舞台付箋 『舞台 真・三國無双~荊州争奪戦IF~』

舞台サンムソ第……何弾でしたっけ2017年無印初演から数えると5作品目、2020年の製作委員会方式に制作が変わってからだとIF2作品目。サンムソ観たぞ!!という記録。9/4マチネ、前楽9/7ソワレ観劇。

■公演概要

原作・監修:コーエーテクモゲームス
構成・演出・振付:西田大輔
企画・製作:「舞台 真・三國無双」製作委員会
スーパーエキセントリックシアター / ABCフロンティア / サイバード / サンライズプロモーション大阪
協力:テレビ朝日
https://sangokumusou-stage.com/

公演期間
2021年9月3日(金)〜9月8日(水)
EX THEATER ROPPONGI
https://www.ex-theater.com/
・グッズ
劇場販売あり。
公演終了後に事後通販予定あり。
https://set-goods.com/

・チケット
一般 ¥11,000(税込/全席指定)
一般(パンフレット付き)¥13,000(税込/全席指定)

■出演

曹操:波岡一喜
蔡文姫:宮崎理奈
曹仁:内堀克利
張遼:野澤祐樹(ジャニーズJr.)
楽進:正木郁
満寵:東将司

孫権軍
孫権:冨岡健翔(ジャニーズJr.)
周瑜:平野良
小喬:大西桃香
陸遜:村瀬文宣
甘寧:宇野結也
魯粛:鈴木祐大
孫尚香:搗宮姫奈

劉備軍
劉備:笠原紳司
諸葛亮:秋沢健太朗
月英:上西恵
関羽:松川大祐
張飛:林明寛
趙雲:小早川俊輔

アンサンブル
海本博章 大塚晋也 書川勇輝 佐藤佑樹 田上健太 田嶋悠理 辻村晃慶 中土井俊允 本間健大 和田啓汰

■作品概要

昨年2020年公演『赤壁の戦いIF』より制作が変わっており、本作は製作委員会方式になって2作目となる舞台・真三國無双 荊州争奪戦IF。前作・赤壁の戦いIFからの続投出演者は少ないながらも、新たなキャストとともに荊州争奪戦を描く。


~荊州争奪戦IF~
「赤壁の戦い」の後、荊州を巡る争いの中、命を散らすはずだった孫呉の大都督・周瑜。
だが、その情熱は天命をも動かし、新たな天下への道が示される。
南郡争奪の最中、燃え尽きるはずだった紅き情熱・周瑜。
だが、彼は天下二分を果たすべく、新たな歴史を奏でていく。
亡き友よ、聞け……これが周公瑾、渾身の旋律だ……!
その流麗な物腰に、熱い情熱を秘めた孫呉の大都督・周瑜。彼が生きていれば、どのような歴史が描かれたのだろうか?

公式ウェブサイトより引用

■舞台付箋

真・三國無双での赤壁の戦い後に周瑜が生きていたら、というIFを描く舞台作品。しかしながらゲーム真三國無双はおろか演義としての三国志も、史実における三国時代も朧げで、「殷周春秋~」をヨドバシカメラのメロディで覚えた筈なのにすっかり忘れているので、数ある三国志モチーフ作品(映画、小説、アニメ、ゲーム等)で「赤壁の戦い」や「官渡の戦い」をなんとか覚えたものの、荊州を争奪戦するとは!?周瑜その前に死んでたん!?となるので最早何処からIFが始まっていたのかよくわかっていない観客でござい。
しかし筆者は知っている。舞台戦国BASARAと舞台真三國無双はストーリーを考えるな殺陣を刮目せよ系舞台である、と――。

・此処がすごいよ上演時間2時間半のうち八割殺陣
殺陣→軍師同士の策略謀略→殺陣→周瑜の苦悩→殺陣→IFという選択→殺陣→軍師の謀略→殺陣→殺陣→殺陣→宴→殺陣→殺陣→殺陣殺陣殺陣→周瑜が掴んだIFという未来或いは可能性、というような。
ほら~~~!!ほぼ!!殺陣!!知ってた!と観終えた後に思い浮かべるくらいには殺陣でした。よく知らんのですが普通にOPだけで3000手は超えているだろうし、全部で○万手あるよ、ともしも言われたとしてもほへーーーーとか言いようがない。殺陣の数は数えられません。語彙がなくなりますが、まじすごい。殺陣でお腹いっぱい。

・此処がすごいよ”八割殺陣”を形作る全出演者の根性
公演期間が短く公演配信もなかったため2度しか観劇できなかったのですが2度公演を観て、休憩含む2時間半をほぼぶっ通して各々が武器を振り回し走り抜ける舞台サンムソは本当おかしい。役名のある主演キャストも役名の無いアンサンブルも、ずっと走りっ放し。それでも尚、息を切らして疲れたところを見せないのが役者の鑑。すごい。
いやまあ何、絶対に走らない諸葛亮とかいますけども。あれは狡い。扇ビームで遠方の敵も倒してしまうのであれは狡い。(大切なことなので2回ry)

細かく思い出すならば座席が遠かった観劇1度目は、殺陣が多いにも関わらず全体がもっさりしているように感じていました。舞台サンムソを初演から観ている身としては、あの震えるような、休憩なし2時間最高の殺陣しかない初演サンムソを思い出してがっかりしてしまうほど、何か足りない気がしたのです。が、2度目の前楽を観てその考えは変わりました。多分、1度目は座席が遠くて集中力と没入感が少なかったのだと思われます。2度目にしてやっと気づいた訳です。これは、軍の情勢が、国を獲るために何が必要か、誰がどう動くべきか……そういう細かいことは考えずにただ、人間の生き様を目に焼き付ける舞台だ、と。

・これは周瑜の物語であり、道筋から外れたIFを殺す物語
脚本も(軍師達の策略やら軍の侵攻等の細かい展開は聞き流して)わかりやすい方だと思います。何せ八割殺陣なので。
IFを掴んだはずの周瑜の滲み出る辛酸或いは苦渋、平坦な顔色で志と真逆の残虐を前にして為すべきを為せと己が主・劉備に迫る諸葛亮、郭嘉という軍師を欠いて尚、世を統べる、それだけを目指し立ち続ける曹操。義は何処にあるのか。周瑜の苦渋を知りながらその策を為すことを是とした孫権も良かった。
そして昨年2020年公演の郭嘉(丘山晴己)主演の赤壁の戦いIFもそうでしたが、掴み取ったはずのIFが、世界が変わることを許さないかのように今作の周瑜をじわじわと苦しめるのも良き演出にございます。こういうの好きです。お前は未来を掴めたと思っただろうが、許さぬ、と言わんばかりに周瑜の身体を蝕むものがいる。前作郭嘉は結局その生を終えて終幕し(たように見え)ましたし。

・惜しむべく潰えたDVD化の可能性
出演者をみる限り、権利関係諸々に厳しいJ事務所所属が数名いるので昨年2020年に引き続き、円盤化の希望はないと見ています。実際、グッズ展開でも該当の事務所所属キャストのブロマイド、ランダムグッズの販売はなく、幕が上がった公演初日から9/7時点で劇場内・公式twitterでの告知はありません。
去年、前作公演が終わった時点で円盤の話が出てないことにさっさと気づけばよかった……と一年経って凹んでおります。赤壁の戦いIFもめっちゃ楽しかったのに。今作、キャスト変更もありますが4名の女性キャストもいて全員麗しき戦闘場面が多いのに!!もともと同じ軍だった孫尚香と小喬の対戦カードとか今までなかったのに!!DVD化しないのは悲しすぎる!!公演アンケートの存在も見当たらないので、叫ぶところが見つからないのも悲しみに拍車をかけております。
記憶は薄れるものなので、可能な限り円盤化して欲しいものです。残るのは瞼の裏にうっすらのこる光と影と、楽しかった、という感情の残り香だけになってしまうの、割と楽しいけど悲しいものです。
今作を見て、その良い芝居を目に焼き付けて、やっとJ事務所所属タレントへの嫌悪感が薄れてきたところだったのですが、やはりあの事務所は苦手です。(舞台銀英伝で慕っている親友の姉の名を本番中に噛むキルヒアイスは存在しちゃあいけないんですよ……)

この記事が参加している募集