見出し画像

消えた安全坊や

こんにちわ。皆さんは「安全坊や」をご存知でしょうか?走ったり歩いたりしている子供型の立て看板のようなもので、見通しの悪い道に設置してドライバーの注意を促そうというアレです。

 私は近所を散歩するのがほぼ日課のようになっており、家の周り少なくとも半径3km以内は舐めつくすように知っております。そんなある日にふと気付いたのですが、そういや安全坊やを見かけないなあ、と。

 私が住んでいるのは東京の端っこの方、職場は都心、いずれも見通しの悪い道には「飛び出し注意!」とか立て看板がありますが、安全坊やの方はまずもって見かけません。

 最近一斉に無くなったのか、元から東京には安全坊やがいないのか、それともそんなものは私の頭の中だけの妄想で、今こうして書いている記事も皆さんにとっては???なのか、ワケワカメになってきました。

 考えているうちに、色々な説が浮かんできました。一つは開催の迫る国際的なスポーツ大会に備え景観上の理由から、撤去されたのではという事です。もしそうなら、かの昔、明治政府が行った廃仏毀釈のような暴挙がいつの間にやらなされたという事になります。

 もう一つは安全坊や自身がいつの間にか退化していき、絶滅したのでは無いか、という事です。安全坊やも色んなタイプがありますが、しっかりと走る子供だと分かるものもあれば、ちょっとアレなくらい雑なやつもあります。

退化論

 図にするとこんな感じです。丁寧に創ると大変なので色数が少なくなっていき、アウトラインを省略していき、という事で最終的には一番右のような、なんだかよくわからないものになります。

 こうなると、もはや坊やでもなければ安全でも無い、という無意味なガラクタが路上に設置される、という事になります。なんかよく分からんから捨てちまおっぜ、という判断が色んな自治体にてなされていったのでは無いでしょうか?

 元はと言えば、色んな大人が見通しの悪い道で子供の事が心配になってしまい、作ってしまったようなものだと思います。出来に違いができてくるのは当たり前ですが、このまま絶滅させるのは勿体ないように思います。

 「坊や」だと分からないから抑止力にならない、という事であればいっそリアルな映像を路上に投影する、というのはどうでしょうか?最近の技術ならばそのくらいのことは出来そうです。

 ちょっと写真でシミュレーションしてみましょう。子供の写真を使うのはマズイので、私の写真で代用することとします。皆さんの方で、これは飛び出す子供だと脳内変換していただければと思います。

画像2

 どうでしょうか?ホログラムなので万一当たってもなんともなく、しかしこれならばドライバーの皆さんもアクセルを踏むのに躊躇せざるを得ないのではと思います。通学路ならば、何体も設置すれば効果抜群です。

画像3

 私がもしドライバーだったとしたら、この道を走るのは相当慎重になるか、もしくは道そのものを迂回するだろうと思います。通学路なので子供たちの間で変な遊びが流行るかもしれませんが、交通事故リスクに比べればなんて事はありません。映像自体が光っているので見通しの悪い夜道でもOKなはずです。

画像4

 という訳で、これは相当な抑止力になる、いいこと思いついた、と思ったのですが抑止力がありすぎて今度は自動車事故につながらないか?という不安が出てきました。

 そこで最近は皆さん、必ずと言っていいほどカーナビを使いますから、ナビにて事前に「この先、安全坊や多発!!」などの注意を入れれば本来の趣旨は達成できるのでは無いでしょうか。ナビ使わない人たちのために、安全坊や多発の道路標識も立てておけば完璧です。

「この先、安全坊やかあ、ちょっと気を付け運転しないと、、、」というドライバーさんたちの溜息が聞こえるようです。

 とここまで考えた所で、この装置が現実になる頃にはきっと自動運転になってるんだろうな、という事に思い当たりました。そうなると安全坊やそのものの存在理由がなくなってしまいますね。

 この提案は半分以上冗談ですが、安全坊やみたいなものが街中から完全に姿を消してしまう、というのも少し寂しい気がします。なんでも合理的にスッキリさせればそれが良いデザインなのかといえば、私は疑問があります。

画像5

 この写真は近所を鵜の目鷹の目で歩いてやっと見つけた、ただ一つ残っていた安全坊やです。鵜の目鷹の目で探さないと気づかない、つまり安全坊やとしての役割は果たしていないのですが、それ故に絶滅を免れたのかもしれません。

 いまやその遭遇率はザシキワラシ並の安全坊やです。今後はザシキワラシ同様に都市伝説の類になっていくのかもしれません。必ずしも環境に必要なものではありませんが、子供の安全を守りたいという優しい気持ちから生まれたものだけに、もう少し見直してもいいのでは無いかと思います。

 長々と下らない話を書き連ねてしまいましたが、ここまでお付き合いいただきましてありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?