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デジタルシフトは必ずしもエフォートレス化にあらず【わたちゃんの、まったりビジネスコラム】

コロナ禍を機に、ジムのヨガレッスンがLINE経由の完全予約制になり、とても便利だと実感している、わたちゃんです。
でも、ヨガ友の91歳のシニアレディは予約画面にはたどり着けるのですが、そこから先で行き詰まることが多く、僕が代わりに予約ワークをしています。

とくにコロナ禍、顧客接点のさまざまな局面でデジタルシフトが進んでいます。一般的には、顧客はエフォートレス体験や利便性、企業は効率化や省力化を享受でき、Win-Winが実現できる手段と言われています。
しかしせっかくデジタル化をしたとしても、必ずしもすべての場面でベネフィットを提供できているとは限らないのです。

例えば、近所のスーパーに数年前にセルフレジが導入され、当初はかなりの頻度で利用していましが、自分にとってはエフォートレスな体験ではないと感じています。バーコードのスキャンはスムーズにいかないことが多いので手間取り、一部のバーコードのない商品は画面で該当製品を探すのが大変です。
駐車場カードが欲しい場合は、スタッフに声をかけなければいけません。有人レジも最近は支払い部分のみをセルフに移行し、非接触&効率化が進んでいます。
従って、あまり混んでいない場合は、有人レジに並んだ方がエフォートレスなのです。
こうした体験を重ねていると、「もしかして、セルフレジは単に顧客に作業をさせて人件費削減を狙った企業にだけ都合のよいシステム化だったのでは?」と懐疑的になってしまいます。

また別の小売り店では、キャッシュレス決済手段としてSUICAカードを提示したところ、レジスタッフはSUICA決済用端末に購買金額を手動で入力していました。
そしてレジ印刷のレシートとSUICA決済用の印刷レシートを重ねて渡すという、極めて非効率な作業となっていて、スタッフがかわいそうになりました。

昨今はタクシーでのキャッシュレス決済も日常になりましたが、その処理は運転手にも乗車客にも煩雑で、領収書をお願いしようものなら現金支払いに比べ、倍ぐらいの時間を要します。

このように、デジタルシフトしたものの、顧客や現場スタッフにとってはエフォートレス化どころか、逆に負荷が増しているケースもみられます。

このような状況はコンタクトセンターも同様です。チャットボットを導入し、正答率の向上や有人チャット、電話対応への導線設計に取り組んだものの、顧客にとっては、「最初から電話した方がよっぽど早く欲しい情報にたどりつけた」といった事例も少なくありません。
非接触やDXという文脈のもと、加速度的に顧客接点のデジタルシフトが進んでいますが、顧客や現場スタッフ目線での充分な検討は欠かせません。

ということで、ジムの予約システムのシニア対応を考えると、今の予約システムに加えて、ボイスボットを導入し、対話形式で予約ができるシステムにすべき、との考えに至りました。
でも、そうなっても、あのシニアレディの喜ぶ顔を見たいので、きっと相変わらず予約をしてあげるんだろうな。

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