キーパーソンという考え方②
前回は、「キーパーソン」とはいったい何なのかについて説明した。
◆なぜ協力隊に「キーパーソン」という考え方が必要なのか?
私が協力隊活動にこの考え方を取り入れるのは、
効率よく成果をあげ、目標を達成するためだ。
協力隊員はリソース(ヒト・モノ・カネの使える資源)が究極的に限られている。
その限られたリソースのもと、自分が目標とする成果をあげようとすると
配属先やそこで働く人達、他の隊員さん、調整員さん含む関係者など
あらゆるステークホルダーの協力が必須だ。
誤解を恐れずに言うなら、彼らをうまく利用しまくる必要がある。
そこに「自分のことを馬鹿にされたムカつく!」とか
「また、おごってくれと言われた、なんでおごらなあかねん!」
といった私情は不要だ。
自分の目標達成のために、何をすべきか?だけを考えて行動すればよい。
そして、効率良く配属先を代表とする自分の周りの組織をコントロールし
成果をあげるのに、「キーパーソン」の考え方は1つの手がかりとなる。
この目標設定と日々の活動と周りを巻き込むためのやり方は
改めて詳しく書きたいと思う。
◆私が実践した(している)こと
まず、誰がキーパーソンかを特定した。
私の配属先では、ボスであるダイレクターがそれにあたる。
年配の経理担当者やボスの息子さんも組織にはいるが、
組織全体に対する影響力はボスと比べると圧倒的に少ない。
ヒト・モノ・カネを直接的にコントロールし、
配属先だけでなくコミュニティー全体に影響力を持っていることも、その根拠だ。
キーパーソンに対するアプローチとしては、
彼が私に求める行動を察して実行しつつ、
最大限の敬意を見える形で表している。
具体的には、以下にあげる彼が私に求めているであろうことを実践(しようと)している。
・配属先やその活動を、JICA 関係者や日本に対して発信し、可能であれば資金を引っ張ってくる
・国やカウンティ、国際機関などの客人が配属先を訪れた際は、JICA からの派遣者として、配属先を代表して積極的に接客する
当然ながら、これらは要望書にも書いていなければ、
本人から直接的に言われたこともないが、空気を読んで実践している。
◆実践による効果
・ボスとの信頼獲得
まず、ボスより信頼を得ることができ、最大の敬意をもって接してもらえている。
職場では毎日、昼食を準備してもらい。その内容についても気を使って頂いている。
私の要望や勝手なお願いは、原則的に全てを聞き入れて貰えている。
(ただ、この効果はJICAと配属先の関係性、他からの来訪者を客人として最大限もてなす、というケニアの文化を考えると、実践による効果のみの結果とは考えていない。)
・配属先メンバーとの関係性構築
普段の活動で直接的に関わったり、活動以外のプライベートでも交流のあるメンバー達とも良好な関係を築けている。
ざっくばらんに会話すると同時に、彼らの雇用主にあたるボスともある程度対等な関係性を保っていることを彼らも知っている。
よって一目置かれる存在として認知されている。
・来訪者との関係構築
県や国の役人、他の支援団体といった他からの来訪者が配属先を訪れることがある。
その様なときにも、それらの組織のキーマンが誰なのかを考えてアプローチするようにしている。
それによって、彼らの査察や見学を配属先にとってより良い結果に終わらすことができた。
私の配属先の部族、ルオの人々は来訪者があると、盛大な食事を準備してもてなす。
その様な場では、私も決まって駆り出され
「ケニアの片田舎の配属先にJICAから派遣されている珍しい存在」
として、ゲストをもてなしている。
以上が、協力隊員として実践している「キーパーソン」という考え方だ。
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