Toraを持つ女教皇

いわゆるThe High Priestess：女教皇ですけれど、彼女はTORAなるものを手に抱えています。

ぱっと見、新聞紙のように見えませんかね。聖書？と思ったりもしますけれど、彼女が持つ物体は本らしい形状はしていません。なんとなく、新聞のような、ポスターのような、どちらにしても巻物のような風になっています。

実は、これは正しい描写です。つまり、TORAは「本」ではないのです。

ではなんだ、と思うかもしれませんけれど、ユダヤ教の聖典が書かれている文書は、私たちたちが一般的に見るような本の形、つまり両面に印刷されてあって、片方が綴じられているというものではないのです。私たちがよく見るような巻物の形をしています（Scrollと呼ばれるものです）。

先日も発見されて話題になった死海文書ですけれど、英語ではDead Sea Scrollsであり、Dead Sea Booksではありません。あくまで巻物なんですね。そのことを正確にこのカードは伝えています。他にも直接触ったらダメとかありますけれど、そのような形の上でも、女教皇のカードはユダヤの伝統を引き継いでいると言ってもおかしくありません。興味深いですね。

なお、一般的にTora（もしくはTorah）は、（旧約）聖書の最初の五つの文書、すなわち創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記のことを指します。また、Torahそのものの意味は「教え」ということになります。