震えることを思い出す

卒業シーズンを思い返せば
いずれの景色の中でも
自分の心は震えていた

春と呼ぶにまだ早い
冬の残り香のする風の中
一つ前の区切りから
確かに刻んだ歩みを誇らしく思いつつも
馴染んだ場所を離れる心細さと

いつでも会えた顔たちに
いつでも会えるさと別れを告げて
明日には会えないのだと分かっている切なさとを抱えながら

まだぼんやりした輪郭しか見ぬ広い世界で
勢いだけでどこまで行けるか試してやろうと
多分に空回りしつつ
武者震いしている

胸の奥に
薄紅の桜を浮かべた
小川が静かに流れるような
あの日を思い出す

荒波にもまれる前の
友の顔とともに
思い出す

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