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新体操ルール解説(4)

こんにちは!
こちらは3月17日17時です!

本日の話題

さて、本日ですが。
先日ツイッターにて皆様に投票をお願いしたテーマに沿って、解説を進めていきたいと思います。

題して!
「新体操の伴奏音楽にはどんなルールがあるの?」

ルールブックでは

まずは、ルールブックにおいて定義されているものを見てみましょう。

・全ての競技において伴奏音楽をつけなければならない。
・伴奏音楽はより良い音色とメロディーによって、特徴付けられるものでなければならない。すなわち演技の性格に合致し、途切れずはっきりとしたリズムを持ち、競技者の動きのリズムと調和していなければならない。
・組織者側に責任のない理由で伴奏音楽が中断された場合は、原則として競技の復行はできない。

引用:男子新体操 採点規則集2015年度版 
第1章 競技規則 8 一般的な競技規則 第45条 伴奏音楽 

他にも3点ほどありましたが、今回は上記の3つの定義について話していきます。

1、必ず音楽は必要

1点目に記載の通り、必ず演技には音楽をつけないといけません。
そもそも僕の20年近い新体操歴の中で曲なしで演技をしようとしている選手は見たことがありません…笑
曲なしで演技をすることなど考えたこともないけど、一応ルール上では”曲なしでやっちゃダメだよー”と定められているわけですね。

2、演技との相性

ここが一番重要で、一番難しいところです。
ルール上の文章だけ見ると、そんなの当たり前だよと思うかもしれません。

もちろん、選手たちは曲と演技の相性(スピード感、動きの質)などは演技を作る段階で意識します。
スピード感のある曲ならば、キレのある動きで早いリズムで演技を展開していきますし、しっとりとした曲ならば、しなやかな体の曲線が良く見える動きを作ったり、自然とラストポーズも柔らかい終わり方になったりと、曲の性格で演技はガラッと変わるものです。
※曲に演技を合わせるか、演技に曲を合わせるかは各選手の好みですが

ただ、初心者などの場合、素早い曲なのに手具操作がおぼつかず全然演技にスピードが出せなかったり、反対にゆったりした曲なのに動きが全て硬かったりなど、技術を理由にミスマッチを産んでしまうことがあります。
そういう場合に、見た側は違和感を覚えるんですね。
”ちょっと曲と合ってないな”と。

まぁ、実際はよほどの違和感もしくは不快感を感じない限りは減点はされないんですけどね。

あと、もう一つ大事なのは、文章の中にある”途切れずはっきりとしたリズムを持ち”という部分です。
個人なら1分半。団体なら3分。
途切れてはならないのですから、演技の途中で無音の状態があるのはあまりよろしくないのです。

そんな演技ある?
と思うかもしれませんが、そういう演出をしている演技は僕の記憶の中だけでもいくつかあります。
減点されているかは確かではありませんが、いわゆるグレーゾーンというやつですね笑
ここでは大々的に名前を出すわけにはいきませんので、知りたい方は僕まで直接ご連絡ください。

3、曲が止まった際の対応

もし演技中に曲が止まってしまったら?
僕のnote中で一番多くの方に見てもらえている記事ですが、こちらはその一例ですね。

”組織者側に責任のない理由”とは、機材の故障でない限りというのが主な解釈になるかと思います。
試合を運営している方たちが用意した音響機器に何かしらの問題があり、曲が止まってしまったということはごく稀ですが、あります。

ですが、”それ以外の場合は演技のやり直しは認めないよ”というのがこの文章の意味になります。
先ほどの記事の試合の時は、完全にこちらのミスなので、この時は演技のやり直しは認められませんでした。

曲が止まるというのはなかなかありませんが、曲をかけ間違えるというのはローカルな試合ではしばしば見かけるものです。
その場合は、選手が最初のポーズから動かなければもう一度やり直しは可能です。
少しでも動いてしまった場合は、その曲で最後までやり切るしかないですね…笑

2019年度から歌詞が許可

少し話は逸れますが、最後に僕の個人的な意見を少しだけ。
2019年度の試合からは、歌詞ありの曲の使用が認められるようになりました。

2013年度からは意味を持たない人の声の使用が許可。
それまでは人の声は一切禁止でした。

人の声を入れられるようになったことによって、曲がさらにバリエーション豊富になり、いろんな性格の演技が見られるようになりました。
そして、ついに意味を持った言葉、すなわち歌詞が許可されたわけですが、2019年度の試合を観戦された方々はどのような印象を持たれたでしょうか?

僕的には、”すごく難しいな”と思ったのが正直な感想です。
合っている人はあっているけど、あっていない人はあっていない。
演技を歌詞が後押ししているものもあれば、逆に歌詞が頭に入ってきちゃって全然演技に見入ることができないものもありました。

その感覚は人それぞれだと思います。
好きな選手が違えば、好きな音楽の趣味も違いますから。
それは、選手サイド・観客サイドの両方に言えます。
「すっごく感動した!!」という人もいれば、
「曲負けしちゃってる感じがした」という人もいるでしょう。

決してマイナスな捉え方をしているわけではありません。
つまりは何が言いたいかというと、観客側が選手の好みをよりはっきりと持てるようになったのではないかということです。

また、このルール改正によるメリットは、選手側の負担が減ったということです。
曲作成にはお金がかかります。
以前までは歌詞がある曲を使いたい場合は、作曲さんにお願いしてそれを消すか、新しく意味を持たない声に変えてもらうという作業が必要でした。
それをせず、自分で曲をカットするだけで済むので、選手的にはありがたいですね。
新体操はユニフォームや手具など、お金がかかる競技なので。

デメリットをあげるとすれば、選手と相対して作曲家さん側からすれば収入源が少なくなりますね。
もう一つあげるなら、YouTubeなどのメディアでの著作権の関係がより難しくなる(動画をアップロードするという意味でも、収入を得るという意味でも)ということです。
もし今後新体操会が、自分たちの演技を使って収入を得たい、活動資金源の一部にしたいと考えた場合、こちらがネックになるのではないでしょうか。
これに関してはあまり詳しくないのではっきりとしたことは言えませんが…。

とにかく自由度が増したことはいいことだと思います!
その分選手は、より深いところまで考えて、客観視をしながら演技を作っていかないといけないですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
何かわからないことがあれば、いつでもどこでも質問をお待ちしております!😊

新体操の音楽がどうやって作られていくかは、以前記事にしていますので、まだ読んだことがない方は、是非読んで見てくださいね!

次はどんなテーマで解説をしようかな…。
ぜひ皆様からのご要望もお待ちしております!

本日もよろしければシェアをよろしくお願いいたします!
ではまた次回!

井藤 亘(いとう わたる)
・シルクドゥソレイユアーティスト(Cirque du Soleil)
Twitter:@wataru_cirque
Instagram:@wataru_cirque

20年以上続けてきた「男子新体操」というスポーツをより多くの人に知ってもらうため、日々活動をしています!! 頂いたサポートは、今後の活動費、またはその勉強のために使わせていただきます!🙇‍♂️✨ また、サポートとともに記事のリクエストも募集しております。