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舞台付箋 エン*ゲキ#06即興音楽舞踏劇『砂の城』

初めて池田純矢氏が作るエン*ゲキシリーズを観てきました。10/16昼公演観劇。

■公演概要

作・演出: 池田純矢

公演期間
東京 2022年10月15日(土)~10月30日(日)
紀伊國屋ホール https://store.kinokuniya.co.jp/store/kinokuniya-hall/

大阪 2022年11月3日(木・祝)〜11月13日(日)
ABCホール https://www.asahi.co.jp/abchall/

・グッズ
公演パンフレット2,500円(40P / フルカラー / A4サイズ)
上演台本1,500円(本文113ページ / 横175mm×245mm)

・チケット
全席指定: 8,800円(税込)

STAFF
作・演出: 池田純矢
音楽: 和田俊輔、ハラヨシヒロ
音響: 井上直裕
照明: 大波多秀起
美術: 根来美咲
歌唱指導: 新良エツ子
振付: 吉野菜々子
演出助手: 高橋将貴、櫻井裕代
舞台監督: 下柳田龍太郎
メイク: 古橋香奈子、成谷充未
衣裳: 村瀬夏夜
衣裳進行: 伊藤優理
宣伝写真: 京介
宣伝美術: 田中ユウコ、渡部亜利沙
Web: 蘭わかば
ライター: 横川良明
PRディレクター: 森欣治
キャスティング: 梓菜穂子
制作協力: 設樂敬子
共同プロデュース: 山田泰彦、北村友香理
プロデュース: 森脇直人
宣伝: ディップス・プラネット
票券: サンライズプロモーション大阪
主催: 関西テレビ放送、サンライズプロモーション大阪、バール
製作: バール
協力: ジャニーズ事務所
フォスター
青二プロダクション
ヒラタオフィス
ケイファクトリー
キューブ
OTO.LIKO
atSound
劇団青年座
イレブンプレイ
LaRME
GOSHIKI
RING
dooo

https://enxgeki.com/#staffAnchor

■出演

テオ:中山優馬

レオニダス:岐洲匠
エウリュディケ:夏川アサ
アッタロス:野島健児

ゲルギオス:池田純矢
アデル:鈴木勝吾

バルツァ:升毅

Ensamble
佐竹真依 高見昌義 永森祐人 真辺美乃理 森澤碧音

ピアノ演奏:ハラヨシヒロ
(敬称略)

■作品概要

上演時間:2時間10分(休憩なし)
池田純矢氏が作るエン*ゲキシリーズ第六弾。前作#4『-4D-imetor』より約1年振りの舞台。

INTRODUCTION
《-即興音楽舞踏劇-》
ピアニストによる生演奏で紡がれる珠玉の音楽が世界を彩り、
物語の住人はあるがままに、即興で旋律を奏で舞う。
その日、その時、その瞬間にだけ、そっと貴方に届く密やかな物語は、
たった一度の為にだけ存在し、同じ弧を描く事は二度とない。
幻のように揺蕩う彼等の命を、より儚く、より刹那的に映すことで、
贅沢で濃密な空間が“舞台芸術の可能性”を描き出す。

これまでも様々な革新的作品を発表してきた「エン*ゲキ」シリーズ。その全てを糧に満を持して挑むのは、どこまでも自由な新境地。誰も知らない新たな芸術の産声が、アートシーンに燦然と響き渡る―。

https://enxgeki.com/

STORY

「僕らは、間違いを犯したー。」
颯爽と吹き抜ける風が、右に、左に、軋む大木に吊られた亡骸を揺らす。
その瞳は虚無だけを映すようで、しかし生を渇望するようでもある。
それでも"今"は彼を置き去りに、なにもなかったように過ぎていく-。

国土を砂地に覆われた大海の孤島、アミリア―。
街はずれの農地に暮らすテオ(中山優馬)はこの日、人生の門出に立っていた。
領主・アッタロス(野島健児)の娘で、幼馴染のエウリデュケ(夏川アサ)と念願の婚礼を迎え、晴れてひとつの夫婦となるのだ。
共に育った親友のアデル(鈴木勝吾)らも歓声を挙げ、全てが幸福に満ち溢れていた。

時を同じくして、宮廷では国王崩御の報せが舞い踊っていた。
王位継承権を持つ太子・ゲルギオス(池田純矢)はこの機を逃すまいと、最高文官である宰相・バルツァ(升毅)と共に邪な策を練る。
しかし、先王の遺言によってこれまで隠匿されていた「王家の血を継ぐ庶子」の存在が公然の事実となる。
玉座を確たるものにせんと、ゲルギオスは秘密裏に謀殺を企てるが…。

そんな折、テオらの暮らす地に王国からの勅令軍が訪れた事で、
エウリデュケの従者で奴隷の男・レオニダス(岐洲匠)こそが、王家の血を継ぐ高貴な者であることが判明する。
この日を境に、交わる事のなかったテオとレオニダスの運命は強く結びつき、次第に幸福だった日常は"砂の城"のように脆く、崩れ堕ちてゆく…。

誰もが迷い、誰もが苦しみ、抗いようのない悲哀と憂いに縛られながらも其々が選んだ道は、果たして正しかったのか、それとも―。

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■舞台付箋

・初めてのエン*ゲキ舞台としてはハードルが高かったかもしれない。
・エンターテイメント、としての舞台というよりは、芸術としての舞台という感覚。
・あらすじを個人的な印象で一言で表すなら、イケオジ悪逆成り上がり物語(視点がとても限られる偏った見方)
・全体的に俯瞰するなら、虚無と愛、その並んだ己という世界。
・見終えて、あーたのしかったー!と物語に喜怒哀楽を寄り添って感じる系ではなく、芝居の中に落とされた一つ一つを拾い上げて、何処か重なるような重ならないような、人間をみていく舞台だと感じた。それは自分かもしれない、あなたかもしれない。自分ではないかもしれない、あなたではないかもしれない。いつか何処かの誰かの話であり、今此処に在る自分かもしれない。愛を失い、愛を信じて、全てを失くしてしまう人間、或いは、愛を捨て、愛を信じて、全てを手放す人間がいたかもしれない話。
・飲み込むのには時間がかかる。
・観客の心から主演が見捨てられる/嫌われるような作り方。あれは誰も好きになれん。いやむしろ登場人物、全員好きになれんが。
・大まかに思い出すと、愛の物語。けれど一言で表現しきれない、愛。自己愛だとか憐憫だとか、求める愛だとか求められたい愛だとか、親子愛に恋人との恋愛、見守りたい愛だとか略奪愛だとか、自分を愛せるか他者を愛せるか、異性愛や同性愛、アガペーとエロス、だとか。美しく尊いものという愛は、わかるように描かれない。ただ描かれていない訳では無いと思う。それを見つけ出すのがとても難しい、というだけで。
・プレスのレポート等を見るに、即興で歌い、踊っている「アドリブミュージカル」であるらしいのだが、観劇1回のみの予定のため、何がどう即興性があるのかはわかっていない。台本もあって歌詞もあるのに即興……?とよくわかっていないのだが、多分これが作られたときに即興でミュージカルが作られたのだろうか……?

愛を信じたくて、信じ過ぎる事もできず、信じられない事も知っていて、愛を信じきれない人間が、愛を信じて作った舞台、そんな印象を受けた。

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