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世界最大のスラム街「キベラ」の話 ②現地を歩いて


一部でリアル北斗の拳ともささやかれる
ケニアの首都ナイロビのスラム「キベラ」に関して、
『旅がなければ死んでいた(坂田ミギー著)』
を紹介してその様子をお伝えした。

厳格な安全基準により、私を含む協力隊員は
キベラに立ち入ることが出来ない。

よって、実際に現地を歩いて
その空気を肌で感じた知人の話を紹介する。
以下は、その知人の言葉だ。

キベラは犯罪が横行し、劣悪な衛生環境故に
日本人は立ち寄らない方が良い。

そう聞いていたのすが、
折角ケニアに住んでいるのだから
一目実際にその様子を見てみたい。
そう思って現地に実際に行ってみました。
当日は最悪のことを想定し、
金目の物は持たず、携帯と身分証明書のみを
持って現場を訪れました。

キベラは今、中国資本でスラムの真ん中を横断する
大きな道路を建設中です。
街の中心を挟み込むように、中心に向かって
両サイドから道路の建設が進んでいます。
建設予定の土地からは、
トタン屋根の住居は立ち退かれています。

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アスファルトが敷かれる前の土が盛られた道を、
街の中心に向かって私は歩きました。

途中、単線の線路がありました。
線路の真ん中に大きな石が転がっている様な状態でしたので
おそらく電車は走っていないと思われます。

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キベラの街は、幹線道路がいくつかあり、
さらにそこから無数の路地が葉脈のように広がっています。
幹線道路の両サイドには、商店が並び、
バイクタクシーの運転手がおしゃべりしながら客を待っています。

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車やトゥクトゥクがようやくすれ違うことができるくらいの広さです。
そして、無造作に野菜や卵が売られる横で、
子供たちが遊んでいたり、
時に鶏をやヤギが放し飼いにされています。

幹線道路を歩くと、数メートルおきに狭い路地がありました。
その路地からは、現地の人たちがしきりに出入りしています。

彼らはどの路地がどこに繋がっているのか当然わかっているのでしょう。
私には数メートルおきに現れる路地の入り口の
それぞれの違いが全くわかりませんでした。
一度入った路地と同じ入り口を、再度探せと言われても、
おそらく見つけることができないでしょう。
そんな、路地をいくつも横目に歩いていると、
この先はどうなっているのだろうか?
という、好奇心が芽生えてきました。
昼間ですが、どことなく薄暗く、じめっとしているひとつの路地、
というか土でできた住居の外壁の間を私は歩いてみることにしました。

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舗装されておらず、起伏の激しい土の道は、
雨がふったわけでもないのに、
生活排水かどこからか流れ出てきた水が水たまりになったり、
小川のように流れる箇所がいくつもありました。

すれ違う人たちは誰も、
「どうして、ここにムズング(非黒人)が?」
という目で見てきましたが、挨拶すると返してくれました。

急に広場のような空間があったり、
小川が出てきたり、
こんな所にという場所に学校があったり、
迷路のような路地の中に、
アリの巣のような
一つの世界がありました。

よく見ると、電線も路地の中まで引かれていました。

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そうして、路地の中をウロウロしていると
1人の男性に声をかけられました。
「道に迷ったのか、見学したいなら案内するぞ」


不要なトラブルを避けるため、
適当に流していましたが
あまりにも熱心なんで、少し付き合ってみることにしました。

彼は、私の住むケニア西部の街の部族と同じルオ人で、
その近辺はキベラの中でもルオ族の人たちが集まる集落とのことでした。

路地の中の学校を案内してくれたり、
集落の有力者を紹介してくれたりしました。

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案内中、路肩でたむろする若者が私に向かって
差別的な言葉を吐きかけると、
訪問者に無礼なことをするなと
注意してくれました。

日が落ちかけていたのでそろそろ帰ることと
今はお金も、電子マネーのデポジットもないので
後で携帯宛に送金する旨を
私は彼に伝えました。

彼は了承し、
名前と共に
持っていた携帯から電話番号をメモして
渡してくれました。

後日、その番号宛に送金しようとしましたが、
送金先の宛名はメモの名前とは違うものでした。

もしかしたら、IDや信用がなく
彼の名義でSIMカードが作れないのかもしれません。
どこかで拾ってきただけの携帯かもしれません。

どうするか迷いましたが、1,000円入金しました。
以降特に連絡もありません。

キベラが、噂で聞くような危険な場所なのかどうか
私にはわかりません。

住人も夜は出歩かないそうです。
夜になると私が訪れた時とは、異なる姿があるのかもしれません。
もしくは、夜も言われているほど危険ではないかもしれません。

いずれにしても言えることは
私が見て感じたキベラは、
銃と覚醒剤に溢れ、暴行が横行する
廃れきったスラム街ではありませんでした。

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ケニア滞在についてお話ししたポッドキャスト↓


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