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学会と視覚障害当事者

皆様
こんにちは、わたころ運営スタッフの吉田です。

私は、10・11月といわゆる学会に参加してきました。
学会とは、学術団体が行う研究者や臨床家などの参加者が日頃の研究活動や実践および活動報告などを発表し、意見交換を通しながら最新の学術的知見を学ぶ学術集会のことです。

コロナ禍となり学会もオンライン開催が多く、画面越しの参加となっていました。
一方、コロナ禍が明けて、現地による対面開催がまた戻ってきた今年度。
その中で、改め感じた学会に参加する際に視覚障害当事者として気になったことをつらつらと綴っていきたいと思います。


①スライドやポスターが見にくい

学会では口述発表とポスター発表という形式が主になります。
口述発表では演者がパワーポイントなどで作成したスライドをスクリーンに投影してフロアの聴講者にプレゼンするスタイルです。

一方、ポスター発表は大きめのポスターを用意してパネルに貼り付け、それを見ながら来てくれた聴講者に発表するスタイルです。

私自身、どちらの形式でも発表したことや聴講したことはあります。
発表者の立場ではPC画面やポスターにかなり近づかないと見えないので、タブレットなどを用意してそれを必要時に見ながら発表する工夫をとっています。

参加者としては、口述発表ではフロア前方じゃないとほとんど見えないため、最前列に座る必要があるのと、必要に応じてスマートフォンカメラのズーム機能などで拡大しないと見えません。
(もちろん撮影はしません)
ただし、ポスター発表を聴講する際に周囲に人が多いとなかなか見ることは難しく諦めてしまうこともしばしばあります。

このように、個人で対応出来ることもあれば、困難なこともあります。
特に席やエリアなど個人では対応しにくい場合もあります。
ぜひ、これに関しては優先席や優先エリアの設置、優先バッジを使用して他の参加者の方々に周知し配慮して頂く工夫なども一つかなと感じています。


③ 抄録集は電子版の方が見やすい

学会では、プログラムや演題などをひとつの冊子にまとめて抄録集というののを作成し、参加者に配布することが多いです。
この抄録集は紙媒体が多かったのですが、最近では電子化されPDFにて閲覧できるようになってきました。

私のような視覚障害があると紙媒体では文字が小さく会場内が暗いとよく見えないことがあります。
また、情報量が多いため、目的の演題などを探すことにも時間を要してしまうこともあります。

この問題に対しては、PDFなど電子化された抄録集の方がズームや読み上げ、明るさ調整によるコントラストのアップなど見やすさや他のモダリティで補うことができるためとても便利です。
でも、電子化された抄録集では分かりにくいという方もいるかと思うので、紙媒体、電子媒体それぞれの良さがあるためどちらがいいかを選択できる余地があるといいのかなと思います。


④ 案内表記が分かりにくい

対面学会では大学や展示場、イベント会場などを借りて開催されます。
そのため、会場が広範囲になることもあります。
馴染のある会場ならいいのですが、初見の場所ではいまいち位置関係が分からずエリアマップなどぉみる必要が出てきます。

しかし、このエリアマップが小さかったり、ごちゃごちゃと書かれていると視覚障害のある私にとっては分かりにくく、目的の場所を探し出すのに大変苦労します。

掲示板など載せておくべき情報が多いのは分かりますが、ある程度文字の大きさや見やすいフォント、イラストなどのピクトグラムなどの配慮をして頂けると助かるなと感じます。
コストの問題もあるかと思いますが、音声ガイダンスなども必要箇所に設置してあるだけでも耳からの情報理解が得意な方にとってはいいのかもしれません。


まとめ

近頃は、お子さんを連れた参加される参加者も見かけるようになってきています。
このように障害だけではなく、人的、物理的、経済的など様々な理由で学びの機会が制限されていた方も多いかと思います。

全てを網羅した学会運営を行うことは急には大変なことかもしれません。
それでも、今までよりも一歩前進して、一人でも多く、学びを求めている人が学べる学会にできることを、いち当事者として期待しています。
自分自身、現在、学会運営に携わっているため、そのような学会等の実現に向けて出来る限りのことに取り組んでいきたいと思います。

それではまた来月お会いしましょう♪



<よしだ>
わたころ運営メンバー

先天性白内障当事者えあり、自身の経験から子どもたちがなりたい自分になれる社会に近づけるように作業療法士として日々奮闘中。


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