見出し画像

AI時代に人間らしく提供できる価値は何か?

株式会社UNCOVER TRUTHというスタートアップ企業でCFO(Chief Financial Officer)をしている渡邊祐也です。CFOという名の通り、財務・資金調達・経営管理などの仕事をしています。

みなさんは、ヤフーCSO安宅さんの著書『シン・ニホン』という本をご存知でしょうか?
このたび、シン・ニホンのアンバサダー養成講座を修了し、晴れて5期アンバサダーに就任したことをご報告します。
アンバサダー講座を通じて、シン・ニホンへの理解を深め、「残すに値する未来」を創りたいと志すたくさんの仲間に出会うこともできました。
ここでは、私のようなビジネスパーソンにとってシン・ニホンをどう読むのかという視点で、noteを書きました。少しでもみなさんの気づき、問いにつながることを願ってます。

シン・ニホンはビジネスパーソンにとってどんな本か?

シン・ニホンは、「AI」「データマネジメント」「教育」にまつわる日本の現状を知ってアクションを起こしたいと考えるビジネスパーソンにとって最適な本、であると考えてます。

ただし、教育というテーマひとつをとっても、書かれている内容は、中高大、大学院、社会人、ミドル層のリカレント教育まで年代は広く、領域もかなり広範囲で相当な読み応えがあります。そこにある課題や発見は複数あり、どの世代にも気づきを与えてくれる内容になっています。

一方、忙しいビジネスマンにとってこのようなボリュームあるビジネス書をすべて熟読する時間はないでしょう。その場合は、ビジネスに関わりそうな部分を切り取って読んでも構いません。例えばこのような内容があります。

・事業の成長を決める4つの要素は、戦略、実行力、リーダー、市場

事業の成長を決める要素は4つあり、戦略、実行力、リーダー、そして市場である。マッキンゼーの調べで「事業成長の7割以上が単一のファクター、市場によって説明できる」との調査があり、どの山を登るか、成長ポテンシャルがある市場を決めることが大事。

・ミドル・マネジメント層の活用

500万〜1,000万人程度と思われるミドル・マネジメント層をどのように活かすか。彼らの深いドメイン知識と、人を励まし育てるスキルを掛け合わせることで、人によってはその仕組みをつくるアーキテクト的な役割を担ってもらう。

・組織課題解決の方法の一例

・事業の進化、個人の成長・希望に伴い、ダイナミックに配置変更する
・会社に縛り付けず、会社間もダイナミックに動くことを受け入れる
・コミットしてもらっているミッションに影響がない範囲で副業を行うことを、現実的な範囲で認める
・生産性を下げる要因を徹底的にデータドリブンに検出、コントロールする

また、シン・ニホン全体を一読すれば、日本がオワコンになりかけている危機感を感じ、何か行動を起こしたいと考えるでしょう。
自分がミドルマネジメント層であれば、「じゃまおじ」「じゃまおば」にならないために、リカレント教育に興味を持ち、データマネジメント講座に申し込むかもしれません。それも大切な行動です。

シン・ニホンから読み解く「人間らしく提供できる価値は何か?」

この問いを考えるために背景を整理すると、日本では少子高齢化や労働人口の減少、優秀な人材の海外流出などに直面することが予測されています。これらの課題に対して、「課題解決先進国」として、未来を創る必要があります。
「人間らしく提供できる価値は何か?」という問いに対する私の回答は、

「課題、技術、デザインをつなぎ合わせて未来を創ること」であると考えています。

このフレーズを初めて読んだ時、共感のあまり声に出して頷いてしまいました。

素晴らしい世界を描き、領域を超えたものをつなぎデザインする力が、これまで以上に重要な時代を僕らは生きている。
新しい学問分野やビジネスアイディア、社会課題解決に繋がる価値提供活動は、境界領域から生まれる。

また、この方程式も忘れられません。

未来=課題×技術×デザイン

データ×AI、バイオ技術、土木・建築技術、電気電子技術、医療技術、その他もろもろの科学的な知識やそれらを適用する技術は大事だが、それだけでは未来の創造につながらない。こんな課題を解きたい、こんな世界を生み出したい、そういう気持ちなしで、手なり以外の未来など生まれる理由がない。

残すに値する未来を実現するためには、一人一人の素養と知覚を磨くことだけでなく、コレクティブインパクトが必要だとも考えてます。
コレクティブインパクトとは、様々なプレイヤーが共同して社会課題解決に取り組むための一つのスキームであり、共同の効果を最大化するための枠組みです。

このフレーズも強烈に残っています。

かつてアラン・ケイは「未来を予測するのに一番いい方法はそれを発明することだ」と語った。まさに先が読めない世界の未来についての対応方針の1つと言えるだろう。

そして、どのような場面でも大事なのは、問いを立てて人を動かすこと。ファシリテーションではこれが求められる。

アンバサダーとは?

シン・ニホンのアンバサダーは、行動する人を増やす、行動の総量を増やすことを目指してます。

今回、アンバサダー講座に参加したいと思った理由は、シン・ニホンを今よりも深く理解して、多くの人にその内容を知ってもらう活動をしたいと思ったからでした。
アンバサダー講座は、約2ヶ月で全8回。参加していたのは、大学受験を控えた高校3年生、大学生、社会人も年代や職種が違うさまざまな方でした。

講座では各章ごとに問い立てし、ファシリテーターが進行します。普通の読書会と違うのは、ファシリテーションに対するフィードバックを行うところです。
この本の編集者である井上さん、岩佐さんとの対話もありました。 シン・ニホンが書籍として世に出る前の苦労話などをお聞きし、ますますシン・ニホンに対する愛着が強くなりました。

講座は、毎週木曜日2時間です。
たった2時間、1日あたり仕事などの活動時間が10時間として週50時間費やしているうちのたった4%ですが、講座を終えた今はその4%の活動がなくなったことで、何か喪失感を感じたりしてます。

これからは、週に2時間は、シン・ニホン的活動をしたいと思った。

今後、何をやりたいのか?

社会的インパクト生み出す資金の流れを増やしたい

自分は長くベンチャーファイナンスに関わっています。最近のマーケット状況は、数百億円規模のファンドが立ち上がったり、ユニコーン企業が出てきたり、各社がCVCを設立して、ベンチャー企業にとっての資金調達環境は整ってきました。一方、インパクト投資と言われる規模はまだまだ小さいのが現状です。(インパクト投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動)

また、寄付市場が拡大していないことにも課題を感じてます。日本の寄付市場、GDPに対する寄付金額は欧米に比べてかなり低い。また、大学の予算も寄付で賄われているのは数%です。
クラウドファンディングも購入型と寄付型を比べるとまだまだ寄付型が小さい。
お金は経済の血液であり常に流れていますが、社会的インパクトを生み出す資金の流れを創りたい。
企業が利益を上げ、たとえば業績予想から30%上回り株価が上がったとき、それで社会が良くなっているのか?いつもこの問いが自分の中にあります。

「将来自分は何をしたいか?」という問いに対して、いつも考えていることは長く働きたい!ということです。30年後は76歳。少なくともそこまでは元気に仕事したい。社会に価値提供し続ける仕事がしたいです。

約30年後、2050年には労働人口が相当減ると予測される中で、自分がビジネスマンとして社会に価値ある仕事を提供していたい。その思いで生きてます。その思いの中心に、シン・ニホンがあります。これからも、地球と人生の持続可能性を学び続け、シン・ニホンのアンバサダーとして相応しい人物になるよう切磋琢磨していきます。