昭和遊女考(祠の参考文献にかえて)
遊女や遊郭について記した書物は数多くあれど、昔遊女の実際の言葉を、そのまま書き記した本というのは、実に少ない。
一番深い傷、そぅさねぇ、妹の嫁入りだ言うて母さが金借りに来た時かいネ、姉のお下働きの涙の金が、いっぱしの男の女房になれる妹の祝い金だと思ぅた時、
「何で私ばかりお股開きで仕送りせんならんのか、妹にも同じ事させりゃ良い」
母さに言いたかったがグンとこらえた。その分、心に傷がギィとついた。体全部、痛かったョ。(鬼追い47頁)
小説の史料として読んだはずだった