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エフォートレスとエモーショナルのちょうどいい関係【わたちゃんの、まったりビジネスコラム】

「売上達成できないんなら、飛び込み100件まわってこんかい!」と冷徹に檄を飛ばす、懐かし昭和の営業経験のある、わたちゃんです。そんな上司に限って人情味があって涙もろくて、当時は「この人、二重人格じゃないか?」と疑っていました。

企業の競争力の源泉が、モノからコトにシフトし、企業と顧客のさまざまなタッチポイントにおいてカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上が重要になってきました。顧客満足やロイヤルティ向上には、CXを2つの視点で施策を講じていくことが効果的です。

そのうちのひとつが、「エフォートレス体験」です。これを通じて、顧客がストレスなくサービスを利用できる環境を整えることが求められます。もうひとつが「エモーショナル体験」です。これを通じて、顧客との感情的なつながりを構築し、ブランドへの忠誠心や満足度を高めることを目指すわけです。企業は、この2つの体験をバランスよく取り入れることで、顧客にとって魅力的なCXを提供できるのです。

そして、この「バランスよく取り入れる」ためのサービス設計が重要となります。その指針にできるのが、顧客が期待するサービス品質です。サービス品質は、「好印象」「正確性」「迅速性」「共感性」「柔軟性」「安心感」の6つの品質に分けられます。そして、顧客の事前期待に合わせて6つのサービス品質を適切に発揮できれば高い満足が得られます。

正確性、迅速性を重視すべきサービスとは、エフォートレス体験型サービスであり、着実に早く実行できなければ不満が高まるものです。コンピュータによる自動化などでエフォートレス体験向上を追求することで、顧客は満足が高まる類のものです。
一方、共感性、柔軟性、安心感が重要なサービスは、エモーショナル体験型サービスであり、顧客の心に寄り添った対応ができると満足が高まるサービスです。そして人が得意とするサービス品質です。したがってヒューマンタッチなサービスを推し進めエモーショナル体験を向上させることを追求すれば、顧客は満足が高まります。


このように、顧客が期待するサービス品質の視点で、エフォートレスとエモーショナルのバランスよい体験施策を設計していくことが効果的です。
ということで、昔、お世話になったあの熱血営業部長は、決して二重人格ではなく、バランスよく冷徹さと涙もろさを発揮していたのだと、今になって分かりました。ただ、決して計算してやっているのではなく、人間としての素のままで、たまたまちょうどいい関係だったに違いありませんが。

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