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若い女の前でババアの悪口を言うのはやめとけ


思い出話でございます。

大学生の頃に飲食店でバイトしていた。
そこの店長はまだ30後半くらいの若い男だったが、ブラック労働のあまり頭がイカれ始めていた。

私はめちゃくちゃ変な顔をしているのだが、
クソ真面目に仕事をしていたためか贔屓されるようになった。
今日もワタリノちゃんのために仕事頑張るよ!と頻繁に言ったり、シフトのたびにケーキを買ってきて、
ワタリノちゃんにだけ差し入れだよ!
みんなに内緒で裏で食べてね!
みたいな…今にして思えばくだらない茶番が始まった。

バックレが横行する終わった労働環境だったので、店長としての、労働力を繋ぎ止めるための業務の一環だったのであろう。

差し入れのほかにも、やたらと褒めてきた。
笑顔がいい、愛嬌がある、爽やかである、
と。

辟易したのは「若くていい」だった。

店長は昼間、ベテラン主婦パートらと働いていたのだが、全員ものすごく気が強くてパート同士で喧嘩してて気を使うし、仕事のやり方も我流を極めてて店長のいうことを全然聞かないのだという。

気強くてもさ〜、若い女の子なら許せるんだけどさ〜
ババアじゃん!無理だよね〜
女はああなったら終わりだよね〜
もうワタリノちゃんだけが俺の癒し〜


何を言ってんだこいつは。
私もいずれババアになるのだが。
褒めたつもりなのか、それで。
もっとこの店で働こう、と思わせたいのかよ、それで。

ベテランパート勢は確かに怖いが彼女らがいなかったら店が回らないくらい貢献していた。
どんなに貢献しててもババアだとババアであることを理由に蔑まれるんか。
やってられないよな。

若い女にむかって、ババアはババアたるがゆえに無価値と説くのは、
お前もいずれ俺にとっては無価値な存在になるんだぜ、という宣戦布告である。
それが真実だとしても言わぬ方が良いのは明らかである。

主婦パートに舐められて当然の店長だな、と二十歳そこそこの小娘にもわかった。
他人を舐めてる奴は、相手からそれを察知されて舐め返されるものだ。


若さを褒める男性というのは少なくない。
超絶変な顔の私ですらたびたび経験がある。
(そこしか褒めるところがないのだろうが)

並以上の顔の女であればなおさら言われているであろう。

そういう男性は、本気で褒め言葉と思っているフシがある。

男性にとって、女性の若さに大きな価値があるのは、わかる。
それを道徳的にどうこういうのがナンセンスなのもわかる。
ババアを褒めそやせって話でもない。
いや〜女の人は歳をとるほど素敵になるよねーなんて思ってないなら言わなくていい。

喧嘩を売るなって話。
ていうか無邪気に褒めない方がいいよな。
褒めるって怖いことだ。
センスがもろに出る。
余計なことは言わない方がいい。


今日、職場で若い女性部下を「若くてイイわ〜」と褒めてる男性上司を見かけて蘇った思い出。
セクハラですよ!の、半分笑い半分本気のツッコミが他の男性社員から即入ってたので安心?した。
が、たぶんその会話を聞いていた人の中で、その上司の評価は下がっただろう。

***

悪気はなくて、たぶん会話している相手をいい気持ちにさせたくて言うのだろう。
コミュニケーションて本当に難しい。

私は基本的に他人を褒めないように気をつけているが、別の形で失礼な発言をかますことが多く、たびたび自己嫌悪で死にそうになる。

極力喋らないように心がけていた若い頃は、
「なんで何も話さないんだ」
「私たちに会話する価値がないといわれてるみたいで不愉快だ」
とはっきり不快感を示された。
雑談もひとつの礼儀なのだと知り、
とりあえず自分からどうでもよい天気や交通情報について話しかけ、敵意がないことを示すようにはしているが、
それ以上の話が繰り広げられる場に出ると、もー無理。
広げられないし、頑張って広げると地雷を踏む。

喋るってしんどい。

ここに関しては、相手のいる行為だし、無理に直そうとすると相手に迷惑をかけそうなので、様子見で努力とする。

読んでくださってありがとうございました。

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