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ごく普通のサラリーマンが無人のレコード屋(&古本屋)をやってみた その2 〜オープン前に課題は山積みの巻〜

前回の記事はこちら。
ごく普通のサラリーマンが無人のレコード屋(&古本屋)をやってみた その1 〜開店準備にてんやわんやの巻〜

お店のホームページはこちら。
https://www.mujinrecords.com/

毎日必死で更新しているインスタはこっち
https://www.instagram.com/mujinrecords/

【前回までのあらすじ】

 ごくごく普通のサラリーマンの僕は、本業の傍ら古本とレコードの無人販売店を経営することに。文京区千石の築60年の物件を借り、本とレコードを友人たちから譲り受け、無人販売のシステムを作った。物件を契約してから2か月が経ち、あとはオープンするだけ、の段階。しかし、ぶっつけ本番で開店するのには色々と不安があったため、検証を兼ねてプレオープニングパーティーを行うことにした。

【開店前の懸念点】

 かなり時間をかけて準備はしたのだけれど、ムジンレコーズの開店準備を進めていく上で主な懸念点が三つあった。

1. 無人の販売システムは機能するのか
 詳しくは前回の記事に書いているのだが、当初ムジンレコーズではガチャガチャを使った決済システムを採用していた。三鷹の無人古本屋BOOKROADさんの方法を丸パクリしたので問題ないと思いつつ。しかし、これを初めて来た人に理解してもらえるか。利用する上で不具合など起きないか。イマイチ自信が持てなかった。僕は実際に行ったことなかったし。三鷹は遠い。

結構高かったガチャガチャ

2. 品揃え、値付けは妥当か
 オープン前に店に並べた本・レコードは8割が僕の持ち物。これをどう評価されるかかなり不安だった。これまで他の人に本・レコード棚をしっかり見せることをしていなかったので、「マジ趣味悪くない?」とか言われるんじゃないかと。言われたらもう絶対立ち直れない。また、値付けについても自信がなかった。レコードはDiscogs(注:世界のレコードの情報や価格がまとまっているウェブサイト)をみれば市場価格が一発でわかるのでまだ良い。問題は古本。相場が全然わからない。珍しい本や骨董品として価値があるものは、ウェブで調べれば分かるけれど、そのようなものは一つもない。amazonをみれば価格はわかるけどほぼほぼ「1円+配送費」とか。いつも思うんだけど配送費がめちゃんこ高いのあれ何なんでしょうか。

3. お客さんの口コミ宣伝してくれるか
 ムジンレコーズの立地は小売店として最悪。都営三田線千石駅から徒歩2分という駅近ではあるものの、道路から私道を一本入ったところにあるため、店舗前の通行者数はほぼゼロ。口コミに頼るしかないと思っていた。一度店に来てくれた人がそれをインスタ、ツイッターで拡散してもらえるか、それでフォロワー&来店者数がどれだけ増えるかもかなり謎。オープン前に来客者の口コミ効果をざっくりでも把握しておきたかった。

【検証のためプレオープニングパーティー開催】

上にあげた3つを検証するために、「初めて店のシステムを見る人」「本、レコードをある程度好きな人」「インスタ、SNSをやっている人」「何か不具合が起こっても怒らない人」を複数名集めなければいけない。という訳で、プレオープニングパーティーを開くことにした。
 DJ(みんな友人だけど)をブッキングし、ターンテーブルとミキサー&業務用スピーカーを家から店に搬入。フェイスブックでイベントを作成し告知。フリードリンク、フリーフードとした甲斐もあってか参加予定者は16名となった。(店の広さ的にこれくらいがマックス)
 本当は僕が好きなストリッパーの人(山咲みみさん)に踊ってもらったり、占い師を呼んでこの店の将来を占ってもらったりしたかったのだけど、予算の関係で断念した。いつか絶対にやりたいと思っている。ストリップのあのポール、どこで買えるかとどうやって設置するかを知っている人いたら教えてください。
 ちなみにパーティーのクレジットは以下。(記録として記載しておく)

DJ's
Nozomi Takagi
Beki Kaneko
Yoshiyuki Ohmori
Ikko Watanabe
Photo
Natsumi Nakata 

 結果とっても楽しいパーティーになった。憧れていたシャンパンをポーンって開けるやつもやれたし(開店祝い)、しばらく会っていない人にも会えたし。ただ、検証結果としてはあまりというかかなりというか全然良くなかった。

パーティー自体は楽しかった

【検証1:無人決済は問題ないか➡︎✖️問題だらけ】

当初の無人決済の方法
ガチャガチャで300円と500円のシールを販売。商品についている値札にシールを貼り付けることで商品の決済が完了する
(例:300円の商品なら、ガチャガチャを回し300円のシールを1枚購入し値札に貼り付け。800円の商品なら300円のシール1枚と500円のシール1枚を値札に貼れば会計が完了する)。

ボツ案

 これの評判が非常に悪かった。酷評の嵐。いただいたありがたいコメントは以下。
「800円の本を買うために、千円札を両替して、ガチャガチャに100円玉を8枚入れて、回して、カプセル取り出して、シールをちまちま貼るなんて面倒くさすぎる。有り得ない」
「21世紀の若者が現金を持ち歩いていると思うなよ」
「なんかガチャガチャ壊れてない?全然回らないんだけど?」

 この日、それでも売り上げ自体は8000円あったのだけど、このままではオープンできないことは明らかだった。ましてや無人でなんて絶対無理。ガチャガチャを使うのはやめてスマホでの決済方法を模索することに。

改善した無人決済の方法
店内のQRコードをスマホで読み取りネットショップ(base)にリンクさせる。リンクした先のネットショップで店内で買いたい商品と同じ価格のものを購入する。商品は店からそのまま持って帰れる。

現行のもの。
スペースが空いてあるところにはQRコードが入ります

当初はQRコード決済(PayPay、楽天ペイ、メルペイ)での運用を考えていたのだが、全国シェア1位のPayPayの申請が通らなかった。開業届の控えが必要だし、開業届を出してからの審査期間が発生する。赤字が膨らむ前に一刻も早くオープンさせたかったため、一旦QRコード決済は断念。

頭を悩ませていた際にたまたま、あるDJのYoutube配信の投げ銭システムを見つけた。ECサイト上で500円の商品を購入すること(実際には商品は届かないが)でそのDJに投げ銭ができるという仕組み。考えた人天才!!

 この仕組みをこの店でも使うことにした。金のやり取りはECサイト上で行い、商品自体は店からそのまま持って帰れるようにする。クレジットカードやamazon pay、Paypalも使えるのでこれでほぼほぼ問題なし。問題解決!

【検証2:品揃え、値付けに問題ないか➡︎◯いい感じ!】

 プレオープン日の売り上げは8,000円。16人中10人は何かしら買っていったので感触は良い。古本やレコードのラインナップ、金額も褒めてもらったので特に問題はなさそうだった。対象が僕の友人に限られているので、選択バイアスがおおいにかかっているというのは一旦無視。
 友人と話していく中で感じたのは、古本は店によって大きく値付けがぶれているんじゃないか、ということ。たとえばキングズレーエイミスの「酒について」という本。ある人は中目黒の古本屋で千円だったといい、ある人はブックオフで100円だったといい。僕は京都の古本屋で500円で買っている。(確か数年前)。これを受けて、古本についてはかなり自由に価格を設定することにした。自分が好きなものは相場にかかわらず高くする。ブコウスキーの「街で一番の美女」はブックオフなら100円で買えるがうちの店では1,000円だ。(2冊あるけどまだ一冊も売れていない)。でも見つけてすぐ読めるなら1,000円払っても僕はいいと思っているのでオッケー。

 レコードについては、数枚を意図的にめちゃくちゃ安い値付けにした。山下達郎のcome alongやドナルドバードのストリートレディなどDiscogsなら5,000円程度のレコードを1,500円で紛れ込ませた。これは安売りによるプロモーション効果を狙ったもの。プレオープンでは売れなかったけどその後開店初日の午前中に売れた。そしてそこからのプロモーション効果はかなりデカかった。(詳しくはまた次回の記事で書く)
 レコードレア盤放出作戦は現在も継続中。ただし効果は薄れてきている。超お得なのにー。

音楽本コーナーの一部

【検証3:口コミで宣伝してくれるか➡︎△微妙・・・】

 プレオープンパーティーの2週間前からインスタグラムアカウントを作成し、あらかじめパーティーに来た人が拡散できるようにしておいた。思い描いていたストーリーは、

1.誘われてパーティーにくる
2.おもしろいじゃーんと思ってSNSに投稿する
3.それを見ていろんな人がムジンレコーズのインスタグラムをフォロー
4.激バズり
だったが、全くそうはならず。

 2のSNSに投稿させる。が意外とハードルが高かった。自分も確かに、社会人になってからtwitterでつぶやく回数やインスタに投稿する回数は如実に減っている。月に一回あるかないか。WEBでの口コミ、自然拡散のやり方で筋がいいものがその時は思い浮かばなかったので一旦これについては保留することにした。(その後、インスタでの拡散は集客とあまり関係なさそうなことがわかった)

【新たな課題、腰痛】

 当初持っていた3つの懸念については、一応の解決を見ることができたが、新たに大きな課題が顕在化した。それは僕の腰痛。これまでも度々、仕事が忙しい時など腰痛が酷いことがあったのだが、このパーティーの後になったぎっくり腰は過去最大の痛みだった。本やレコード、スピーカー運んだり、サラリーマン業がバタついたりしたことがまとまって腰にやってきた。ぎっくり腰自体は2回ほどやっているのだが、モノが違う。文字通り爆弾が爆発したような痛み。立ち上がることができなかったので、同棲している彼女にキャスター付きの椅子を押してもらって部屋の中を移動した。自分の中ではX-MENのプロフェッサーみたいで結構カッコいいかもと思っていたのは内緒。

オープン延期のアナウンス

今は腰自体は小康状態なのだが、少しこの時のがトラウマになっているため、なるべく重い荷物を運ぶのを避けている。うちの店の本やレコードがなかなか増えないのはこのため。整体通いと筋トレにより改善に取り組んでいる。

【遂にオープン】

 なんとか課題を改善し、腰も回復させることができたので2月19日にやっとこさオープンさせることができた。次回の記事ではオープンしてから1か月間の話を書こうと思う。(当然大赤字)

今回はここまで!

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古本と音楽 ムジンレコーズ
営業日:毎日 10:00~20:00
場所 :東京都文京区千石4-46-2

https://www.mujinrecords.com/
instagram:@mujinrecords 
twitter :@mujinrecords


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