをお忘れなく!!
ではまた次回!

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井藤 亘(いとう わたる)

🇺🇸フロリダ ディズニーワールド常設ショー
Cirque du Soleil 「Drawn to Life」男子新体操アーティスト🤸‍♀️

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YouTube:WATARUN VLOG

Twitter:@wataru_cirque

Instagram:@wataru_cirque

個人HP:男子新体操/井藤 亘Wataru Ito

・インターハイ団体優勝
・全日本新体操選手権大会団体4連覇
・テレビ東京「年忘れにっぽんの歌」鳥羽一郎コラボ 出演
・BS11「ザ・チーム〜勝利への方程式〜」出演
・TBS「音楽の日」三浦大知コラボ 出演
・Avex主催 「STAR ISLAND」サウジアラビア公演 出演
・中学、高等学校第1種教員免許状
・日本スポーツ協会公認 スポーツリーダー

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