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旅と旅行について。

 旅と旅行。
 同じ意味合いの言葉ではあるけれど、振り返れば自分の中では明確に使い分けていたように思う。前者は行き当たりばったりの道行き。後者は計画的な観光。宛てのない旅行、家族旅、という組み合わせをあまり見かけないことから、一般的にも同じように使い分けられることが多いのだろうと思う。

 ではここ最近の自分の遠出はどうであったか。旅の内情を知っている自分からすれば、それは「旅を装った旅行」であったように感じている。予約した新幹線やバスの発着時間はともかく、どこどこに飲食店があって、ここでレンタサイクルを借りて、ホテルは大浴場と朝食が評判のここで~、といった感じに下調べをしまくって、ときには予定外の行動を取らせることもあったけれど、おおむね計画的に旅程をこなしていたように思う。
 そういった旅は無論、美味しいし寛げるし楽しい。旅先を満喫できていると思う。でも同時に、いつもこっそりこう思ってきた。画面の中で見た光景と同じものを現地で眺めてキレイだと思い、クチコミで評判の料理に舌鼓を打ち、星4以上の宿に満足をする。事前にそうなるだろうと知っていた感動を、その通りに味わっているだけなんじゃないか、って。

 以前は違った。もう片っ端からぎっちぎちに計画を立てていた。北海道をバイクで2週間巡ったときはひどいものだった。どこに泊まって、どこで何を食べる。全部事前に決めていた。それはとてもむなしい旅行だった。その反動で、まったく何も決めないまま原付で旅に出ることが増えた。ケータイすら置いていった。朝起きて外に出て、じゃあ今日はこっちのほうに行ってみようか、なんて。観光案内所に行ってその土地の地図を手に入れて、「今日このへんで泊まれる宿ないですか?」。その宿が何だか気に入ったら「もう一泊できます?」。山ん中のコテージで風邪で寝込んでぐっすり寝て体調は回復したけれど食料がなくて、腹減りで適当に走って山を下りたとこにあった豆腐屋に入って、その日は(確か)貸切予約だったけど一人くらいならと定食を作ってくれて、そのときに食べた白米の美味しさといったら。もう10年以上前だけれど、今でもあのときの『感じ』は濃く胸に残っている。とても、楽しかった。

 そうして今。新幹線やレンタサイクル、徒歩を交通手段とすることが増えた最近の自分の遠出(原付で事故って骨折して治ったものの、それ以来原付に乗ってると肩が無茶苦茶凝るようになったので、原付はもう手放しました)。計画を立てすぎない、ということを念頭に置きつつも、調べてあれこれと考えている時間が楽しく、つい色々と情報を取り込んでしまい、こっちもあっちも行ってみたいなと思う。その反面『思いがけない』という要素が旅を一番楽しくさせるとも思っているので、夜、酒を飲みに行くときは、適当に歩いてみて行き当たりばったりで店を決めさせている。つまり自分なりに計画と無計画の折衷案を組んでいるわけだ。が、やっぱりそのときの気分で行動するあのときの旅に比べれば。

 もちろん何も調べないで遠くに行けば、失敗やトラブルはつきものだろう。乗り継ぎは絶対スムーズにいかない。まずい料理に出くわすかもしれないし、食いっぱぐれることだって。ひどい宿で過ごすこともあれば、ネット予約よりも高い料金を支払うこともきっとある。誰かと一緒の旅行であれば、そういうのは避けたほうがいいとは思う。けれど一人旅であれば、全部自分の受け止め次第だ。何より『思いがけない』旅をするには、交通手段の予約の時間以外、何も調べないことが必須条件だと思われる。というわけで、近々そういう旅をしてこようかと。

 旅先は今までもお世話になった「どこかにビューン!」で、すでに決まっております。原付旅だと割と楽に町を移動できたから宿にはそこまで苦労しなかったけれど、電車旅の場合さすがに泊まるとこは調べたほうがいいんじゃないか? という懸念はありつつも、まぁ電車の通っている地域を旅するわけだし、何とかなるんじゃないかという楽観もあります(言語の異なる国を旅するわけでもなし、砂漠や密林、紛争地帯を行くわけでもあるまいし)。いざとなれば宿のある街まで歩けばいいわけだし、自分の脚なら多分それができる。スマホは持っていくけれど、ネットは極力使わない。何か知りたいことがあれば現地の方にまず尋ねてみる。泊まる宿が一択しかないのであれば、宿の玄関前でネットの当日限定の安いプランを調べるのもアリかとは思うが、まぁそのへんは当日のノリで決めようかと。

 はい、本稿は自分が旅と旅行について言葉で整理をしておきたかったのでしたためました。あとはやっぱり今度の旅先のこと調べたいなぁ……、という思いがこんこんと湧いているので、自分の求めている旅を明確にして下調べ欲を抑制したいという側面も大いにあります。そうしてそれを投稿するということは、共感して下さる方がいるかな、という気持ちも。
 まぁ、うまくいっても、だめになっても、何にせよとても楽しみです。

 それではまた後日の旅日記でお会いしましょう。ノシ

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