文具を愛するものの悩み②激闘編
文具好きの中年男子の悩みがもう一つある。
文具の売り場問題。
「LOFT」など、気の利いたつくりの文具売り場はとても購買意欲がそそられる。しかし、ひとつ問題なのは、売り場の「かわいい」度合いだ。
それは正しい。確かに正しい。
買いにくる人のほとんどは女性なわけで、かわいい売り場構成にするのは必須。中年男性は希少種だろう。ぼくのようなタイプの顧客が長くいると、どうしても周りの目を気にしてしまう。
若い女性の方が
「このマステかわいい!でも、マステって、あんまり使わないんだよね」
と言っているのが耳にはいり、
「いえ、結構使ってますけど、なにか?」
と、心の中で叫ぶ自分がいる。
声には出さないが、この脳内独り言キモい。
ぼくは、ここにいていいのだろうか。
勝手な自意識が働き、まわりの目を気にしてしまう。もちろん、誰もぼくのことなんて気にしていないのはよくわかってる。しかし、中年男性が受ける見えないエイジズムは計り知れない。それは、世の人たちに訴えていきたい。
しかし、文具需要も様変わりしたせいか、10年前に比べると、文具コーナーの「かわいい」度合いは、だいぶ抑えめになってきたなと感じている。もしかすると、ぼくのぼやきが神様に届いたのかもしれない。いや、届いていないと思うし、届かなくていいけど。世の中にはもっと優先順位高で届くべきことがあるから。
昔からよく伺う札幌の「セントラル」はとても居心地がいい。プロフェッショナルユースの面持ちがあり、文具コーナーも余計な「かわいい」が存在しない。「もう、機能性重視で販売してますから」という潔さが快い。
小樽にある「山岸商店」という文房具屋も、昔ながらのビジネス向け販売を通しており、居心地がいい。ぼくが子どもの頃からある紙屋さんで、必ず店員の方が「なにかお困りありませんか」と声をかけてくれる。ホスピリティは文具店界トップレベルだと思う。古いお店なのだが、その年に押さえておきたい文具はだいたい手に入る。
それでも、やっぱり、「LOFT」や「東急ハンズ」にも行きたい。文房具屋さんは、それぞれに顔の違いや、楽しさがあるわけで、それが至福なのだ。
そうだ。
変わらなければいけないのは社会だ。
おじさんが、かわいいものを愛でてもいいような社会変革が行われることが第一義かもしれない。そんな、社会を夢見ながら、2023年も日々を送ってみる。
知らんけど。
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