見出し画像

りょうくんグルメのSNS運用が戦略的すぎて驚愕したので全てのマーケ関係者に伝えたい

りょうくんグルメのクラウドファンディングが大失敗に終わり、ネットで話題になっています。

以前からTwitterで投稿を目にすることはあったものの、詳しく知らなかったので、この機会にいろいろ調べてみましたら...

とんでもなく素晴らしいSNS運用をされていたので、推測も交えつつ、戦略や施策についてまとめてみました。

「りょうくんグルメ」とは

「まじでこの世の全ての◯◯好きに教えてあげたいんだが」という書き出しの定型文で一躍有名になった、グルメ系インフルエンサー。

投稿の対象になったお店は、翌日から行列ができるほどの人気になることから、タピオカやチーズハットグのブームの生みの親とも言われ、飲食店経営者向けのマーケティングセミナーを開催すればチケットは完売。
取材記事やテレビ出演の実績も多数あり。

そして、Twitterのフォロワー42万人...!

Instagramのフォロワー24万人...!

しかも、SNS投稿を本格的に始めたのは2018年3月ごろだそうです。
尋常じゃない伸び率。


お手本のようなターゲティング

「グルメ」は、幅広い層の興味関心を集めるジャンルです。
それゆえに、ターゲットを上手く絞らないと、情報の有益性が結果的に薄れてしまう事態になりかねません。

さて、「りょうくんグルメ」のターゲットについて、下記のような情報がありました。

Instagramフォロワー14万人のうちわけは、90%が女性フォロワー。10代~20代前半のフォロワーが75%超です。
 :タピオカを流行らせたあの「りょうくんグルメ」がSNSグルメの秘密を語るセミナー ~りょうくん、はじめての登壇~

潔いターゲットの絞り込みです。

そして、対象を絞ることで、発信内容も自ずと定まってきますが、前提となる情報収集にはとにかく余念がありません。

「とにかく大事にしているのは情報収集です。Twitterはノイズが多いので、情報を集める場所はコミュニティが限定的で明確なInstagramがメイン。1日に最低でも6時間以上かけて、流行りそうなものや美味しそうなものを探し回ります。最近は現実世界よりSNSの世界で生きている時間のほうが長いくらい(笑)。
 :タピオカブームの火付け役が明かす「女子に絶対バズる3要素」
ほかにも、DMに飛んでくる『いま学校でこんなのが流行ってます』という生の情報も参考にすることもありますね。とにかく、リサーチに時間を割いています」
 :タピオカブームの火付け役が明かす「女子に絶対バズる3要素」

ここまでリサーチに時間を使っているからこそ、ホームラン級のバズを量産しつつ、フォロワーを獲得できているわけですね。


拡散に特化したTwitter

りょうくんグルメのツイートはすべてテンプレート化されており、定型文以外の投稿はありません。完全に属人性を排除した投稿内容です。

これがもう、botと言っても過言ではないぐらいの徹底ぶり。

実は、これは手を抜いている訳ではなく、工数をできる限り削減しつつも、拡散性を高めるための仕組み。

「Twitterの『まじでこの世の全ての○○好きに教えてあげたいんだが…』から始まる文言は、毎回文章を考える手間を省くために考えたんですよ。それだけじゃなくて、読み手にインパクトを残す文章にしたほうが、RT(リツイート)してもらいやすくなるんです」
 :タピオカブームの火付け役が明かす「女子に絶対バズる3要素」

また、最近ではリプライへの返信もほとんどしていません。
つまり、フォロワーとの交流もほぼありません。

結果として、Twitter運用の手間はほとんどかかっていないわけです。

しかし、投稿対象については非常によく考えられています。

「同じジャンルの料理がタイムラインに並ばないよう毎日バリエーションをつけている」
 :タピオカブームの火付け役が明かす「女子に絶対バズる3要素」
「たとえば、場所。都内でも、若い子があまり行かない地域のお店を紹介してもダメなんです。渋谷や新宿、新大久保とか、誰もが知っている街のほうがいい。それから、中華料理やラーメンはバズりにくいこともわかりました。若い子たちは中華料理というとチェーン店か中華街に行って食べるものだというイメージがあるそうで、街の中華料理店には入らないんです」
 :タピオカブームの火付け役が明かす「女子に絶対バズる3要素」
試行錯誤の末にたどり着いたのが、タピオカ・チーズ・芋の『3要素』。特に芋は、じゃがいもにしろ、さつまいもにしろ、種類を問わず間違いなくバズります。
 :タピオカブームの火付け役が明かす「女子に絶対バズる3要素」

検証するために、過去のツイートデータを取得し、分析してみました。

見事に「 池袋 〜 新宿 〜 渋谷 〜 原宿エリア 」に投稿が集中しています。

こちらも発言の通り、「チーズ」と「タピオカ」が頭一つ抜けています。「芋」は他のジャンルと組み合わせて取り上げられることが多いようです。

ちなみに、アンチも割と多いりょうくんですが、

「ツイッターのアンチについては、何も感じないですね。アンチがいないことにはSNS上で盛り上がらず、宣伝力も足りないのでむしろ必要な存在っすね(笑)。そのために癖のある文章にしたり、女の影をチラつかせたり、常にSNSで話題になるようにしてます」
 :あの大人気タピオカを流行らせた!? SNSと広がりを見せるインフルエンサー

りょうくんの思う壺みたいですね。

▼Twitterまとめ
りょうくんグルメのTwitterは、運用工数を可能な限り削減しつつも、有益な情報を的確に届けることに特化した、まさしく「バズ製造機」になっています。


コミュニケーションに特化したInstagram

一方、Instagramでは、お店の情報がよく分かる丁寧なキャプションが付いています。

キャプションの文量は凄まじく、Twitterの比較にならないぐらいの情報量。

コートをかけるハンガーもある。
黒いナプキンしっかり付き。
グラスが綺麗!!!
かなりデート向き。(ただし汗はかく)
 :りょうくんグルメ - 【中目黒 三宝亭東京ラボ中目黒店】

こんな風に、ユーザー目線の情報もあります。

りょうくんグルメのInstagramの特徴として、多くの投稿に女性が写っていることが挙げられるのですが、それも計算されているようで。

女性と一緒に商品を載せたほうが、商品のサイズ感が分かりやすいと細かい部分への気遣いも忘れていない。
 :あの大人気タピオカを流行らせた!? SNSと広がりを見せるインフルエンサー

Instagramの投稿については、ただ食べ物を載せるだけではない工夫もあります。だからこそ、毎日見ていても飽きません。

インスタグラムの投稿には、女性が多く映っている。理由は、インスタグラムにファッション性を取り入れたいから。食べ物がメインの投稿にも、人の顔を写さず女性の服やネイルを取り入れ、おしゃれな投稿にすることを心がけている。
 :あの大人気タピオカを流行らせた!? SNSと広がりを見せるインフルエンサー

さらに、ほとんどのコメントに即座に返信したり、ストーリーを活用したりと、リアルタイムな情報発信や交流も。

「RT」や「いいね」などでツイートが拡散し、フォロー外ユーザーからの情報との接点も多いTwitterに比べると、Instagramは同様の機能がなく拡散性が小さいため、情報もコミュニティも集約されているのが特徴。

りょうくんは、その特徴を上手く活用して、ファンとの密なコミュニケーションを実現しています。

▼Instagramまとめ
りょうくんグルメのInstagramは、ユーザー目線の情報提供とリアルタイムコミュニケーションに特化することで、高いエンゲージメントを実現しています。


フォロワーをファン化する導線設計

さらに驚くべきが、導線設計。

まず、これは初歩的なテクニックですが、プロフィールにInstagramへのリンクが設定されています。

それにしても紹介文が潔すぎて震えます。Twitterでは徹底してキャラクターを出していないようです。

そして、Twitterプロフィールの最上部に常時表示される「固定ツイート」が、Instagramへのリンクになっています。

Twitterで「りょうくんグルメ」のツイートを目にし、プロフィールを見に行ったユーザーが、Instagramへのリンクを踏むように導線が作られています。
Twitterはあくまで入り口に過ぎないのですね。

さらに、りょうくんはInstagramでは複数のアカウントを運用してるのですが、そのアカウントへの導線もよく考えられています。

りょうくんグルメのフォロワーは24万人なのに対し、フォローしているのはたった2人。
当然、気になってクリックしてみると...

その2つがりょうくんが運用するアカウントなのです。

2つのアカウントはいずれもコンビニグルメのアカウントです。

インスタ映えグルメとコンビニグルメという二軸でアカウントを運用することで、非日常的な情報と、日常的な情報の提供を両立させているのです。

素晴らしい...!


まとめ

まとめると、以下のような戦略設計になります。

① テンプレ化し運用工数を減らしたTwitterで拡散を起こし、認知を獲得
② プロフィールを閲覧してもらい、Instagramに誘導
③「インスタ映えグルメ」のアカウントをフォローしてもらう
④ 情報価値の高い投稿と積極的なコミュニケーションでファン化させる
⑤「コンビニグルメ」のアカウントも見てもらい、より高いエンゲージメントを実現する

力を入れるところと、無駄を省くところを明確に切り分けた、素晴らしい戦略だと思います。


================

▼宣伝
僕は現在、フリーランスのWEBマーケターとして活動しています。
SNSマーケティングのご相談などありましたら、ぜひお気軽にTwitterのDMよりお問い合わせください。SNSマーケティングの支援事業を行なっている会社さんもご紹介できます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?