漆器の職人が考える「木製のお箸の選び方」
日本が誇る伝統的な食文化である「和食」に欠かせないのが、お箸です。
しかし、デザイン、素材、長さ、太さなど種類が多すぎて何を選べば良いのかわからなくなったり、選んだ物が使いにくくてストレスに感じてしまう事があったりします。
今回は、漆器の職人の僕が木製のお箸を選ぶ時に考えるポイントを紹介します。お箸選びの参考にしていただけると嬉しいです。
木製のお箸を選ぶ時の「長さ」と「太さ」の目安
早速、木のお箸を選ぶ際に一番重要な「長さ」と「太さ」の目安の話をします。もう、これが結論です。
長さは、「女性は21cm」、「男性は23cm」の物を選ぶと良いと言わています。
持つ部分の太さは「8mm」の物が標準です。
7mm以下だと細め、9mm以上だと太めと考えてください。
手の指が細い方は7mm以下の細め物を、指が太い方は9mm以上の太めの物を選ぶと使いやすいと感じるを思います。
手の大きさから考える適切な長さ
先ほど、長さが女性は21cm、男性は23cmが良いと言いましたが
個人差があります。
手のサイズは一人一人違いますよね。
なので、適した長さを調べる方法を紹介します。
まず、軽く親指と人差し指を直角に開きます。
その親指と人差し指の先の長さの1.5倍が適切な長さと言われています。
こんな感じです。↓
この写真は僕の手です。ブサイクな手ですね。
僕の手は男性の中では小さめです。
測ってみると15cmでした。
なので、15×1.5=22.5となるので、ベストは22.5cmなんですが
23cmでも大丈夫な感じ。
この長さが14cmだと14×1.5=21になり女性にベストな長さになるわけです。
なので、14cmよりも短い方は21cmか、もしくはそれより少し短いお箸を選ぶと使いやすいという事になります。
お子様に適した長さのお箸を選ぶ時もこのやり方で大丈夫です。
ぜひ、試してみてください。
お箸の形と使い心地
次に重要になってくるのがお箸の形です。
色々と形はありますが、一番多いのは「四角形」の物。
昔から馴染みがあるのでみなさん使いやすいと思います。慣れですね。
もっと使いやすい物はあるの?って聞かれると
個人的には「五角形」の物をおすすめしています。
お箸は3本の指で持つ為、奇数の画数の形の物の方が
面に指がフィットして持ちやすいからです。
逆におすすめしないのが丸い形の物です。
置いた時にコロコロと転がる。
箸置きをお使いの方は気にしなくても良いのですが、
実際にストレスに感じている方が多い印象をうけます。
画数が多い物(八角形など)も転がりやすいので
その点も考慮した上で検討される事をおすすめします。
木のお箸の「塗装」の違い
木のお箸の塗装は主に3種類あります。
何も塗ってない「無塗装」。科学塗料を塗ってある「ウレタン塗装」。
漆を塗ってある「漆塗り」です。
それぞれの特徴はこんな感じ。
無塗装
蜜蝋や亜麻仁油などの天然の油を自分で塗りこんで使うと艶がでます。
耐久性はあまりありません。きちんと手入れしないとカビがはえる事があります。
ウレタン塗装
原油から合成された合成科学塗料です。色のバリエーションが豊富で食洗機や乾燥機にも対応している物が多いのが特徴です。
漆塗り
漆(うるし)の木の樹液から作られる自然塗料です。高い抗菌作用があり、
耐水性、断熱性、防腐性なども高い塗料です。
無塗装は管理が難しく、油断するとカビがはえてしまうので上級者向けかなと思います。あまりおすすめできません。
ウレタン塗装、漆塗装はどちらもとても丈夫な塗装です。
しかし、絶対に塗装が剥がれないわけではありません。
ウレタン塗装は安全と言われている科学塗料ですが、
直接口に入る物なので、少し気持ち的に「う〜ん…」って感じになるわけです。
なので、できれば「漆塗り」のお箸を使っていただきたいと思っています。
漆塗りのお箸のメリット・デメリット
漆塗りのお箸のメリット
高級感がある
自然塗料なので安心・安全
高い抗菌作用がある
耐久性がある
日本人に馴染みがある
漆塗りのお箸のデメリット
値段が高い
食洗機、食器乾燥機に対応していない
色のバリエーションで透明な物がない(漆が茶色の為)
漆塗り風の偽物がある(お値段が安すぎる物は怪しいです)
漆塗りのお箸は基本的には食器洗いスポンジで食器洗い洗剤で洗っていただいて大丈夫です。今の時代は食洗機に入れれない事がデメリットに思われる方が多いですが、漆塗りのお箸だけはサッと手洗いしていただけると嬉しいです。
今回は木製のお箸の選び方についてお話させていただきました。
僕自身、漆器を作っている職人なので、どうしても漆塗りの物をおすすめしたくなってしまうのですが、実際に漆塗りのお箸はとても良い物ですよ。
大切にお使いいただければ、五年以上使える物も多いです。
少しだけ宣伝させていただくと、ウチの工房で作っているお箸は漆を6回以上塗り重ねていてとても丈夫になってます。
お値段はみなさんにお試しいただけるようにできる限りお安くさせていただいていますので、ぜひ試していただけると嬉しいです。
YouTubeで制作の様子を発信しています。
こちらもご覧いただけると嬉しいです。
ではまた!
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