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2021年度を振り返る⑩

コップから水があふれる時

学校に赴任してから、ずっと変わらないものがあった。

それは部活動。1年目に副顧問から始まり、2年目から去年の3月まで主顧問として部活動を持っていた。

競技はバスケットボール。正直経験が全くなかった。1年目の副顧問時にも主顧問はバスケットボールを専攻していない先生だった。

2年目から、部活の環境は生徒に提供できていたが、肝心の指導は全くできなかった。バスケットの競技は早い。最初のうちはボールを追うことしかできなかった。28m×15mを行ったり来たり。当たり前のことだが、0点で終わるということはない競技。

反則をジャッジしている審判もどうやってジャッジしているのか意味不明だった。競技ど素人の私にとって、言えることは二言。

「走れ」と「守れ」

本当に情けない指導者だった。こんな私ができることは何か。それは生徒が学べる環境を作るということ。

ここでも営業のペルソナを使っていたのかもしれない。初心者ということをフルに使い、合同練習や練習試合をセッティングしまくった。

新参者の私を、バスケット関係者は暖かく迎え入れてくれた。私が遠征当日、胃腸炎で動けなくなった時も、「生徒を送ってくれれば、今日の練習一緒に見るよ。」と言ってくれた。本当に感謝しかない。暖かい指導者の方々に支えられ、生徒と一緒に様々なバスケットを必死で学んだ。

聞き手じゃないドリブルが上手くなるように、シュート率がいつの間にか入るように、その感覚は突然訪れた。

バスケット顧問となって、8年目を迎えたあたりだろうか。なぜそのシチュエーションが起こったのか。プレイ中の何手前のプレーが悪かったのかを指摘できるようになったのだ。また、相手はこう攻めているから、こう守ろうということもわかるようになった。

私は器用な方ではないので8年かかったが、一気にコップに滴り落ちていた水が満杯となり、あふれるような不思議な感覚を味わうことができた。

バスケットに一旦ピリオドを打った私。しかしその経験と体験は自分自身を信じる原動力となっている。

まだ始まったばかり。わからないのは当然。一滴一滴、いつかコップから水があふれるまでやり続けよう。そう自分を奮い立たせた。


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